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セマルハコガメ

基本・侵入情報 参考資料リスト
基本情報
和名 セマルハコガメ

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セマルハコガメ
分類群 爬虫綱 カメ目 イシガメ科
(Geoemydidae, Testudines, Reptilia)
学名 Cuora flavomarginata subspp.
主なシノニム Cistoclemmys flavomarginata
英名等 yellow-margined box turtle
自然分布 大陸中国南東部,台湾,八重山諸島.大陸産と台湾産は基亜種 C. f. flavomarginata,八重山諸島(石垣島,西表島)に亜種ヤエヤマセマルハコガメ C. f. evelynae が分布.
形態 背甲長は17cm前後,まれに19cmに達する.体重は背甲長12cmで280~400g.甲は強いドーム状で背甲に弱い3本の甲条を持つ.腹甲の中央部に蝶番があり,甲をほぼ完全に閉じることが可能.
生息環境 陸生.広葉樹林の林床などで生活する.高湿の環境を好み,低湿地や河川の近くで見つかることが多い.
温度選好性:詳細は不明だが,原産地の緯度からみて琉球列島では定着可能であると考えられる.
繁殖生態 繁殖期:ヤエヤマセマルハコガメでは,3月下旬に交尾し,4下旬~6月上旬に産卵,8月中~下旬に孵化.
交尾期のオスは喉の色が黄褐色からオレンジ色に変わる.
ヤエヤマセマルハコガメでは,雌は産卵期に地面に深さ5~8cmの巣穴を掘り産卵.卵は8月中・下旬に孵化する.飼育下の報告では,長径32.4-50.6mm,短径20.1mm-35.4mmの1-4卵を産み,孵化幼体の甲長は32.4-39.9mm.
生態的特性 昼行性・陸生.行動圏はかなり広い.
食性:雑食性.シイ・カシ・フトモモ・アダンなどの実,ミミズ・昆虫・陸産貝類などの小動物,大型動物の死体等.
侵入情報
国内移入分布 沖縄諸島(沖縄島,久米島),先島諸島(宮古島,黒島)に亜種不明の移入個体群. 国内分布図
※必ずしも色が塗られた地域全体に分布するわけではありません
移入元 不明.
侵入経路 愛玩用に大陸中国・台湾から輸入されたものが遺棄されたとみられる.詳細は不明.
侵入年代 不明.1980年代~2000年代に多数の記録があるが,沖縄島では19世紀にも記録がある.
影響 交雑,競合,捕食が想定される.
影響を受ける在来生物:リュウキュウヤマガメなど在来イシガメ科.イシガメ科は種間・属間交雑を起こしやすく,在来カメ類との交雑が最も懸念される.沖縄島では.セマルハコガメと在来の希少種リュウキュウヤマガメの交雑個体が,すでに見つかっている.捕食対象となる昆虫,ミミズ等.
法的扱い CITES付属書IIに掲載.亜種ヤエヤマセマルハコガメは,国の天然記念物に指定されている.
防除方法 森林内に広く分散して生活するため,効率よく駆除することはかなり困難と考えられる.ガジュマル等の果実を採食するために樹木の下に集まることがあるため,このような場所を見回って採集する.分布域が狭い場合には,カメが越えることのできないフェンス(ドリフトフェンス)を林内に巡らせ,フェンス沿いの所々に落とし穴を設置する方法が考えられるが,在来のカメ類をはじめ他の生物に及ぶ悪影響も大きいとみられ,実施には十分な検討が必要.
問題点等 情報整理中
海外移入分布 なし.
備考
原産地では減少しており,近年CITESの付属書に掲載された.最近は輸入量が減少したらしく,かつてのように安価で売られることはなくなった.かつてはペットとして多数が安価で取り引きされており,遺棄も多数生じていたと考えられる.今後,新たな遺棄はそれほど多く生じないと考えられるが,沖縄島などでは既に定着しているとみられることから,その防除が重要な課題となる.
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