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概要


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研究課題名

温暖化影響評価・適応政策に関する総合的研究


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研究代表者氏名及び所属

三村信男(茨城大学)


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研究実施期間

平成22~26年度
顔写真:三村信男(茨城大学)

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研究の趣旨・概要

 温暖化の影響は広く世界に顕在化しつつあり、そのことは2007年に発表されたIPCC第4次報告書でも数多く示されている。平成21年度まで実施された環境省地球環境研究総合推進費戦略的研究S-4「温暖化影響総合予測プロジェクト」は、我が国の水資源、森林、農業、沿岸域、健康といった主要な分野にも大きな影響が現れることや、分野毎に特に脆弱な地域があることを明らかにした。さらに、世界的に温室効果ガス排出量を大幅に削減すれば影響も相当程度減少すると見込まれる一方、気温上昇を2℃程度に安定させたとしても一定の被害が生じることは避けられないことも明らかにした。したがって、気候を安定化させるための積極的な緩和策と共に、長期的な視点で悪影響に備える適応策が必要である。適応策は地域ごとに異なるため、その計画には、市町村レベルの気候予測とそれに基づく影響予測が必要であり、こうした新しい政策的ニーズに応える研究が必要とされている。

 本プロジェクトは、以上のような温暖化対策の新しい課題に対応する研究の推進を目的としている。第一に、我が国を対象にして、より詳細な分野毎の物理的・経済的影響の把握と適応策実施の効果推定を目的にした高度な影響・適応策評価モデル(ボトムアップ型モデル)を開発する。同時に、全国的なトップダウン型影響予測モデルを開発し、ボトムアップ型モデルと併用することで、全国影響評価の精緻化を図る。これらによって、適応策の実施が将来の影響リスクをどの程度低減するかを予測する。第二に、都道府県や市町村レベルでのモニタリング手法を開発し、都道府県レベルでの温暖化影響を把握する。さらに、地域レベルで使いやすい影響予測手法と予測結果の可視化手法を開発することによって、地域における適応策策定の支援を可能にする。第三に、国内の研究成果を基に、アジア太平洋地域における適応策実施の優先順位や費用対効果の分析を行うため、途上国に適応可能な脆弱性・影響・適応効果評価指標の開発・標準化を行い、影響のより厳しい影響が予想される途上国における適応策の計画・実施に貢献する。

 本プロジェクトにより、我が国における適応策策定を支援し、安全・安心な気候変動適応型社会の実現可能性を評価することが可能となる。また、定量的影響評価を可能とする簡易手法の開発により、自治体レベルでより具体的な適応策を社会実装するための総合政策化方策の提示が可能となる。さらに、途上国における脆弱性・影響・適応可能性の評価は、国際貢献の観点からも非常に重要である。このためには、本プロジェクトでは、国内の関連分野の研究者を広く結集して、有機的に統合して取り組む計画である。


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研究項目及び実施体制

【テーマ1】我が国全体への温暖化影響の信頼性の高い定量的評価に関する研究
S-8-1(1)統合評価モデルによる温暖化影響評価・適応政策に関する研究((独)国立環境研究所)
S-8-1(2)温暖化ダウンスケーラの開発とその実用化(筑波大学、(独)海洋開発研究機構、北海道大学)
S-8-1(3)気候変動による水資源への影響評価と適応策に関する研究(東京大学、東北大学、国立保健医療科学院、東洋大学)
S-8-1(4)沿岸・防災リスクの推定と全国リスクマップ開発(東北大学、福島大学、国土技術政策総合研究所、静岡大学、東京大学)
S-8-1(5)地球温暖化が日本を含む東アジアの自然植生に及ぼす影響の定量的評価((独)森林総合研究所)
S-8-1(6)農業・食料生産における温暖化影響と適応策の広域評価((独)農業環境技術研究所、(独)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所、埼玉県環境科学国際センター)
S-8-1(7)温暖化の健康影響 - 評価法の精緻化と対応策の構築(筑波大学)
S-8-1(8)媒介生物を介した感染症に及ぼす温暖化影響評価と適応政策に関する研究(国立感染症研究所)
S-8-1(9)温暖化適応政策による地域別・部門別の受益と負担の構造に関する研究(名城大学、東北文化学園大学、兵庫県立大学、(財)日本総合研究所)
【テーマ2】自治体レベルでの影響評価と総合的適応政策に関する研究
S-8-2(1)地域社会における温暖化影響の総合的評価と適応政策に関する研究(法政大学、(財)電力中央研究所、東京農工大学、埼玉県環境科学国際センター、(財)東京都環境科学研究所、神奈川県環境科学センター、長野県環境保全研究所)
S-8-2(2)亜熱帯化先進地九州における水・土砂災害適応策の研究(九州大学)
【テーマ3】アジア太平洋地域における脆弱性及び適応効果指標に関する研究
S-8-3アジア太平洋地域における脆弱性及び適応効果指標に関する研究(茨城大学、(独)国立環境研究所、(財)地球環境戦略研究機関、国際連合大学)


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研究のイメージ



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