第3回環境毒の化学動態分析と生物適応機構に関するワークショップ
の開催について

 生物の進化の歴史は、その存在を脅かす環境中の"毒"との戦いの歴史であります。あらゆる化学物質は生物にとって"毒にも薬(栄養)"にもなります。 生物は必要とする栄養を環境中から取り込み有害な物質を解毒し体外に廃棄する機構を進化の過程で獲得しました。 このような機構により生物は環境に適応し、存続が可能となっています。したがって、環境の変化が種の獲得した制御範囲を超えれば、その種は衰退し、それに適応しうる制御機構を持った種が繁栄します。 これは同じ祖先から分化した種の毒に対する生理機構が、それらの生息する環境中での暴露量の違いを反映して異なっている可能性を含んでいます。
 従来の毒性評価では、暴露−応答研究が主体であり、疫学調査や動物実験などを通した個々の種における研究が中心でした。この様な方法では、暴露量や耐性の個体間、種間のばらつきが大きく、ごく断片的な結果しか得られていないのではないでしょうか。 一方、化学分析分野においても高感度分析に走りがちであり、化学形態別の分析(スペシエーション)はその難しさもあり、十分な対応が出来ていませんでした。 化学物質はその構造(形態)によって極めて特性が異なることは明らかであり、単なる濃度では無く、その形態情報を含めて評価することが重要です。 そこで、新たに生物の適応・進化および化学物質のスペシエーションという視点を加えることにより、新たなる環境毒への生体防御機構解明および環境毒性評価方法の開発が必要と考えます。
 本ワークショップはお陰様で好評裏に最終回を迎えますが、この目的のために多分野の専門家による最先端研究を、他分野の研究者のために紹介していただきます。

日 時
平成18年3月17日(金)13:00〜平成18年3月18日(土)15:30
場 所
独立行政法人国立環境研究所 地球温暖化研究棟交流会議室
(茨城県つくば市小野川16−2)
主 催 (独)国立環境研究所 
参加費
無 料
言 語
日本語
定 員
80名程度

■プログラム
3月17日(金) 12:00〜 受 付(交流会議室前ギャラリー)
13:00 開会挨拶 大塚 柳太郎
国立環境研究所理事長
13:10 胎仔期及び授乳期ダイオキシン曝露の生体影響
-ラット甲状腺過形成と水腎症発症およびその毒性メカニズム-
西村 典子
国立環境研究所
14:10 環境化学物質とグルクロン酸抱合 生城真一
富山県立大学
15:10 休 憩
15:30 海産動物ホヤの遺伝子発現を指標にした海洋汚染検出法の開発をめざして 安住 薫
北海道大学
16:30 魚(メダカ等)の薬物代謝酵素を用いた環境中多環芳香族類の検出 鑪迫 典久
国立環境研究所
18:00 懇親会
3月18日(土)  9:00 Alの生物への影響とそのスペシエーション分析 角田 欣一
群馬大学
10:00 アルミニウムストレスに対する植物の耐性機構と応答機構 江崎
岡山大学
11:00 植物における窒素酸化物(NO)の作用 森川 弘道
広島大学
12:00 昼 食
13:30 シアノバクテリア(藍藻)の作る毒素
-生物は毒素に適応しているか-
彼谷 邦光
東北大学
14:30 進化はいかにして環境毒と戦ってきたか
-その生態学的側面-
紀本 岳志
海洋化学研究所
15:30 閉 会

■参加申し込み
会場の都合上、参加ご希望の方は事前にお申し込み下さい。
参加ご希望の方は、申込書に必要事項をご記入の上、下記世話人宛に電子メール(添付書類)(kunugi) でお送り下さい。
 申込書
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 ・本申込書は、個人を特定する形での処理は致しません。
 ・この申し込みで入手した個人情報については、一定期間を経過した時点で適切に廃棄いたします。
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■問い合わせ先
国立環境研究所
「第3回環境毒の化学動態分析と生物適応機構に関するワークショップ」
世話人:功刀正行 E-mail:kunugi

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