成長形:葉状〜板状群体。葉状・板状部が斜め上方向に伸びてすり鉢状になったり、内側に巻き込まれて円筒状になったり、幾重にも重なったりすることもある。
軟体部の色彩と特徴:主に褐色で、赤みを帯びたものや緑色に近いものが見られる。
骨格の特徴:個体は円形〜楕円形で、莢の長径は3〜5mmほど。個体は群体上面のみに万遍なく分布し、個体間隔もほぼ等しい。幼群体でも中心個体は確認できない。個体配列はサムナステロイド型で、部分的に同心円状に配列する。隔壁・肋は3次まで発達。1次隔壁・肋は厚く、よく突出する。1次隔壁・肋の上縁には大きさの揃ったローブ状の鋸歯が、その鋸歯の上縁には小さな棘状の装飾がそれぞれよく発達する。よって群体表面はザラザラして見える。ただし、よく石灰化した群体では、ローブ状の鋸歯があまり目立たない。2次と3次の隔壁・肋は、1次隔壁に比べて薄く突出せず、ローブ状の鋸歯や鋸歯上の装飾の発達は悪い。軸柱は棒状、または複数の棒状のものが一列に並んで融合した板状で、よく石灰化した群体では明瞭だが、石灰化が弱い群体では不明瞭。1次・2次隔壁は軸柱まで達するが、3次隔壁は達しない。共骨は垂直方向に伸びた板状の肋と水平方向に伸びた棒状のシナプティキュラからなる。肋間のシナプティキュラは、肋の下方で等間隔に規則正しく配列する。莢壁もまた同様のシナプティキュラで形成される。群体裏面にも上面に対応する肋が発達するが、上面に比べて不明瞭。肋の上縁には、棘状の装飾を持つ鋸歯が形成されるが、大きさや間隔は不揃い。肋間の共骨には不規則開いた孔が同心円状に並ぶこともある。
生息環境:波当たりの弱い礁斜面や岩礁斜面の水深20m以浅で見られる。
国内での分布:種子島以南。種子島では稀。
西平・Veron (1995)での出現記録:○
|