第2 国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項
1.環境研究に関する業務
(1) 環境研究の戦略的な推進充実
①我が国における環境研究の中核的機関として、国民の安全・安心への要求や国際社会への貢献に対する環境政策の着実な実施を科学的側面から支援するための調査・研究に継続的かつ機動的に取り組むため、学際的かつ総合的で質の高い環境研究を進め、自ら主体的に関与することが求められる環境研究を選択し、重点的に取り組む。具体的には、環境基本計画、科学技術基本計画、「環境研究・技術開発の推進戦略について」(平成18年3月、中央環境審議会答申)等が推進を求めている分野及び環境省等の環境政策において求められている分野を踏まえ、持続可能な社会の実現を目指して、上述のように、特に推進すべき4つのプログラムを選択し、資源を重点的に配分する。
②予防的・予見的な観点から環境研究に取り組むことにより、新たに発生する重大な環境問題に対し、原因究明、対策立案等において科学的観点から迅速に貢献できるよう、先導的・基盤的研究について国内最上位の水準を保つよう努める。
③高い研究の質を確保し、創造的な研究活動を展開するためには、あらゆる局面で競争原理が働き、個人及び研究グループの能力が最大限に発揮されるシステムを構築することが有効である。このため引き続き所内において切磋琢磨して研究を実施する環境の醸成に努める。具体的には、競争的な外部研究資金を積極的に確保するほか、所内においても、所内公募と評価に基づき運営される所内公募研究制度を引き続き実施するなど、意欲及び能力を向上させる研究環境を充実する。
④国環研のリーダーシップにより、内外の環境分野の研究機関との連携・協力を推進する。国内においては、他の研究機関(独立行政法人、大学、地方自治体環境研究機関、民間企業等)との共同研究を通じて環境研究全体のレベルアップを図る。また、環境問題には国境がなく、その解決のためには国際的な取組が不可欠となることから、海外の研究者、研究機関及び国際研究プログラムとの積極的な連携を推進するとともに、国際的な環境問題に対応するための研究活動の国際化、環境技術の国際交流などに取り組む。第2期中期目標期間においては、研究協力協定等に基づく国際共同研究等の多様性を高め、第1期中期目標期間に比べて実施数を増加させることとする。
第1 国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
1.環境研究に関する業務
(1) 環境研究の充実
- ・海外の研究機関との研究を円滑に進める観点から、研究協力協定等に基づく国際共同研究等を推進することとし、第2期中期目標期間終了年度末の協定数を、第1期中期目標期間終了年度末の協定数から、1.5倍に増加させる。
- ・海外からの研究者・研修生の受入数について、第2期中期目標期間中の合計数を、第1期中期目標期間中の合計数から増加させる。
- ・国際機関・国際研究プログラムに積極的に参画し、国際的な環境研究の推進に貢献する。
5年間の業務実績
(1)平成18年4月に「独立行政法人国立環境研究所憲章」を制定し、自らの理念、行動理念を明確にした。この憲章の下、我が国における環境研究の中核的機関として持続可能な社会の実現を目指し、学際的かつ総合的で質の高い環境研究を進め、環境政策への貢献を図るため、環境研究を戦略的に推進する体制を構築した。
具体的には、全地球的な環境の健全性を確保し、持続可能な社会を構築するため、10年先に在るべき環境や社会の姿及び課題を見越して、環境政策に資するため、国環研が集中的・融合的に取組むべき研究課題として4つの重点研究プログラムを設定し、資源を重点的に配分した。
また、長期的な視点に立って先見的な環境研究に取組むとともに、新たに発生する重大な環境問題、長期的・予防的に対応すべき環境問題に対応するため、8つの基盤的な調査・研究分野において、研究を推進し、国環研内外の様々な研究の効率的な実施及び研究ネットワークの形成に資するため、知的研究基盤の整備を行った。なお、基盤的な調査・研究分野については、研究の水準を保つため、外部研究評価において研究の質を評価軸とした評価を行い、高い評価結果を得た。
(2)外部の競争的資金を積極的に確保して環境技術研究を推進したほか、所内公募研究制度を活用して先導的な研究の発掘・育成、競争的な環境下での基盤的研究を推進するなど、切磋琢磨して研究を実施する環境の醸成等に努めた。
(3)さらに、国内外の環境研究機関等との連携・協力を推進した。国内においては、企業、国立研究所・独立行政法人、地方環境研究所、大学等との間で共同研究契約及び協力協定等を締結し、のべ184件の共同研究を実施したほか、企業等からの受託研究、研究奨励寄付金を受けるなどの連携強化を図った。人的交流としては、研究者が大学の客員教員・非常勤教員となるほか、大学から客員研究員や研究生の受入等を行った。また、環境関係の国立研究所・独立行政法人の連絡調整・情報交換の場として「環境研究機関連絡会」が設置されており、環境研究シンポジウムを共催するなど情報交換・発信に努めた。
海外においては、二国間の環境保護協力協定及び科学技術協力協定の枠組み等のもとで研究機関との連携を進め、国際共同研究を実施した。第1期中期目標期間終了年度末の協定数は、海外の機関との間で締結した文書に基づく共同研究等を含め48件であったのに対し、第2期中期目標期間終了年度末の協定数は同79件となり、目標を達成した。この他、21年1月に打ち上げられた温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)のデータの校正、検証などのデータ質評価と、データ利用研究の促進を目的として行われた研究公募に係る共同研究協定は、平成22年度末で22カ国74件となっている。 海外からの研究者・研修生の受入については、第1期中期目標期間中の合計数1,965名に対し、第2期中期目標期間中の合計数は2,281名となり、目標を達成した。国際的な事務局活動として、UNEP、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)、OECD等の国際機関の活動やGEOSS(全地球観測システム)10年実施計画等の国際研究プログラムに積極的に参画するとともに、AsiaFluxネットワーク、GIO(温室効果ガスインベントリオフィス)、GCP(グローバルカーボンプロジェクト:16年4月から)に関する活動等の取組を進めた。韓国国立環境科学院及び中国環境科学研究院とともに、3研究機関の機関長が協力して北東アジア地域の環境研究の推進を図ることとしており、毎年三ヵ国環境研究機関長会合(TPM)を持ち回りで開催している。
自己評価
研究業務の個々の成果概要については次項以降に詳述するが、第2期中期目標期間においては、10年先に在るべき環境や社会の姿及び課題を見越して集中的・融合的に取り組むべき課題に重点化して資源配分することで、国民の安全・安心への要求や国際社会への貢献に対する環境政策の着実な実施を科学的側面から支援するための調査・研究に継続的かつ機動的に取り組むことができた。
また、競争的な外部研究資金の確保に積極的努めたほか、所内公募研究制度を継続するなど、競争原理を活用することにより、高い研究の質を確保し、創造的な研究活動を展開することができた。
さらに、共同研究等を通じて国内外の環境研究機関等との連携・協力を推進し、環境研究全体のレベルアップに資することができた。なお、海外との研究連携については、国際研究協力協定数及び海外研究者・研究生受入数のいずれも目標を達成するするとともに、国際的なプログラムへの参画、ネットワークのフォーカルポイントを担うなど、中核的研究機関として一定の役割を果たせたものと考えている。
第3期中期目標期間においても、第2期中期目標期間における成果を踏まえ、国内外の連携強化を一層前進させるとともに、基礎研究から課題対応型研究まで一体的に、分野間連携を図りつつ、戦略的な環境研究の推進を図っていく。
