成長形:主に被覆状群体だが、斜面上では群体周縁が葉状になることもある。
軟体部の色彩と特徴:褐色〜緑色。口盤の色彩が他と異なることや、群体全体が鮮やかな赤みや黄色みを帯びることがある。群体中心付近の個体は群体表面から不規則に突出し、個体間隔も不揃いになりやすい。
骨格の特徴:個体は円形〜楕円形で、群体周縁の個体は、莢の長径が6〜8mmほどになる。小さな群体では、長径1.5cm未満の中心個体が見られることがある。群体周縁では、莢壁を欠き共骨に埋在する個体と、体の半分または全体で莢壁が形成されて側方または上方に突出する個体がある。隔壁・肋は通常3次まで発達する。1次・2次隔壁・肋は、3次隔壁・肋に比べると厚く、よく突出する。また、1次隔壁のほうが2次隔壁よりもより厚くよく突出する。1次・2次隔壁は軸柱まで達するが、3次隔壁はそれらの1/2〜2/3の長さで、軸柱まで達しない。2次・3次の隔壁と肋の内縁には、莢の部分も含めて共骨部分に明瞭な凹みが形成されるが、そこに孔が開くことはない。隔壁・肋の上縁には、細分尖端を持つ鋸歯がよく発達し、特に莢壁上縁付近の1次・2次隔壁・肋ではよく肥厚して突出する。ただし群体裏面では、鋸歯はほとんど形成されない。軸柱は明瞭で、長径2.5〜5mmほどの楕円形になる。
生息環境:礁斜面や岩礁斜面の水深10m以深で見られるが、開放的な湾では水深5m以浅でも見られる。また、礁池や浅礁湖の岩盤上でも稀に見られることがある。
国内での分布:和歌山県串本・長崎県上五島若松島以南。種子島では稀。
補足:Echinophyllia orpheensis (本ガイド未掲載種)のタイプ標本は、個体が1〜2cmほど不規則に高く突出する。また莢の長径はどれも1cmを超え、隔壁・肋は全体的によく肥厚する。よって、これまで国内でアバレキッカサンゴとよばれてきた本種とは別種の可能性が高い。
西平・Veron (1995)での出現記録:○
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