このホームページは、環境汚染を防止するための施策の目標として設定されている環境基準やそれに準ずる指針値が、どのような根拠に基づいて決められたのかに関する資料を一元的に集めたものです。
環境基準は1967年(昭和42年)に制定された公害対策基本法第9条に、「人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準」と規定され、環境基本法にも引き継がれてきた、環境政策の目標として重要な位置づけを持つものです。1969年(昭和44年)2月にいおう酸化物に係る環境基準が閣議決定により最初に定められて以降、多くの項目について環境基準の設定・改定が行われ、またこれに準ずる指針値についても定められてきていますが、その経緯や設定根拠については、資料として1つにまとめられていませんでした。
公害防止に関する施策を進める上での行政上の努力目標である環境基準等がどのような科学的根拠のもとでどのように決められたかを整理しておくことは、科学と政策決定との関係を考えていく上で重要な情報源となります。このため、今般、国立環境研究所において、環境省水・大気環境局のご協力を得つつ、関連する過去の審議会等の答申、報告、配付資料や、通知、解説等を収集し、それぞれの基準値・指針値の設定の経緯や根拠についてとりまとめ、資料集として公開することにしました。
この資料集では、大気の汚染、水質汚濁(健康項目、生活環境項目(水生生物保全関係及びそれ以外)、地下水)、土壌の汚染並びに騒音に係る環境基準、さらにはこれに準ずる指針値について、それらの設定の経緯や分野ごとの一般的な設定の考え方を示した上で、項目ごとに基準値・指針値(以下、「基準値等」とします)の設定の根拠を示していますが、以下の点に留意してお読み下さい。
○収集・整理の対象はなるべく一次資料としましたが、二次資料しか収集できていないものや二次資料で補足・補強したものもあります。
○資料のとりまとめに当たっては、環境基準等の設定の経緯、設定方法及び基準値等の根拠を中心に整理し、関連事項として測定方法及び評価方法についても整理しましたが、水域・地域ごとの類型指定や達成のための方途(施策)については含めていません。また、対象物質等の排出側に適用される基準(排出基準、排水基準等)についても、環境基準等の適用範囲の設定に関連して言及する必要がある場合を除いて、本資料集では取り扱っていません。
○全体及び分野ごとの総説部分は文献を参考にしつつ書き起こした記載となっていますが、分野ごとの設定の考え方及び各項目の基準値等の設定の根拠の概要については、原則として関連する答申、報告、資料等から抜粋・抽出しました。このため、引用部分の章立ての記号・番号などは統一されていません。また、基準値等の設定根拠に関係がないと判断した記載は省略しました。
○資料の引用に当たっては、できる限り原文に忠実に引用しましたが、誤字訂正、補足説明など若干の加筆・修正を行ったところもあります。なお、年表記については、基本的に公文書で用いられている和暦を用いていますが、公文書以外の資料(雑誌、論文等)については西暦で記載し、総説部分では西暦と和暦とを並記しました。
○各項目・物質の測定方法については、科学技術の進展及び日本産業規格等の変遷に伴って当初の設定から変更されている場合がありますが、基準値と密接に関連する場合を除き、基本的に最新(現行)の測定方法のみ記載しました。
○各項目・物質の基礎情報(物理化学的性状、環境中での挙動、生産量、用途等)、毒性情報及び各種基準値等については、原則として最新(現行)の基準値等が設定された際に収集・検討された情報を記載しました。一部、異なる時期の資料の情報を記載したものもありますが、いずれにしてもこれらについての最新の情報を記載したものではありません。これらの最新情報を知りたい方は、例えば以下のようなデータベースをご覧下さい。
・ケミココ:http://www.chemicoco.env.go.jp/
・Webkis-Plus:https://www.nies.go.jp/kisplus/
○環境への排出等の状況に関する情報については、PRTR(化学物質排出移動量届出制度)による環境への排出量等の情報が公表されるようになった2013年(平成15年)以降に検討された物質について、その際の公表資料に記載された範囲で掲載しています。最新のデータはPRTRのホームページ(https://www.env.go.jp/chemi/prtr/risk0.html など)からご覧下さい。また、環境への排出量等は、一定の限界の中で届出又は推計されたものであり、全ての排出量等を網羅したものではないことに留意して下さい。
○基準値等について改定が行われた項目に関する環境中における検出状況及び基準値等の根拠の概要については、最新(現行)の基準値等が設定された際の情報を掲載するとともに、当初(改定前の値)の設定時の情報についても可能な限り掲載しました。
○実際に基準値等の設定根拠等について引用した資料に加え、基準値等の設定根拠を知る上で参考になると思われる資料や解説についても可能な範囲で収集し、これらを広く「参考資料」や「解説文献」として書誌情報を記載しました。
○環境省(旧・環境庁も含む)の資料に関しては、保存資料及びウェブにて公開されていたpdfファイルを(html形式のものはpdf形式に変換した上で)各担当課室の許可を得た上で収録し、再配布しています。環境省以外の資料に関しても、本ウェブサイト内での再配布の許可を取得できたものに限り、当該資料を収録して閲覧可能にしました。なお、本ウェブサイトにて収録している環境省の資料を含む全ての資料について、無断での複製、転載、再配布及び転送等の行為を禁止します。
・本ウェブサイト内での再配布の許可を所得した文献一覧
なお、著作権等の関係で収録できなかった資料や、J-STAGE(学術論文のデータベース)へのリンクにとどめたものもあります。
○環境省の最近の資料など、ホームページで公開中の資料については、当該ページへのリンクもあわせて掲載しています。リンク切れなどの際は下記問い合わせ先にご連絡いただけますと幸いです。
以下のリンクから資料のある各章に移動することができます。リンク先のページでは左側に目次があり、目次から章・節・項と、物質別情報がある場合は当該物質の説明へ移動することができます。
以下のリンクから資料内の環境基準値掲載箇所に移動することができます。
国立研究開発法人国立環境研究所 環境リスク・健康領域: 大野・鈴木
本資料集の作成に当たっては、幅広く資料を収集するとともに、資料の原文を引用する際には適切かつ正確に抜粋するよう努めましたが、誤記・記載漏れ等があった場合はご容赦ください。内容に関して疑問点などがありましたら、下記連絡先へメールにてお問い合わせ下さい。
国立研究開発法人国立環境研究所 環境リスク・健康領域 環境基準設定資料集担当
誤記等による場合も含め、本資料集の利用によって生じた不利益については国立研究開発法人国立環境研究所は何ら責任を負いません。
原典に含まれる内容を引用する場合は原典の書誌情報を引用して下さい。本資料集全体や本資料集で執筆された原稿部分(総説部分等)を引用する際は、以下の内容を含めて引用書誌情報としてください。
早水輝好、井上知也、今泉圭隆、鈴木規之、大野浩一(2022)「環境基準等の設定に関する資料集」、https://www.nies.go.jp/eqsbasis/(20yy年mm月dd日 閲覧)(注:yy-mm-ddには閲覧した日を記入)