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平成22年度業務運営の要点

1.総括的運営方針

平成22年度は、第2期中期計画(平成18〜22年度)の最終年度であり、過年度に引き続き、研究組織及び研究プロジェクトの円滑な運営、研究基盤の整備並びに所内諸システムの運用と一層の改善に努めることにより、中期計画で設定された業務目標の着実な達成に向けて以下の取組を進めた。さらに、次期中期計画に向けた研究体制等について検討を行った。

2.研究の構成

(1)重点研究プログラムの推進

  • 国立環境研究所(以下、「国環研」という。)が集中的・融合的に取り組むべき研究課題として設定した4つの重点研究プログラムの推進を図り、すべてのプログラムは、23年3月の外部研究評価委員会による事後評価において高い評価を得た。

(2)先導的・基盤的研究の推進

  • 1)長期的な視点に立って先見的な環境研究に取り組むとともに、長期的・予防的に対応すべき環境問題等への対応のため、8つの基盤的な調査・研究分野において、研究を推進した。
  • 2)競争的な環境下での基盤的研究の推進を図るため、所内公募による「特別研究」及び「奨励研究」を実施した。「特別研究」については14件を実施し、うち2件については外部評価委員会による事後評価を行った。「奨励研究」については28件を実施、うち24件については、事前評価・採択及び事後評価を内部の研究評価委員会で行った。

(3)知的研究基盤の整備

  • 国環研内外の様々な研究の効率的な実施及び研究ネットワークの形成を推進するため、知的研究基盤の整備を行った。その成果については、23年3月の外部研究評価委員会において、高い評価を得た。

3.環境研究の戦略的推進

(1)企業との共同研究(11件)、企業からの受託研究及び研究奨励寄付金による研究(32件)を、着実に進めた。

(2)大学との間の交流協定等は、前年度の19件から1件増加して20件となった。人的交流としては、研究者が大学の客員教員・非常勤教員となるほか、大学からの客員研究員や研究生の受入れなどを行っている。

(3)地方との間では、全国環境研協議会と連携して、第25回全国環境研究所交流シンポジウム(テーマ「地域の生物・生態系が危ないー大気汚染と外来生物の影響ー」)を開催するとともに、地方環境研究所との協力に関する検討会を開催した。また、56の地方環境研究所との間で45課題の共同研究を実施した。

(4)国際的には、UNEP、IPCC、OECD等の国際機関の活動やGEOSS(全地球観測システム)10年実施計画等の国際研究プログラムに積極的に参画するとともに、AsiaFluxネットワーク、GIO(温室効果ガスインベントリオフィス)、GCP(グローバルカーボンプロジェクト:平成16年4月から)の事務局としての活動等の取組を進めた。さらに、22年11月〜12月のCOP16/CMP6(メキシコ・カンクン)にNGOとして参加した。

(5)次期中期計画に向けて、理事長、理事及び各ユニット長の参加する「次期中期計画に関する懇談会」において、今後の研究体制、運営システム等について検討を行った。さらに、11月からは「次期中期移行に関する懇談会」を設置し、より具体的な研究推進体制等の検討を進めた。

4.研究成果の積極的な発信と社会貢献の推進

(1)論文発表等については、22年度の査読付き発表論文数は491件、誌上発表件数は704件、口頭発表件数は1,402件で、平成13年度から17年度までの年間平均値のそれぞれ1.41倍、1.21倍、1.32倍に相当し、年度目標(第1期中期目標期間中の年平均より増加)を達成した。

(2)市民の環境保全への関心を高め、環境問題に関する科学的理解及び研究活動への理解の増進を図るため、マスメディアやインターネット、刊行物等を通じた情報の提供を進めた結果、22年度中に国環研の研究が紹介された新聞報道は374件にのぼった。また、国環研ホームページからは、研究成果に基づく多彩なコンテンツの公開を推進した結果、利用件数(ページビュー)は、年間の総計が約3,172万件(17年度比28%増加、21年度比13%増加)であった。

(3)共同研究等を通じた産学官交流による成果活用に努めた。また、知的財産については、職務発明に係る特許として5件が新たに登録され、国環研が保有する特許権等は42件となった。また、特許の取得等を促進するために、顧問契約を結んでいる特許事務所に知的所有権の取得、活用について相談等が行えるよう支援環境を維持した。

(4)22年8月2日、天皇皇后両陛下が国立環境研究所を行幸啓され、生物多様性に関する研究概要等の説明を御聴取いただくとともに、環境試料タイムカプセル棟をご覧いただいた。

(5)国民への成果還元の一環として、22年6月に国環研の研究成果を発表する公開シンポジウム2010「4つの目で見守る生物多様性−長い目、宙(そら)の目、ミクロの目、心の目−」を東京と京都で開催し、計760名の参加を得た。また、研究所の一般公開(4月と7月)、国内外からの視察(国内82件、海外43件)により、5,812人を研究所に受け入れた。特に7月24日(土)に開催した国立環境研究所「夏の大公開」においては、研究所周辺の交通渋滞の回避、環境への負荷の低減等の観点から、公共交通機関の利用を促進するため、これまでと同様、(独)産業技術総合研究所と共同で無料循環バスを運行したほか、つくば市等の協力を得て、「つくバス」を活用した取組を実施した。このほか、エコライフ・フェア2010をはじめとして、環境研究・環境保全に関するイベント、展示会等に積極的に協力した。

(6)環境政策立案等への貢献について、国の審議会等への参画人数を指標としてみると、22年度においては、499件の審議会等に延べ685人の職員が参画し、参加延べ人数は、第1期中期目標期間の終了年度の566人を超え年度目標を達成した。22年度においては、4つの重点研究プログラムをはじめとした国環研の研究成果や知見を提示することにより、温室効果ガス排出量削減の中期目標の設定、循環資材の安全品質評価に係るJIS試験法等の設定、微量PCB簡易測定法に関する環境省のマニュアルへの反映、有害大気汚染物質の健康リスク評価に係る環境省のガイドラインとりまとめ、水質総量規制基準の策定や、今後の水環境保全行政の取組の検討などへの貢献が行われている。このほか、環境省の策定した基本計画に基づき、「子どもの健康と環境に関する全国調査」のコアセンターとしての体制、機能の整備を進め、調査対象者のリクルートを開始した。また、東日本大震災に伴う災害廃棄物の処理については、関係研究者・専門家によるネットワークの中核として、環境省や関係自治体の対応を技術面から支援している。

5.環境情報の収集、整理及び提供に関する業務

(1)「環境展望台」を22年7月に公開した。環境展望台は、19年10月に運用を開始した「環境研究技術ポータルサイト」を発展させ、様々な環境情報を統合的に利用できるプラットフォームである。環境展望台では、これまで提供してきたニュース・イベント情報、環境研究・環境技術に関する情報、環境学習に役立つ情報とともに、利用者が、様々な環境情報の中から必要な情報にたどり着くのが容易となる「情報源情報(メタデータ)」及び「検索システム」、環境政策・環境法令に関する情報などを新たに加えた。また、環境情報を一貫して提供するポータルサイトの機能を持たせるため、23年3月に、下記(2)環境GISを「環境展望台」に統合した。

(2)「環境GIS」については、既存コンテンツの運用を行うとともに、新しいコンテンツとして、「酸性雨調査」を公開した。また、「大気汚染予測システム」の高精度予測について、中四国及び東北地域を追加した。さらに、地域の環境指標等を整備した。

6.人材の効率的な活用

(1)研究課題への対応等のため、22年度においては、研究系職員13人(うち、任期付研究員12人、女性3人)を新たに採用した。また、任期満了となる任期付研究員6人をパーマネント研究員として採用した。一方で職員や任期付研究員等の大学への転出者等が14人(うち任期付研究員は8人(6人はパーマネント職員に採用))あり、22年度末の研究系職員の数は、前年度185人に比べ5人増の190人となった。また、研究系職員のうち任期付研究員は34人(17.9%)である。

(2)増大する研究ニーズに応えるため、NIES特別研究員、NIESフェロー、NIESポスドクフェロー等の研究費により雇用する研究員を配置した。22年度末の員数は204人であり、前年度199人から5人の増加となった。

(3)研究開発力強化法に基づく人材活用等に関する方針を定めた(平成23年2月)。

(4)職員の職務能力向上のため、面接による目標設定と業績評価を行う職務業績評価制度を全職員を対象に実施した。21年度職務業績の評価結果については、22年度の6月期業績手当及び昇給に反映させた。

7.財務の効率化

(1)支出の削減に努め、年度計画に基づく業務経費・一般管理費・人件費の各削減目標の達成を目指して予算執行を行った。

(2)事務処理の効率化を図るため、新会計システム及び人事・給与システムの構築を行った。(運用は平成23年4月から)

(3)契約の適正化について、「随意契約等見直し計画」(平成22年4月)、「独立行政法人の契約状況の点検・見直しについて」(平成21年11月17日閣議決定)等に基づく取組を進めた。

(4)保有施設等については、コンプライアンスの視点を含め管理状態、利用状況等を点検し、管理の是正や不要資産の処分を行った。

8.効率的な施設運用

(1)共同研究等を含めて大型研究施設等の効率的・計画的な利用を進めるとともに、所内公募と評価による機器更新、計画的な施設の改修等の保守管理を行った。

(2)独立行政法人整理合理化計画に従い、奥日光フィールド研究ステーションについては、研究拠点としての利用を20年度末までに廃止するとともに、22年度に観測タワー、取水施設の撤去を実施した。

(3)研究施設のスペースの効率的な利用を図るため、スペース課金制度実施規程に基づき、928uのスペースについて利用再配分を決定する等、研究所のスペースの合理的な利用と業務の適正かつ効率的な運営を図った。

9.環境配慮の取組

(1)「独立行政法人国立環境研究所環境配慮に関する基本方針」に基づき、研究計画との調整を図りつつ大型施設等の計画的休止、エネルギー管理のきめ細かな対応等に取り組んだ。また、省エネ型冷凍機、大型ポンプへのインバーター装置及び貫流ボイラーを最大限に活用し対策に取り組むとともに、17年7月から開始したESCO事業を着実に推進し、一層の省エネ及びCO削減を図った。

(2)その結果、22年度の削減状況は次のとおりである。電気・ガスのエネルギー消費量は、対12年度比・床面積当たりで33.2%の削減となった(計画目標は対12年度比・床面積当たり20%以上削減)。また、二酸化炭素の排出量は対13年度比・総排出量で30.2%の削減となった(計画目標は対13年度比・総排出量で14%以上削減)。なお、22年度実績では、東日本大震災の影響により研究所の活動が低下したことによる削減分も含んでいる。

(3)上水使用量については、対12年度比・床面積当たりで48.4%の削減となった。(計画目標は対12年度比・床面積当たりで30%以上削減)

(4)「廃棄物・リサイクルに関する基本方針」に基づき、廃棄物の分別収集を徹底し、廃棄物の減量化・リサイクルに努め、処理・処分の対象となる廃棄物は、対16年度比で47.9%の削減となり、そのうち特に可燃物の量は、対16年度比で50.8%の削減となった。

(5)「環境配慮促進法」に基づき、21年度の事業活動に係る環境報告書を作成し22年7月に公表した。

(6)環境に配慮した取組の一層の充実を図るため、19年4月に策定した「環境マネジメントシステム運営規程」に基づき、本所内を対象として環境マネジメントシステムを運用した。

10.内部統制の確保

(1)理事長のマネジメントを支援する体制として、理事長、理事及び主要幹部で構成する五役会議を原則として毎週開催し、研究所内外の状況変化を情報共有しつつ、理事長のリーダーシップの下で、研究所のミッションを踏まえた運営上の課題(リスク)の把握、対応の方向性の検討等を行った。

(2)全所的な取組体制としては、研究所のミッション、課題等を所内各層で共有しつつ、対応を検討・周知するため、理事会に加え、ユニット長会議、研究評価委員会、室長クラスで構成する運営協議会等を定期的(原則毎月)に開催しているほか、特定テーマの検討を効率的・効果的に進めるために各種委員会を設置するなど、適切なマネジメントの確保に努めた。

(3)計画的な進行管理と課題対応を図る体制として、各ユニット長と理事長、理事との面接により、当該年度の業務計画を作成・実施するとともに、ユニット長会議において業務進捗状況等の定期報告を行い、早い段階で進行上の問題点等を明確にし、その対応を図るなど、適切な進行管理に努めた。

(4)コンプライアンスの徹底を図るため、独立行政法人国立環境研究所コンプライアンス基本方針を定め(平成22年9月8日)、コンプライアンス委員会運営要領を制定し(平成22年10月6日)、さらに同委員会において、所内のコンプライアンスチェック体制を確認するとともに、法令等に基づく届出のチェック等を行った。

11.東日本大震災への対応

(1)震災直後に、適時適切な種々の対応策を迅速に講じることを可能ならしめ、早急な復旧と二次災害の発生防止を図るために、理事長を本部長とする「東日本大震災対策本部」を設置し(23年3月14日)、所員の安全確保、施設等の速やかな復旧等に迅速に対応した。

(2)さらに、激甚な震災を被った地域の復旧・復興に協力・貢献するため「東日本大震災復旧・復興貢献本部」を設置(23年3月29日)するとともに、貢献活動の三本柱を次のように設定し、積極的な活動を行っている。

1)災害廃棄物対策

2)地元の環境研究所等との協働

3)適時適切な情報提供で貢献

(3)国環研ホームページに「東日本大震災関連ページ」を緊急に設け、国環研の取組状況や情報源情報などの情報提供を開始した(23年3月31日)。

(4)特に、災害廃棄物に関しては、災害廃棄物関係者の知見を結集し技術的側面から支援するため、研究者・専門家ネットワークを立ち上げるとともに、災害廃棄物処理に関する環境省及び関係自治体等による対応に対して、現場状況や関係者のニーズを踏まえた 技術情報の提供を行っている。


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