タイトル |
Is a Voluntary Approach an Effective Environmental Policy Instrument? A Case for Environmental Management Systems |
論文情報 |
"Journal of Environmental Economics and Management" の掲載論文のうち、2010年ダウンロード数No.6にランキングされました。
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著 者 |
ARIMURA, Toshi., Akira HIBIKI and Hajime KATAYAMA |
研究の概要 |
伝統的な環境政策の手段(環境規制、環境税など)を補完する政策手段の一つとして、近年自主的取り組みが注目を集めている。その事例の一つとして、国際的な環境マネジメントシステムの認証制度であるISO14001がある。企業・事業所が、ISO14001の認証を取得し、企業・事業所内で環境マネジメントシステムを実施することにより、企業の生産工程を環境低負荷なものとするため、ISO14001は環境負荷低減に効果的であると期待されている。同様に、環境報告書の自主的な発刊も環境負荷の低減に効果的であると期待されている。これは、環境報告書には、企業・事業所の環境負荷の情報が掲載されるため、環境報告書を発刊している企業は、よりよい企業イメージ確立のため、環境負荷の低減に対して、より強いインセンティブを有するからだと考えられる。筆者らはOECDとの共同プロジェクトにより、日本の製造事業所を対象とした「事業所レベルの環境マネジメント」に関する事業所サーベイを実施し、そのデータを用いて、環境負荷関数、ISO認証取得関数、環境報告書発行関数を同時推計した。その推計結果から、ISO14001認証取得、環境報告書の発刊が環境負荷(自然資源の利用、廃棄物排出量、排水の削減)の低減に貢献するかどうかを明らかにした。これらの分析結果から、@ISO14001の認証取得は、自然資源の利用、廃棄物排出、排水の削減に有効である。A環境報告書を発行する企業は、自然資源の利用、廃棄物排出、排水の削減により積極的である。BISO14001の効果と環境報告書発刊の効果を比較すると、自然資源の利用と廃棄物排出については、ISO14001の削減効果が環境報告書発刊効果より大きい、ことが明らかとなった。
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掲載誌情報 |
Journal of Environmental Economics and Management, 55(3), pp.281-295, 2008年 |