とりのこえからわかること 福島第一原発事故にともなう避難指示区域とその周辺の鳥類モニタリング

バードデータチャレンジ in白河~2017年開催報告~

開催概要

今回で3度目となる「バードデータチャレンジ」。今回は西白河郡で開催しました。

  • 日時:2017年10月14日(土)10-15時
  • 場所:国立那須甲子青少年自然の家(福島県西白河郡)
  • 参加者:51名
  • 共催:日本野鳥の会白河支部
  • 後援:公益財団法人 日本野鳥の会、公益財団法人 日本自然保護協会、認定特定非営利活動法人 バードリサーチ、三菱製紙株式会社

内容

<目的別クラスの開設>

参加者が5-6名ずつの班に分かれて音声聴取を行い、班内で判別内容を検討し、 出現種を確定します。また、目的別に次の二つのクラスを設けました。

「チャレンジクラス」: 経験豊富な参加者が種判別を進めるクラス
「ビギナークラス」: 音声種判別の技能向上を目指す初心者向けクラス

ビギナークラスには各班1名のベテランチューターが付き、初心者の質問や疑問に答えつつ種判別を進める形をとりました。


<開催当日の様子>

開催趣旨の説明後、チャレンジクラスはすぐに音声聴取を開始し、40分間x3セットの計2時間の種判別に挑みました。 一方ビギナークラスは、最初の40分間では音声種判別手法のレクチャーを受講し、その後、40分間x2セットの音声聴取に取りかかるスケジュールとしました。 種判別対象の音声データは、2016年5月に避難指示区域内外で録音されたものを用いました。

録音音声聴取とデータベースへの種名登録は、独自に開発したブラウザベースのwebシステム「SONO-TORI」をタブレットPC上で操作し行いました。 SONO-TORIに入力されたデータをもとに、判別完了地点の地図、出現種の画像付きリスト、種数が増えた際の通知を各会場のスクリーンにリアルタイムで投影することで参加者間の情報共有を図りました。

各セット間の休憩時間には、息抜きイベントとして、日本野鳥の会白河支部会員の指導による自然素材を使ったクラフト作成の時間が持たれ、作った作品は参加者のお土産となりました。

約2時間の聴取時間で、52地点分 の録音データから、35種 が確認されました。
判別終了後、参加者全員で出現種リストや特定の種の分布をスクリーンで確認しながら、判別結果の振り返りや、前年までの音声モニタリング調査で得られた鳥類相との比較を行いました。

左写真は音声データを聴き出現種を判別する、右写真は入力したデータをもとに、結果の振り返り
<参加者からのフィードバック>

イベント終了後に自由参加で開いた茶話会では、避難指示区域内外においての鳥類に関する意見交換が活発に行われました。

参加者アンケートの集計を行った結果

  • 各クラスを通じ多くの参加者からイベントの内容に対して満足であるとの回答を頂きました。
  • 自由回答欄には「とても楽しく、勉強にもなった」、という声や、毎年参加してくださった参加者より、初めて参加した時は全くわからなかった声が、今年はわかるようになったというコメントがありました。
  • 「SONO-TORI」や出現種の可視化については、「リアルタイムに情報をみられるのがよい」、という感想や、毎年システムが改善されて年々使いやすくなっている、というコメントを頂く一方で、 スクリーンへの表示方法や、地図の視認性など運用の改善点についてのご指摘も頂きました。

 今回頂いたご意見や要望については、既に開催が決定している2018年の開催時にフィードバックを行います。

関連情報

2017年度プレスリリース