背景と経緯

背景

人々を取り巻く社会環境、生活環境は大きく変わってきており、それにともない、環境の汚染や変化が人の健康などに悪影響を及ぼす可能性(=環境リスク)が増大しているのではないかという懸念があります。

なかでも、化学物質など環境中の有害物が子どもの成長・発達にもたらす影響について、国内外で大きな関心を集めています。

近年、子どもたちの間では、ぜんそくやアトピーなど生活環境の中にある物質が原因とされる疾病が増加しています。その多くは環境の中の物質、運動や食事などの生活習慣、遺伝的な性質などが関係しあって起こるとされています。

脆弱(ぜいじゃく)であるとされている子どもたちの健全な成長・発達に、環境要因が与える影響を明らかにすることは重要です。化学物質の曝露や生活環境など、胎児期から小児期にわたる子どもたちの成長・発達に影響を与える環境要因を明らかにするため、環境省では疫学調査によるアプローチを計画しました。それが、エコチル調査です。

疫学調査とは

環境リスクが私たちの健康に与える影響を明らかにするために、従来から動物実験、基礎研究を中心としたメカニズムの解明が図られてきました。一方で動物と人間とでは、形態学的、生理学的に大きな違いがあることから、動物実験の結果だけから人間の健康影響を知ることは困難です。

人間になんらかの影響が生じているのかどうかを、実際に人間の集団で観察することが重要になります。このような調査を疫学調査といいます。

調査の目的

エコチル調査の目的は、子どもの成長や健康に影響をあたえる「環境要因」をさがし、解明していくことです。

調査の結果にもとづき、子どもの成長や健康に影響をあたえる原因となる物質の使用を規制するなど有効な対策を講じることで、子どもが健やかに成長できる環境、安心して子育てができる環境の実現をめざしていきます。

調査の目的

エコチル調査によって子どもたちの成長・発達に影響を与える環境要因が明らかとなれば、リスク管理部局への情報提供を通じ、自主的取組への反映、化学物質規制の審査基準への反映、環境基準(水質、土壌)等、適切なリスク管理体制の構築へとつなげることができます。

また、この調査を通じて、環境保健の分野における若い研究者を中心とした人材育成も推進されます。

国際的にも注目されています

エコチル調査は、子供の環境保健に関する長期的で大規模な疫学調査として、国際的にも高く評価されています。
デンマークやノルウェーなど、世界各国で行われている子どもと環境に関する調査とも協力体制を整えています。

出典:環境省ホームページ(https://www.env.go.jp/chemi/ceh/about/why.html)