平成15年度業務運営の要点
1.総括的運営方針
平成15年度は、中期計画(平成13〜17年度)の中間年度であり、研究組織及び研究プロジェクトの円滑な運営、新たな研究棟を含む研究基盤の整備並びに所内諸システムの運用と一層の改善に多くの努力を傾注することにより、中期計画で設定された研究業務の目標達成に向けて全力を投入した。
2.研究の着実な実施
重点特別研究プロジェクト及び政策対応型調査研究
- 重点特別研究プロジェクト及び政策対応型調査研究については、中期計画の目標の達成に向け着実に推進し、16年4月の外部研究評価委員会において、15年度の成果についての年度評価を受けた。
- 年度評価においては、重点特別研究プロジェクトについては、昨年に引き続き、高い評価を得た。政策対応型調査研究については、化学物質のリスク管理の分野について、着実な知見の蓄積が見られる等との評価を得るとともに、循環型社会の形成の分野に関しては、15年度に新たに外部有識者を招き「循環パネル」を設置、「循環ビジョン研究」に着手したことが一定の評価を得た。
- 年度評価の結果は、各委員からのコメントも踏まえ、16年度以降の研究実施に反映させ、必要に応じて研究計画の見直し等を行いつつ、一層の研究の進展を図ることとしている。
基盤的研究
- 6つの研究領域において基盤的研究を実施したほか、所内公募研究として、主に若手研究者の育成を主眼とした「奨励研究」、及びプロジェクト志向型の「特別研究」を実施した。
- 奨励研究については、公募及び内部研究評価委員会による評価を行い、42件の基盤的研究及び長期的なモニタリングに関する研究を行った。また、特別研究については、外部研究評価委員会の事前評価を行い、新たに2課題を採択した(16年度から実施)。これまでの経験も踏まえつつ、所内公募研究のあり方について、さらに見直しを行っていくこととしている。
知的研究基盤
- 環境研究基盤技術ラボラトリーにおいて、15年度から環境試料及び絶滅危惧種の細胞・遺伝子の長期保存のための環境試料タイムカプセル化事業が開始されるとともに、16年3月に環境試料タイムカプセル棟が竣工し、事業推進のための施設が整備された。地球環境研究センターにおいては、「グローバルカーボンプロジェクトつくば国際オフィス」、「GOSAT研究チーム」の設置のための準備を進めた。
3.企業、大学、地方環境研究所等との連携
- 企業との共同研究(21件)、企業からの受託研究及び研究奨励寄付金(22件)について、着実に進めている。特に(社)日本自動車工業会との間では、15年度から自動車排出ガスに起因するナノ粒子の生体影響に関する共同研究を実施することに合意した(平成15年5月20日に覚書締結)。また16年1月には、2004環境ナノ粒子シンポジウムを協力して開催した。
- 大学との間の交流協定等は、1件増の8件となった。人的交流としては、研究者が大学の併任教官となるほか、大学からの客員研究員や研究生の受入れなどを行っている。
- 全国地方環境研連絡協議会と連携して、全国環境研究所交流シンポジウム(テーマ「土壌地下水汚染の現状と方向」)を開催するとともに、地方環境研究所との協力に関する意見交換会を開催した。また、29の地方環境研究所との間で56件の共同研究を実施した。
- UNEP、IPCC、OECD等の国際機関の活動やGEO(地球観測グループ)、IGBP、Species2000(生物多様性研究ネットワーク)等の国際研究プログラムに積極的に参画するとともに、UNEPのミレニアム・アセスメント、GTI(世界分類学イニシアティブ)のフォーカルポイント、Asia Fluxネットワーク、GIO(温室効果ガスインベントリオフィス)の事務局としての活動等の取組を進めた。
4.研究員の確保、職務能力の向上
- 新たな研究課題への対応等のため、15年度においては、公募により研究系職員15人を新たに採用した。一方で大学への転出者等が9人あり、15年度末の研究系職員の数は、前年度(200人)に比し6人増の206人となった。なお、このうちの任期付研究員は30人、割合にして15%となった。
- 増大する研究ニーズに応えるため、NIESフェロー、NIESポスドクフェロー等の研究費により雇用する研究員の採用を進めた。15年度末の員数は119人であり、前年度(84人)から35人の増加となった。
- 職員の職務能力向上のため、面接による目標設定と業績評価を行う職務業績評価制度を全職員を対象に実施した。14年度職務業績の評価結果については、15年度の6月期ボーナス(業績手当)及び特別昇給に反映させた。
- 研究活動等で顕著な功績があった職員に対するNIES賞の表彰(1名)を行った。
5.自己収入の確保、予算の効率的執行
- 15年度においては、総収入額16,062,000,000円のうち、自己収入として4,722,000,000円を確保した。これは年度当初の見込額(3,508,000,000円)を上まわり、14年度実績(3,910,000,000円)に対し2割強の増であった。その主な内訳は、次のとおりである。
| 15年度 | (14年度) | |
|---|---|---|
| 競争的資金等 | 15年度2,143,000,000円 | (14年度)(2,237,000,000円) |
| 政府業務受託 | 15年度2,301,000,000円 | (14年度)(1,547,000,000円) |
| 民間等受託、 民間寄付 |
15年度226,000,000円 | (14年度)(61,000,000円) |
| 試料分譲、 施設使用料 |
15年度11,000,000円 | (14年度)(13,000,000円) |
- 一定額以上の契約については、専門経験を要するものを除き原則として競争入札によることとし、15年度においては、35件について一般競争入札を行った。特に、所内施設の管理等に係る契約については、対象施設が増加するなかで業務内容の見直し等を行い、経費の削減に努めた。
- 営繕工事については、15年度においては、全ての工事について自主施工により実施し、積算精査等を通じてコスト圧縮に努めた。
- その他、会計事務のシステム面及び手続きの改善等により、事務処理の効率化を図った。
6.施設の効率的運用
- 環境試料タイムカプセル棟及び底質シミュレーター室が竣工し、関連研究の効率的な実施が可能になった。
- 大型施設、大型計測機器等について、所内公募をもとに優先順位を付け、共通性、緊急性の高い研究施設・機器、研究の共通インフラ等の更新・整備を行った。
- スペース課金制度に基づき各ユニットから返納された空きスペースについて、新たな研究ニーズへの対応を中心に526m2を再配分し、有効活用した。
- 大気拡散風洞実験施設の外部使用貸付を行った。
7.環境配慮の取組
- 「国立環境研究所省エネルギー等計画」に基づき、研究計画との調整を図りつつ大型実験施設の計画的休止、エネルギー管理の細かな対応等に取り組んだ。その結果、年間エネルギー消費量が、対12年度比6%の減(床面積当たり)となり、計画目標(10%以上削減)に近づいた。
また、省エネ対策として省エネ型冷凍機、大型ポンプへのインバーター装置の導入等を行った。さらなる省エネを図るためのESCO事業の導入準備を行った。 - 上水使用量については、対12年度比23%の減(床面積当たり)となり、計画の目標(12年度比10%以上の削減)を達成した。
- 「廃棄物・リサイクルに関する基本方針及び実施方針」に基づき、廃棄物の分別収集を徹底し、廃棄物の減量化・リサイクルに努めた。また、廃棄物管理の充実を図るため、関連要領の策定準備を進めた。
8.研究成果の社会への還元、広報活動
- 研究成果の社会への還元の一環として、大学の併任教官としての講義、各種審議会・委員会への参画、企業・地方環境研究所等との共同研究、研究成果を国民各層にわかりやすく普及するための情報誌「環境儀」の刊行(年4号)などを進めた。
- 15年度には6件の発明を職務発明に認定した。なお、15年度には職務発明に係る特許として4件が新たに登録され、研究所が保有する特許権は44件、実用新案権は3件となった。また、特許の取得等を促進するために、専門家による特許相談会を5回開催するとともに、特許事務所と顧問契約を締結し、取得特許の実施化、発明の特許取得可能性等について相談した。
- 15年度の研究成果の誌上発表件数は632件、口頭発表件数は1,153件で、平成8年度から12年度までの年間平均値のそれぞれ1.32倍、1.51倍に相当し、中期計画の目標(平成8〜12年度の1割増)の達成に向けて、着実な成果をあげた。
- 15年6月に国立環境研究所の研究成果を発表する公開シンポジウム2003「環境研究、次の一手」を開催した。15年度は、東京の他、初めて関西(京都)でも開催し、1,100人余りの参加を得た。
- 研究所施設の一般公開(4月と6月)、国内外からの視察(国内94件、海外47件)により、約3,000人を研究所内に受け入れた。
- 「国立環境研究所友の会」による研究所との交流活動を始めとして、環境研究・環境保全に関するイベント、展示会等に積極的に協力を行った。
- マスコミからの取材に積極的に応じ、15年度、当研究所の研究が紹介された新聞報道は76件にのぼった。
9.環境情報の提供等の取組
EICネット
- 環境情報の提供及び情報交流の促進を目的として運営を行っているが、より魅力あるホームページを目指し、画面デザインを刷新したほか、環境用語集の語彙拡充などを実施した。15年度におけるEICネットの利用(ページビュー)件数は、月平均約2,010,000件であり、着実に増加している。
環境技術情報ネットワーク
- 環境保全に貢献する技術の研究開発及び普及の推進を目的に新たなホームページ「環境技術情報ネットワーク」を構築し、15年8月に公開した。
環境GIS
- 「環境省国土空間データ基盤整備等実施計画」に基づき、各種指定・規制図データ(15種類)、環境質測定データ(2種類)のデータベース化を進めるとともに、データの重ね合わせ表示が可能なウェブGISシステム(環境GIS)による運用を行った。
- 環境省から委託・請負を受けGIS等を活用した情報提供システムの基本設計やプログラム開発等を行った。特に、大気汚染物質広域監視システム(通称「そらまめ君」)については、15年度の総アクセス件数は14,500,000件にのぼっている。
国立環境研究所ホームページ
- 15年度における国立環境研究所ホームページの利用ヒット(ページアクセス)件数は、月平均約4,650,000件、年度総計約56,000,000件であり、14年度に比較して約3割増加している。
- 年報、特別研究報告、環境儀等、新規の報告書等の掲載を進めた。
- 国民の関心が高い環境問題について、わかりやすく解説した「環境科学解説」をホームページ上で提供することとし、15年度は、「電磁波の人体への影響」をテーマに掲載した。
- ホームページを通じて最新の研究成果・データベースを積極的に発信するとともに、各研究ユニットからの情報発信を促進した。15年度に公開を開始した主なデータ等は17件である。その中で情報を解析し、一般国民に分かりやすい表現で提供するよう努めている
(例;UVインデックス/紫外線の状況をリアルタイムで色グラフで表示)。
