1-1.環境研究に関する業務
1-1-(1).環境研究の戦略的な推進
国内外の環境研究の中核的機関として、また、政策貢献型機関としての役割を果たすべく、以下のように環境研究を戦略的に推進する。
1.環境研究の体系的推進
環境研究の柱となる8の研究分野について、対応する研究センターの研究体制を整備するとともに、基礎研究から課題対応型研究まで一体的に、分野間連携を図りつつ推進する。あわせて長期的な取組が必要な環境研究の基盤整備を行う。
2.課題対応型研究の推進
課題対応型の研究プログラムとして設定した重点研究プログラム及び先導研究プログラムについて、(2)に記載する推進体制を整備し、組織的に集中して研究展開を図る。
3.中核的研究機関としての連携機能の強化
- ア.国内外の中核的研究機関としてこれまでに構築してきた研究機関・研究者ネットワーク等の蓄積を活かし、内外の環境分野の研究機関との連携を国環研のリーダーシップにより戦略的に推進するための体制構築していく。
- イ.国内においては、他の研究機関等(独立行政法人、大学、地方自治体環境研究機関、民間企業等)との共同研究等を通じて、環境研究全体の一層のレベルアップを図る。このため、他機関の研究実施状況や成果に係る情報を把握して、効果的な環境研究の推進体制を構築し、外部競争的資金も活用した共同プロジェクトなどの効率的な研究の実施に努める。
- ウ.海外については、海外の研究者、研究機関及び国際研究プログラムとの連携を推進するとともに、国際的な研究活動、国際研究交流、国際研究協力等に取り組む。特に地球環境問題に関する研究や我が国と密接な関係にあるアジア地域において、国環研が中心となった戦略的な研究展開を図る。
4.環境政策立案等への貢献
- ア.環境政策の検討に向けて、研究成果を積極的に提供、発信するとともに、環境政策の決定に必要となる科学的な事項の検討への参加、関係審議会等への参画等を通じて幅広く貢献する。
- イ.研究分野ごとに研究成果と政策貢献との関係を把握し、政策貢献に関する評価の仕組みを構築する。
- ウ.環境の状況等に関する情報、環境研究・環境技術等に関する情報を収集・整理し、提供する。
- エ.なお、当面の課題として、温室効果ガス排出量の中長期的な削減目標の達成のための地球温暖化対策に関する計画の策定などの環境政策の展開に資するよう、地球環境モニタリングの推進等により科学的知見やデータの提供等を行うほか、「子どもの健康と環境に関する全国調査」、化学物質のリスク評価等の政策支援を的確に実施する。また、生物多様性保全に関し、広域的な生物多様性の状況の観測等の手法開発、生物多様性条約の愛知目標の達成状況評価のためのデータの収集・提供等を行う。さらに、平成23年東北地方太平洋沖地震により激甚な震災を被った地域の復旧・復興に向けて、国環研の有する知見や知のネットワークを活用して研究面から貢献していく。
5.研究環境の質の向上
- ア.研究者が能力を最大限に発揮する研究環境を確立するため、研究費の適正かつ効果的な配分、外部研究資金獲得能力の向上、研究空間の整備と最適配分、人材育成等のための研修などを更に充実させるほか、研究活動に役立つ情報の収集・整理・提供、研究開発力強化法「研究開発システムの改革の推進等による研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進等に関する法律」(平成20年法律第63号)(以下「研究開発力強化法」という。)に基づく人材活用方針を積極的に運用する。
- イ.また、公募と評価に基づき運営される所内公募型研究を、分野間連携を重視しつつ実施する。
- ウ.平成23年東北地方太平洋沖地震による研究所の施設・設備の被災状況を把握し、可能な限りその復旧に努める。また、今後の計画停電の状況を踏まえ、節電等に取り組むとともに、可能な限り研究機能を維持できる方策を検討する。
Ι 業務の実績
「独立行政法人国立環境研究所憲章」(資料1)の下で、上記年度計画に基づき以下のとおり環境研究を戦略的に推進した。
1.環境研究の体系的な推進
第3期中期計画期間の環境研究の柱となる8つの研究分野を設定し、これらを担う研究センターを設置し、基礎研究から課題対応型研究まで一体的に、分野間連携を図りつつ研究を推進した。また、長期的な取組が必要な環境研究の基盤整備も行った。
2.課題対応型研究の推進
緊急かつ重点的な対応が求められる研究課題と次世代の環境問題に先導的に取り組む研究課題として設定した5つの重点研究プログラム及び5つの先導研究プログラムを立ち上げるとともにプログラムリーダーを指名して、これらを推進した。
3.中核的研究機関としての連携機能の強化
(1)連携強化のための体制構築等
1)国内外の環境分野の研究機関との連携を戦略的に推進するため、新たに研究連携部門を設けて審議役を配置し、連携推進のための研究調整、アジア等国際研究の推進のための戦略検討等を行った。
2)環境分野の研究を実施している国・独立行政法人等の間の連絡調整・情報交換の場として、国立環境研究所(以下、「国環研」という。)が中心となって設置しその運営にも主導的な役割を果たしている「環境研究機関連絡会」の活動として、「第9回環境研究シンポジウム(テーマ「わたしたちのくらしと「水」を考える〜「水」の一生を辿る〜」を東京において開催(平成23年11月8日)した。
3)北東アジア地域の環境研究の推進を図るため、日韓中における環境研究において重要な役割を有する国環研、国立環境科学院(韓国)及び中国環境科学研究院の3研究機関の機関長が協力して、ほぼ毎年、日韓中三カ国環境研究機関長会合(TPM)を開催している。
(2)国内における連携
1)独立行政法人、大学、地方環境研究所、企業等との間で共同研究契約及び協力協定等を締結し、共同研究を実施した(資料2及び資料3)。その際、共同研究契約の実務的な進め方や留意点等を具体的に整理し、イントラネットで周知するなど、より円滑な共同研究実施に向けた環境整備に努めた。さらに、企業等から受託研究を21件、研究奨励寄附金を18件受けた。
2)大学との間では、20件の交流協定等を交わし、教育・研究交流を進めている(資料4)。人的連携としては、研究者が大学の客員教員・非常勤教員となるほか、大学から客員研究員や研究生の受入等を行っている。(資料5、6)
3)地方の環境研究機関等との共同研究のうち、多数の地方環境研究所との間で実施する比較的規模の大きな共同研究については、平成23年度に7課題実施した。このような共同研究は、全国の地方環境研究所で構成される全国環境研協議会からの推薦に基づき、その意義や研究の進め方等について所内でも事前評価を行った上で採択・実施している。また、全国環境研協議会と連携して、平成24年2月15日、16日に第27回全国環境研究所交流シンポジウム(テーマ「災害と環境(放射性物質汚染問題を含めて」)を開催し、地方環境研究所との連携を深めた。また、地方環境研究所との協力に関する検討会を開催し、共同研究の実施等により引き続き連携していくことを確認した。
4)上記1)〜3)の活動に加えて、各研究者が学会等を通じて知見を収集することにより、他機関の研究実施状況や成果に係る情報を把握している。たとえば災害環境研究分野については、「災害環境研究の俯瞰」として全体像を示し、現在実施中及び今後必要な研究課題について体系的にとりまとめを行っている。
(3)海外との連携
1)国際研究活動・研究交流等の主導的推進
ア.国際的な研究プログラム・ネットワークの一つであるグローバルカーボンプロジェクト(GCP)の事務局として、炭素循環・炭素管理等の国際共同研究の中心的役割を果たした。また、温室効果ガスインベントリオフィス(GIO)の活動により、アジア地域のインベントリ整備等のための国際的な支援・交流を実施した。アジア地域における温室効果ガスのフラックス観測に係るAsiaFluxネットワーク、アジアエアロゾルライダー観測ネットワークの中心的機能を務め、アジア地域のこれらの活動のネットワーク化やデータ管理、情報発信を行った。(資料7)
また、平成21年1月に打ち上げられた温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)のデータについては、国環研が処理・検証した上で国内外に提供しているが、そのデータ質評価とデータ利用研究の促進のため、3回の研究公募を経て22カ国の研究機関等との間で74件の共同研究協定を結び、共同研究を実施している。
イ.日韓中三カ国環境研究機関長会合(TPM)については、平成23年度は国環研がホストとなり、第8回会合を沖縄で開催した。会合では、TPMの8つの重点協力分野の再編を行うとともに、北東アジアにおける災害環境問題の対処への、TPMの枠組みによる協力の重要性についても確認した。さらにTPMの開催に併せて、国際ワークショップ「アジアの大気汚染/生物多様性保全」を公開で開催した。(資料7)
ウ.二国間の環境保護協力協定及び科学技術協力協定の枠組み等のもとで、7ヶ国の研究機関と連携して、国際共同研究プロジェクト29件を実施している。(資料8)また、15カ国の研究機関、1共同設立研究機関、1国際機関との間で、共同研究協定等40件を締結し、国際共同研究を実施している。
2)国際機関等の活動への参加・協力
ア.国連環境計画(UNEP)、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)、経済開発協力機構(OECD)等の国際機関の活動や国際研究プログラムに積極的に参画した(資料7)。IPCCが平成23年度に公表した2件の特別報告書では、作成に当たって国環研の研究者(計3名)がそれぞれ代表執筆者及び執筆協力者として貢献した。
イ.気候変動枠組条約第17回締約国会議及び京都議定書第7回締約国会合(COP17/CMP7:平成23年11月〜12月、南アフリカ・ダーバン)に参加し、メイン会場に展示ブースを設置して研究活動をアピールするとともに、サイドイベントとして「アジア低炭素社会:計画策定から社会実装へ」を開催した。(資料7)
ウ.国際協力機構(JICA)の研修員を含め、外国人や海外からの視察・研修者等、合計371名を受け入れた。
3)国際的活動の推進のための体制等の整備
ア.アジア地域等をはじめとした国際的な環境研究を戦略的に推進するため、所内に新たな調整費を設けることとし、タスクフォースを設置して、国際連携をより一層円滑化するための情報収集と検討を行った。その結果を踏まえ、所内公募を行い、拠点形成・強化やインキュベーションのための研究等を開始した。
イ.外国人研究者・研修生については、平成23年度は31名の職員・契約職員が所属し、38名の外国人客員研究員・共同研究員等の招へい・受入れを行った(資料9)。特に、国環研と包括協力協定を交わしているアジア工科大学(AIT)において、タイの洪水による浸水のため教育・研究に多大な支障が出ていることから、緊急的な招へいを行うことを決定し、2名の研究者を受入れた。
ウ.こうした海外の研究者が国環研で活動し、また日本で生活する上で生じるさまざまな問題について、相談、解決を図ることができるよう、企画部国際室のスタッフを充実するとともに、科学技術国際交流センターと契約し、生活支援制度を試行的に導入した。
エ.海外の研究者や研究機関等との連携を進めるに当たり、国環研への理解を深めてもらうため、国環研ホームページの英語版の掲載情報等を整理し、見やすくするなど、発信情報の充実を図った。
4.環境政策立案等への貢献
(1)第1 3.(1)に詳述するとおり、学会発表やプレスリリース、インターネットホームページをはじめとする様々な手段で積極的に研究成果を発信するとともに、資料10に示すとおり、審議会、検討会、委員会等の政策検討の場に参画し(482件の国の審議会等に延べ651人の職員が参画)、国環研の研究成果や知見を提示している。
(2)研究分野ごとの研究成果と政策貢献の関係を整理したものが資料11であり、様々な分野で環境政策の立案に積極的な貢献を果たしている。これらの政策貢献に関する評価については、外部研究評価委員会で成果の活用状況を含めた評価を受けるとともに、所内で行うユニット評価の場でも、環境政策への貢献を含めた評価を行っている。
(3)国や地方における環境政策立案等にも役立つよう、環境の状況等に関する情報、環境研究・環境技術等に関する情報を収集・整理し、提供した。(第1 2.に詳述)
(4)なお、中期目標において当面の課題として列挙されている事項については、平成23年度には以下の取組を実施した。
1)地球環境モニタリングの推進等により得られた地域毎の温室効果ガス濃度の年々変動の実態とその原因に関する科学的知見や、陸域生態系モデルの高度化に関する研究等の現状と今後取り組むべき課題についての最新情報など、今後の地球温暖化対策に関する計画策定の基礎となる情報を提供し、計画のさらなる精緻化に必要な調査研究課題の検討に活用された。
また、温室効果ガス削減に向けた施策の評価に関するアジア太平洋統合評価モデル(AIMモデル)を用いた研究成果が、中央環境審議会地球環境部会等において、2020、2030年のエネルギーミックスと地球温暖化対策(温室効果ガス排出量)の選択肢の検討に活用された。また国内排出量取引制度の効果や経済活動への影響の評価に関しAIMモデルを用いて分析した結果が、環境省「国内排出量取引制度の課題整理に関する検討会」において活用された。
2)「子どもの健康と環境に関する全国調査」については、環境省の策定した基 本計画に基づき、コアセンターとして、データ及び生体試料等の集積・保管業務、全国14地域のユニットセンターにおける業務の支援などを行い、円滑な調査の進捗に貢献した。あわせて、集積されるデータの解析手法の高度化や生体試料中化学物質の分析手法の確立に関する研究など、成果発信の基盤となる研究課題を推進した。
3)化学物質の環境ばく露及び毒性情報を収集するとともに、化学物質のリスク評価手法の体系化等の政策支援に係る検討を行い、その結果は環境省環境保健部「化学物質の環境リスク初期評価(第10次とりまとめ)」、中央環境審議会水環境部会水生生物保全環境基準専門委員会「水生生物の保全に係る水質環境基準の項目追加等について」(第1次報告案)の取りまとめ、化審法における生態影響に関する有害性データの信頼性評価等において活用された。
4)生物多様性条約の愛知目標の達成状況評価の解析に必要と考えられる幾つかの指標生物グループ(維管束植物・鳥類・トンボ類等)並びにそれらの減少を引き起こす駆動要因について、過去および現在のデータを収集、整備した。 植生など既存のデータセットについては一部解析を実施し、絶滅危惧植物の絶滅リスク低減効果が高いなど、優先的保全対象地域を明示した全国の生物多様性評価地図を作成し、環境省自然環境局の「生物多様性評価の地図化に関する検討会」に活用された。
(5)東日本大震災からの復旧・復興に関しては、理事長を本部長とする「東日本大震災復旧・復興貢献本部」の下で取組を進め、環境省からの受託研究などにより1)災害廃棄物や放射性物質汚染廃棄物の処理、2)環境中の多媒体での放射性物質の実態把握・動態解明に関する調査研究を、他機関とも連携しつつ進めたほか、所内公募研究制度により震災対応型研究を募集し、被災地の環境影響等に関する研究を実施した。なお、放射性物質に汚染された環境試料等を所内に持ち込んで取り扱う研究を開始することから、その安全かつ適切な実施を確保するため、新たに規程やマニュアルを整備した。
1)災害廃棄物に関しては、全国の専門家で構成される「震災対応ネットワーク」を立ち上げ、様々な技術情報(塩分を含んだ廃棄物の処理方法、津波堆積物への対応等)を作成・提供し、環境省や被災地自治体等による現地対応を支援した。また、海水を被ったがれき処理や仮置場火災防止等に関する緊急的調査研究を実施し、環境省通知等に適宜反映された。さらに、環境省が編成する巡回チーム等に研究者を派遣し、仮置場火災防止など個別課題への技術的助言も実施した。
放射性物質汚染廃棄物等への対応としては、廃棄物中の放射性物質の挙動、焼却や埋立処分など処理処分過程での安全性評価、調査測定分析方法の標準化等について調査研究を実施した。こうして得られた知見を技術資料や暫定マニュアルとして公表するとともに、環境省災害廃棄物安全評価検討会に随時提供し、放射性物質汚染対処特措法に基づく各種技術基準やガイドライン策定等に貢献した。
2)環境中の多媒体(大気、水、土壌、生物・生態系等)での放射性物質の実態把握・動態解明に関しては、これまで蓄積した大気汚染物質や化学物質に係る知見を基礎として放射性物質に応用し、動態計測手法、多媒体モデリング手法、微量分析法の高度化を進めた。その初期的な成果として、放射性物質の大気輸送沈着シミュレ−ション結果が、厚生労働省の「水道水における放射性物質対策検討会」における水道水中の放射性物質対策の検討や、「食品中の放射性物質のモニタリング計画策定のための航空機モニタリング・WSPEEDI・国立環境研究所モデルによる沈着量分布の同時発信」(平成23年8月31日)」の発表に当たり、活用された。
5.研究環境の質の向上
(1)第3期で再編した新たな8センター体制の運営の基盤となる研究費について、各センターの研究計画に基づく試算を精査・調整して配分を行った。また、外部競争的研究資金についても、応募に際して参考となる情報をイントラネットに掲載するとともに、提案内容の精査・助言等により研究提案力の向上を図った。
施設面では、スペース課金制度により研究空間の最適配分に努めたほか、新たに必要となった放射性物質により汚染された環境試料を扱う研究(震災放射線研究)に対応するため、所内の既存スペースを供出してもらうなどにより、新たな研究スペースを確保した。
人材育成の観点から、英語論文研修等の各種研修を実施して知識・能力の向上を図るとともに、(2)で記述している若手研究者を対象とした「新発想型研究」を所内で公募し、実施した。
また、研究活動に役立つ情報を収集・整理し、様々な種類の環境情報をインターネット等を通じて効果的また統合的に利用できる情報基盤の整備・運用を行った。
このほか、研究開発力強化法に基づく人材活用方針に基づき、若年者、女性、外国人の一層の能力活用を図るため、妊産婦が搾乳等できる休憩室の開設及び一時預り保育室の整備のための工事、外国人研究者生活支援制度の試行的導入等を新たに行った。
(2)所内公募と評価に基づき運営される所内公募型研究については、従来は特別研究及び奨励研究を実施してきたが、平成23年度からこれを見直し、新たに「分野横断型提案研究」及び「新発想型提案研究」を開始するとともに、東日本大震災に対応して緊急的に「震災対応型提案研究」を行うこととした。また、平成22年度後期に採択・開始した奨励研究課題を引き続き継続した。(資料11、12、13)
分野横断型提案研究は、複数の分野にまたがって行われるプロジェクト型の研究であり、新発想型提案研究は、より小規模なもので、新しい発想、アイディアに基づく萌芽的な研究である。また、震災対応型提案研究は、震災を被った地域の環境影響等に関する初動的な研究である。
これらの研究については、内部の研究評価委員会により事前評価・採択と事後評価を行っており、新発想型提案研究、震災対応型提案研究及び奨励研究の事後評価等の状況は資料12及び13のとおりである。
(3)震災により被災した施設の復旧等の対応や夏季の節電については、以下の取組を行った。
1)東日本大震災による研究所施設・設備の被害状況を把握・調査を行った結果、壁・天井材の崩落、ひび割れ、漏水、配管類の破断、空調設備の損壊が多数生じた。たとえば、8階建ての大気汚染質実験棟においては、基礎や内外壁にひび割れが見られるほか、天井の開閉式ドームがレールから外れ、雨が直接建物内に吹き込む状態であり、付帯する防火水槽にも損壊が見られる状況であった。そのため、平成23年11月に成立した平成23年度第3次補正予算により、復旧工事の設計を終えたところであり早急に復旧工事を行う。
東日本大震災直後に理事長を本部長とする災害対策本部を設置し、緊急的な措置を講じたが、さらに、所員の安全・安心を平時から確保していくため、緊急時の避難等に必要なインフラ、装備で不足・故障しているものの整備・回復を進めた。
2)夏季の節電対策については、環境研究を実施する機関として自ら率先して取り組むこととした。具体的には、理事長を本部長とする節電対策本部を設置し、法的義務を超えて基準電力量の20%削減を目標とする節電計画およびアクションプランを策定し、研究業務への影響を極力抑えつつ組織をあげて強力に取り組んだ。目標を達成するためには、執務室照明の間引き等の通常の節電対策だけでは不足するため、スーパーコンピュータ等の研究施設の停止や、恒温・恒湿室の温度・湿度条件の見直し、冷凍・冷蔵機器の統廃合等の研究に影響がある対策まで行わざるを得なかった。さらに、一部設備については所内研究者の検討に基づき、昼間運転を夜間運転に切り替えることにより実験を継続するなどの様々な取組・工夫の結果、電力消費量について目標を大きく超えたピークカットを達成した。
- このリンクはPDFデータにリンクします(資料1)独立行政法人国立環境研究所憲章 [PDF:337KB]
- このリンクはPDFデータにリンクします(資料2)平成23年度共同研究契約および協力協定等について [PDF:633KB]
- このリンクはPDFデータにリンクします(資料3)平成23年度地方環境研究所等との共同研究実施課題一覧 [PDF:361KB]
- このリンクはPDFデータにリンクします(資料4)大学との交流協定等一覧 [PDF:357KB]
- このリンクはPDFデータにリンクします(資料5)大学の非常勤講師等委嘱状況 [PDF:293KB]
- このリンクはPDFデータにリンクします(資料6)客員研究員等の受入状況 [PDF:344KB]
- このリンクはPDFデータにリンクします(資料7)国際機関・国際研究プログラムへの参画 [PDF:632KB]
- このリンクはPDFデータにリンクします(資料8)二国間協定等の枠組み下での共同研究 [PDF:676KB]
- このリンクはPDFデータにリンクします(資料9)平成23年度海外からの研究者・研修生の受入状況 [PDF:332KB]
- このリンクはPDFデータにリンクします(資料10)各種審議会等委員参加状況 [PDF:329KB]
- このリンクはPDFデータにリンクします(資料11)環境政策への主な貢献事例 [PDF:645KB]
- このリンクはPDFデータにリンクします(資料12)所内公募型研究制度の実施状況 [PDF:336KB]
- このリンクはPDFデータにリンクします(資料13)平成23年度における新発想・震災対応型提案研究の実施状況及びその評価 [PDF:625KB]
- このリンクはPDFデータにリンクします(資料14)平成23年度における奨励研究の実施状況及びその評価 [PDF:334KB]
Ⅱ 自己評価と今後の対応
平成23年度は、東日本大震災による被害や夏季節電の影響を受けつつも、可能な限り研究環境の維持・充実に努めた。環境研究の柱となる8つの研究分野、課題対応型研究プログラム及び環境研究の基盤整備について、第3期中期計画の初年度として、全体としては着実に研究等を推進することができ、また、東日本大震災からの復旧・復興に向けて研究面から貢献すべく様々な調査研究を開始した。
他機関との連携についても、研究連携部門を設置し、国内外の機関との共同研究を通じた連携を推進したほか、第8回日韓中三カ国環境研究機関長会合の開催、IPC Cなどの国際的なプログラムへの参画、AsiaFluxなどの研究ネットワークの中心的役割を担うなど、中核的研究機関として一定の役割を果たせたものと考えている。今後もこうした蓄積を活かしつつ、引き続き戦略的な環境研究の推進を図っていく。
環境政策への貢献については、地球温暖化、環境リスク、生物多様性など様々な分野で国環研の研究成果や知見を提示することにより、積極的な貢献を果たせたものと考えている。特に東日本大震災に関しては、災害廃棄物や放射性物質汚染廃棄物の処理をはじめとした喫緊の課題に対応するため、関係機関と連携して機動的に現地調査等を実施し、その成果・知見を提供することにより各種基準やガイドラインの設定に貢献してきている。今後とも環境省をはじめとして、関連学会や研究機関等と連携しつつ引き続き積極的に貢献していく。
