概要
災害・事故に伴う化学物質リスクへの懸念はおそらく広く認識されていると思います。近年、我が国では危険物施設の火災及び流出事故は増加傾向にあり、環境汚染の視点からの対応が求められますが、その方法や体制は十分に確立されているとは言えません。特に、化学物質が施設外の一般環境に流出した場合、あるいは更には懸念される南海トラフ巨大地震のような際に大規模あるいは複合的な流出事象が発生した場合に、自治体や科学者集団がどのように連携し、どのような方法で対処していくのか、水濁法などの措置はありますが対応範囲は限定的と思われ、広く多様なケースに対応すべき体系的な検討が不足していることが課題です。
私たちは、環境研究総合推進費における戦略的課題S-17「災害・事故に起因する化学物質リスクの評価・管理手法の体系的構築に関する研究」において、多くの研究者による共同研究として、災害・事故に起因する化学物質リスクの評価・管理手法を様々な専門分野と角度から開発する研究課題を進めてきました。
本講演会では、S-17課題における成果、特に災害・事故に伴う化学物質リスクへの対処において必要となる調査あるいは評価技術を開発した成果、また、開発された知見や技術を効果的に引き出し活用するために構築した情報基盤の機能を紹介します。後半では、開発中の情報基盤を実際に操作していただき、どのように技術を活用できるのか、また、開発中の課題へのご意見もいただき、最終的に広く活用可能な成果とするために生かしたいと思っております。
ご関心の皆様のご参加をお待ちしております。
環境研究総合推進費 戦略的研究開発課題S-17 研究班メンバー一同
環境研究総合推進費S17課題ホームページ
プログラム
(*プログラムの内容は、予告なく変更する場合があります。予めご了承ください。)
時刻 | 内容 | 発表者(敬称略) |
10:00 | 開会と趣旨説明 | 開催趣旨 | 国立環境研究所 鈴木規之
| 環境省挨拶 | 環境省環境保健部環境安全課 高澤哲也課長 | 災害・事故での化学物質管理の考え方 | 国立環境研究所 鈴木規之 | 災害事故時の環境リスク管理に関する情報基盤システム | 国立環境研究所 今泉圭隆 |
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10:40 | 災害・事故での非定常環境の考え方と事例 | 災害・事故時のリスク管理における対策オプションの評価に関する研究 | 大阪大学 東海明宏
| 非定常状態における健康リスク評価に向けた新たな知見 | 明治大学 川口真以子 | さまざまな事例と経験 | 国立環境研究所 小山陽介 産業技術総合研究所 小野恭子 |
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11:20 | 災害・事故における異常検知と影響予測手法の開発 | 水道における原因同定と対応 | 国立保健医療科学院 浅見真理
| 災害・事故事象による化学物質の大気・水域拡散予測手法の開発 | 産業技術総合研究所 恒見清孝 | 発生直後対応のための情報の統合 | 東京医科歯科大学 高橋邦彦 |
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12:00 |
休憩 |
13:00 | 災害・事故での化学物質の監視・分析技術 | 多成分同時分析を可能とする可搬型分析装置の開発 | 堀場製作所 井ノ上哲志
| 水質事故時の迅速分析手法の開発と連携体制の構築 | 国立医薬品食品衛生研究所 小林憲弘 | GC-MSを用いる半揮発性物質の汎用自動同定定量システムの開発 | 国立環境研究所 中島大介 | 事故・災害等で懸念される物質群のうち難揮発性物質への網羅分析手法の開発 | 東京都環境科学研究所 西野貴裕 | 包括的な汚染監視 | 国立環境研究所 橋本俊次 |
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14:00 | 対策への取り組み | 排出推定と自治体の取り組み | 大阪府立環境農林水産総合研究所 中村智
| 環境中に残留する化学物質の除去技術選択を支援するデータベース | 大阪大学 井上大介 | 災害・事故時における化学物質の個人曝露量把握方法 | 横浜国立大学 三宅祐一 |
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14:40 | 休憩 |
15:00 | 災害・事故時の化学物質リスク対応のための情報基盤と演習 | 開発したシステムの技術的紹介 | 国立環境研究所 今泉圭隆
東京医科歯科大学 高橋邦彦
| 情報基盤の演習 | 国立環境研究所 鈴木規之、今泉圭隆、
小山陽介、他研究班メンバー全員
講演会参加者
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15:55 | 閉会あいさつ | 大阪府立環境農林水産総合研究所 中村智 |
16:00 | 閉会 | |
申し込み方法
本講演会は終了致しました. 多数ご参加いただきありがとうございました.
問い合わせ先
国立環境研究所 環境リスク・健康領域 S17プロジェクト担当