2-1-(1)環境研究の充実
持続可能な社会の実現を目指し、地球環境の保全、公害の防止、自然環境の保全及び良好な環境の創出の視点に立って、環境政策立案に資する科学的知見の取得に配慮しつつ、学際的かつ総合的に環境分野の研究を推進する。
また、環境技術の開発・普及の視点や、国内外の他機関との協力による研究ネットワークの構築の視点にも留意しつつ、以下のとおり環境研究に関する業務を行う。
15年度計画の位置づけ
環境・科学技術行政との連携、国内外の関係研究機関等との研究ネットワークの継続・強化等を通じて、環境問題を先見した先導的な研究の方向を探索し、環境研究の充実を図る。
業務の実績
環境研究の充実に向け、以下の視点を重視した取組を行いつつ、環境研究に関する業務を実施した。なお、研究業務の詳細な実施内容は、後述する事項の(2)以下に記載している。
1.総合的な研究の推進
- 様々な専門分野をバックグラウンドとする所内の研究者を結集し、国内外の他機関との連携を図りつつ、6課題の重点特別研究プロジェクト及び2課題の政策対応型調査・研究を中心とする分野横断的なプロジェクト研究の実施に努めた。また、環境分野を幅広くカバーする6分野の研究領域をコアとして、基盤的研究を推進した。併せて、常に先を見た研究テーマを考え、長期的に研究所の研究の方向等を恒常的に議論する場として、研究担当理事の下に設置された研究推進タスクフォースにおいて、研究所の長期的ビジョンの検討を進めた。
2.基盤的研究・先行先導的な研究の推進
- 研究領域を中心に若手研究者の育成を図るとともに、奨励研究テーマ等の所内公募研究制度の活用等により、競争的な環境の下での基盤的研究の推進、先行・先導的な研究の発掘・育成に努めた。
3.国内の研究機関等との連携
- 企業、国立研究所・独立行政法人等との間で共同研究契約を締結し、共同研究を実施している(資料28)。また、29の地方環境研究所との間でも共同研究を進めている(資料29)。さらに、企業等から受託研究を10件(11件)、研究奨励寄附金を12件(9件)受けるなど企業等との連携に一定の成果がみられた。
| 13年度 | 14年度 | 15年度 | ||
|---|---|---|---|---|
| 共同研究契約* | 13年度37件 | 14年度40件 | 15年度61件 | |
| 企業 | 13年度18件 | 14年度22件 | 15年度21件 | |
| 国立研究所・独立行政法人 | 13年度7件 | 14年度8件 | 15年度17件 | |
| 特殊法人その他 | 13年度12件 | 14年度10件 | 15年度23件 | |
| 地方環境研究所との共同研究 | 13年度43件 | 14年度45件 | 15年度56件 | |
| 企業等からの受託研究・研究奨励寄付金 | 13年度11件 | 14年度20件 | 15年度22件 | |
- *一つの契約であっても、複数の種類の機関と共同研究を行っている場合には、それぞれ該当する機関の欄に計上している
- 今後の研究協力を模索するために企業等3者(3者)と情報交換・意見交換を行った。特に、(社)日本自動車工業会との間では、15年度から自動車排出ガスに起因するナノ粒子の生体影響に関する共同研究を実施することに合意(平成15年5月20日に覚書締結)したほか、平成16年1月には、2004環境ナノ粒子シンポジウムを開催した。
- 大学との間で教育・研究交流の実施について取り決めた交流協定等は、継続・更新も含めて8件(7件)である(資料30)。人的交流としては、研究者が大学の併任教官となるほか、大学から客員研究員や研究生の受入等を行っている。(資料31)
- 環境関係の国立研究所・独立行政法人の連絡調整・情報交換の場として「環境研究機関連絡会」が設置されており、15年度後半から事務局を務めている。1回目の連絡会を開催し各機関の活動の情報交換を行っており、今後、16年度前半までの任期中に連絡会を開催するとともに、連絡会メンバーによる「研究成果共同発表会」の開催を予定している。
- 全国地方環境研連絡協議会と連携して、第19回全国環境研究所交流シンポジウム(テーマ「土壌地下水汚染の現状と方向」)を開催するとともに、地方環境研究所との協力に関する意見交換会を開催した。
4.国際的な活動への参画及び協力
- UNEP、IPCC、OECD等の国際機関の活動やGEO(地球観測グループ)、IGBP、Species2000(生物多様性研究ネットワーク)等の国際研究プログラムに積極的に参画するとともに、UNEPのミレニアム・アセスメント、GTI(世界分類学イニシアティブ)のフォーカルポイント、Asia
Fluxネットワーク、GIO(温室効果ガスインベントリオフィス)、GCP(グローバルカーボンプロジェクト;16年4月から)の事務局としての活動等の取組を進めた。(資料32)
なお、GIOの取り組みとして、平成15年11月にタイで行われた、「アジア地域における温室効果ガスインベントリーに関するワークショップ」を共催したほか、平成16年1月に「温室効果ガス安定化シナリオワークショップ」を国立環境研究所において開催する等の活動を行った。
また、平成16年4月に東京で開催された第2回地球観測サミット(EOS2)のサイドイベントとして「地球環境モニタリングに関する国際シンポジウム」を開催した。 - 二国間の環境保護協力協定及び科学技術協力協定の枠組みのもとで、14ヵ国(14ヶ国)の研究機関と連携して、70件(72件)の国際共同研究を実施している(資料33)。また、これらの協定に基づく共同研究の見直しを随時行っている。
- 国際協力機構(JICA)の研修生として集団研修等の視察22件167名(18件189名)、個別研修3件3名(3件3名)の受け入れを行った。(資料34)
5.環境行政、科学技術行政との連携
- 中央環境審議会や専門委員会への参画や、各種委員会・検討会での指導的役割、さらに受託業務の実施等を通じて、研究所の科学的知見を環境政策の検討に活かすよう努めた。その一環として、グローバルな炭素循環に関する分野横断的かつ総合的な国際共同研究等を行うため、平成16年4月に「グローバルカーボンプロジェクト(GCP)つくば国際オフィス」を設置するための準備を進めた。
- 環境省が中心となって対応することとなった旧軍化学兵器によると見られる有機ヒ素化合物汚染について、受託業務として住民の健康被害、汚染源及び汚染の広がりを特定するための土壌、地下水汚染の調査研究を実施した。
- 総合科学技術会議事務局に、研究所から参事官等として出向させるとともに、環境分野の推進戦略に位置づけられた「イニシャティブ」の活動に積極的に参画した。
6.環境技術研究に関する取組
- 化学物質の計測技術や廃棄物の処理・リサイクル技術等の開発をはじめとした研究を行っており、15年度からナノテクノロジーを活用した環境技術開発・研究に着手するとともに、専門家の意見・助言を得るためのアドバイザリーボードを設置した。また、洋上風力発電や、廃棄物等を利用した水素製造技術に関する研究を開始した。
- こうした知見をベースに、企業との共同研究等を通じて環境技術の開発・普及に積極的に寄与するとともに、環境省等における環境技術の開発・評価等の検討への知見の提供に努めた。
関連資料
- (資料28)平成15年度共同研究契約について [PDF:13KB]
- このリンクはPDFデータにリンクします(資料29)平成15年度地方環境研究所等との共同研究 [PDF:63KB]
- このリンクはPDFデータにリンクします(資料30)大学との交流協定一覧 [PDF:9KB]
- このリンクはPDFデータにリンクします(資料31)大学の非常勤講師等の併任・委嘱状況 [PDF:16KB]
- このリンクはPDFデータにリンクします(資料32)国際機関・国際研究プログラムへの参画 [PDF:24KB]
- このリンクはPDFデータにリンクします(資料33)二国間協定等の枠組み下での共同研究 [PDF:27KB]
- このリンクはPDFデータにリンクします(資料34)平成15年度JICA研修の受入状況 [PDF:13KB]
自己評価と今後の対応
15年度も、環境研究に関して、総合科学技術会議の定めた環境分野の推進戦略の下で重点課題に省庁横断的に取り組む「イニシャティブ」の活動へ積極的に参画するとともに、各種機関との協力や委員会への参画等を通じて、社会的ニーズを踏まえた研究の実施に努めた。
国際的な活動では、13年度よりスタートしたUNEPのミレニアム・アセスメントへの参画、GTIのフォーカルポイント、Asia Fluxネットワーク、GIO(温室効果ガスインベントリオフィス)の事務局等の活動に加え、平成16年4月からGCP(グローバルカーボンプロジェクト)のつくば国際オフィス開設の準備を進め、世界に貢献するとともに、世界のフロンティアを取り入れた研究課題の設定を行った。
また、今後の地球観測の方向性を議論している地球観測サミット(EOS)及び地球観測作業部会(GEO)に積極的に参画し、平成16年4月に東京で開催された第2回地球観測サミットのサイドイベントを当研究所が主催するなど、具体的な貢献を行っている。
大学との交流は、ジョイントフォーラムの開催など、研究協力の着実な進展が見られた。また、環境研究を実施している国立研究所や独立行政法人の間での情報交換・意見交換も進んでいる。
一方、企業との共同研究や企業からの受託研究については、例えば今年度から始まった日本自動車工業会との共同研究において、共同でシンポジウムを開催する等、その推進に努めた。
今後とも、国内外の研究機関や研究プログラムとの協力や、大学、企業など多方面との連携強化に努めていく。
