国立環境研究所環境リスク・健康領域環境リスク科学研究推進室および生態毒性研究室では、生態影響試験に関する標準機関として、幅広い機関への試験の普及を図るため、平成23年度より「生態影響試験実習セミナー」を年2回開催しております。
17回目となる今回は、OECDテストガイドラインに準拠したユスリカの遊泳阻害試験及び底質毒性試験の導入及びそれらの技術向上を目指したい方を対象に、令和5年7月5日(水)~7日(金) の3日間の日程で開催します。前回と同様に、対面実習に加えて、座学や講演等をWeb配信するハイブリッド形式で行います。皆様のご参加をお待ちしております。
日程 | 令和5年7月5日(水)~7日(金) 5日:13:00~17:00、6日:09:00~17:00、7日:09:00~15:00 |
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場所 | 国立環境研究所 環境リスク研究棟 〒305-8506 茨城県つくば市小野川16-2 |
対象 | ユスリカ遊泳阻害試験及び底質毒性試験の導入 及び技術向上を目指したい方※ |
定員 | 現地参加15名(各機関1名まで)、 オンライン参加(座学・講演等のWeb配信の受講) は制限なし 定員超過の場合、生態影響試験の経験等を 考慮し参加者決定 |
参加費 | なし (昼食費は必要に応じて実費となります) |
※初心者から中級者向けの基本的な概要・操作説明及び実習を予定しております。
環境リスク・健康領域リスク科学研究推進室(前:環境リスク健康・研究センター リスク評価科学事業連携オフィス 生態毒性標準拠点)および生態毒性研究室は、生態影響試験に関する標準機関として生態影響試験の普及・標準化を重要なミッションの1つと位置づけており、新たに導入を検討している試験機関や民間試験施設、地方環境研究所等を対象に、基礎的な知識・技術等の普及を目的とした短期実習セミナーを平成23年度より開催しております。
平成30年6月15日に「農薬取締法の一部を改正する法律」が公布され、動植物の影響評価の対象が従来の「水産動植物」から「生活環境動植物」に拡大されました。この改正に伴い、平成28年よりネオニコチノイド系殺虫剤など一部の神経系殺虫剤に対して試験が義務付けられていたユスリカ幼虫を用いる遊泳阻害試験が、すべての新規登録を要請する殺虫剤に対し必須となりました。2011年に採択されたOECDテストガイドライン235(OECD TG 235)によるユスリカ幼虫を用いた遊泳阻害試験は、推奨種のドブユスリカ(Chironomus riparius)に加えて、同属の国内種であるセスジユスリカ(C. yoshimatsui)を用いることができますが、採択当時はセスジユスリカに対し十分な検証が行われていなかったことが課題となりました。
また、ユスリカは本来、底生生物であり、底質移行性の高い化学物質を評価するOECDテストガイドラインとして、底質に被験物質を添加する底質添加法(OECD TG 218)と上層水に被験物質を添加する水添加法(OECD TG 219)の2種類の底質毒性試験法があります。現状、国内の底質リスク評価は、化学物質審査法での優先評価化学物質のリスク評価(一次)評価IIに限られていますが、諸外国では欧州のREACHや米国のFIFRAを始め、底質移行性のある工業化学物質、農薬などを対象に底質リスク評価が実施されており、ユスリカだけではなく、ヨコエビやオヨギミミズ、ゴカイなど様々な底生生物を用いた底質毒性試験が用いられています。国内でも将来的に底質リスク評価の拡大を図る上で、底質毒性試験の特徴を理解し、信頼性の高い試験結果を得ることが必要です。
信頼性の高い試験結果を得るためには、ガイドラインに示された試験法の実際を経験し、操作技術のノウハウの修得、必要な設備・器具等の整備、安定的な試験生物の入手・継代等を行うことが重要です。このような背景から、17回目となる本セミナーでは、セスジユスリカを用いたOECD TG 235とOECD TG 218およびTG 219の一部(人工底泥の調整、観察の方法など)を対象とした実習と座学を行います。さらに、ヨコエビなどのその他の底質毒性試験に関する最新の情報を提供するとともに、国立環境研究所環境リスク棟や水環境実験施設の見学なども予定しております。
今回のセミナーでは、基本的な試験操作に加え、技術や精度のさらなる向上を目指したい方を対象とした、初心者から中級者向けの内容を予定しております。新型コロナウイルス感染症防止対策の観点から、対面実習の規模は縮小して行い、必要に応じて感染防止対策にご協力をお願いする場合がございますので、予めご了承ください(詳細は「感染防止対策」参照)。なお、座学や講演等をWeb配信するハイブリッド形式で行います。
OECD TG 235に準拠したユスリカ幼虫を用いた遊泳阻害試験およびOECD TG 218およびTG 219を中心とした底質毒性試験を対象として、主に以下の内容を実施します。
(※プログラムの内容は、予告なく変更する場合があります。予めご了承下さい。)
日時 | 内容 |
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【1日目】 7月5日(水) | |
12:30~13:00 | 受付 |
13:00~13:15 | 開会の挨拶、セミナー開催の趣旨など |
13:15~14:00 | [座学]ユスリカ遊泳阻害試験の概要 |
14:00~16:00 | [実習]ユスリカ遊泳阻害試験の実施(試験開始、卵塊選別) |
16:00~16:15 | 休憩 |
16:15~16:45 | [座学]ユスリカの飼育について |
16:45~17:00 | 質疑応答+翌日の説明等 |
【2日目】 7月6日(木) | |
09:00~09:45 | [座学]ユスリカ底質毒性試験の概要 |
09:45~10:45 | [実習]ユスリカ遊泳阻害試験の観察 |
10:45~12:00 | [実習]ユスリカ底質毒性試験(人工底泥調製、観察など) |
12:00~13:00 | 昼食 |
13:00~13:40 | [講演]セスジユスリカを用いた試験法の検討について(仮) (国立環境研究所 菅谷芳雄) |
13:40~14:30 | [座学]底質毒性試験法に関わる最新動向 |
14:30~14:45 | 休憩 |
14:45~15:30 | [講演]ユスリカのDNAバーコード収集とその利用 (国立環境研究所 今藤夏子) |
15:30~16:45 | 所内見学:実験施設及び実験機器などの紹介 |
16:45~17:00 | 質疑応答+翌日の説明等 |
【3日目】 7月7日(金) | |
09:00~10:00 | [実習]ユスリカ遊泳阻害試験の観察と集計 |
10:00~12:00 | [座学+実習]統計解析 |
12:00~13:00 | 昼食 |
13:00~13:30 | [座学]ユスリカ遊泳阻害試験結果の総評 |
13:30~14:40 | [講演]未定 |
14:40~15:00 | 総評、アンケートの実施、閉会の挨拶 |
https://forms.office.com/r/Aaa246AMJK ※こちらのリンクは外部サイトに移動します.
参加受付期間 : 令和5年5月15日(月)~6月7日(水)
参加証送付 : 6月9日(金)までに電子メールにて送付いたします。
国立研究開発法人国立環境研究所 環境リスク・健康領域
第17回生態影響試験実習セミナー事務局
担当:渡部、日置、山岸、大野、山本
Tel:029-850-2864
E-mail:
新型コロナウイルス感染症のまん延に伴い、様々な感染症防止対策の実施が要請されてきましたが、令和5年3月13日より、マスクの着用は個人の判断に委ねることが基本となり、令和5年5月8日より、新型コロナウイルス感染症の感染症防止上の位置づけの変更を受け、個人や事業者の自主的な感染対策に委ねられることになりました。本セミナーでは、政府が提供する「基本的感染対策と今後の考え方」に関する情報提供を受け、現時点では、以下の感染防止対策を講じたいと考えております。参加者の皆様のご協力を賜りますようお願い申し上げます。