撮影方法


バイオロギング調査

私たちは、琵琶湖にくらすコイの行動を、動物装着型の行動記録計(データロガー)を用いて調べています。このように機器を生物に装着してその行動や生態を調査する手法を「バイオロギング」と言います。基本的な調査の手順は以下の通りです。

手順1

コイを採捕し、麻酔をかけます。おとなしくなったところで、体長や体重を計測し、遺伝子解析用の組織サンプル(ひれの先数ミリ)も採取します。

手順1の様子

手順2

コイの背中に、行動タグ(データロガー・自動切離し装置・電波発信機を浮きの中にまとめたもの)、個体識別用のリボンタグを装着します。

手順2の様子

手順3

麻酔から覚めたコイを琵琶湖に放流し、自由に泳ぎ回るかれらの行動データをロガー内に記録します。

手順3の様子

手順4

事前に設定した日数・時間が経過すると、自動切離し装置により行動タグが魚体から分離して水面に浮上します。行動タグの電波発信機から出る信号の方向を、受信機とアンテナを使って探知します。

手順4の様子

手順5

電波信号が受信される方向をたよりに船で行動タグの浮いている地点へ向かい、回収します。タグは、沖から岸方向への強い風が続くと、砂浜に打ち上げられていることもあります。

手順5の様子

手順6

回収したロガー内に記録されたデータ(放流期間中の水中映像や、泳いでいた深さと周りの水温、遊泳速度および加速度の情報)を取り出し、解析します。

手順6の様子

メンバー

吉田誠

吉田誠の写真

吉田誠(よしだ まこと)

国立環境研究所 生物多様性領域 琵琶湖分室
特別研究員

動物搭載型の行動記録計(データロガー)を使って、野外における魚の生態研究と、魚の遊泳行動に関する力学的な解析を進めています。記録計をつけた魚をいったん放してしまえば、あとはすべて魚まかせ。魚たちを追いかけて今日も、湖のほとりや川沿いを走り回っています。

馬渕浩司

馬渕浩司の写真

馬渕浩司(まぶち こうじ)

国立環境研究所 生物多様性領域 琵琶湖分室
主任研究員

DNA情報に基づく魚類の系統・分類学的研究や, DNAマーカーを駆使した魚類の生態研究を行っています。高校卒業後、約25年ぶりに故郷の滋賀に戻り、少年期に経験した多様性豊かな琵琶湖の復活を目指して、楽しみながら研究を進めています。

佐藤克文

佐藤克文の写真

佐藤克文(さとう かつふみ)

東京大学大気海洋研究所 海洋生命科学部門 行動生態計測分野
教授

バイオロギング手法を用いた動物行動生態学および周辺環境の測定手法の開発を行っています。舞台は世界中の海、対象はあらゆる動物。とにかくおもしろい研究をしていきたいと思っています。

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