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国立環境研究所の研究情報誌「環境儀」第18号
「外来生物による生物多様性への影響を探る」の刊行について
(お知らせ:環境省記者クラブ、筑波研究学園都市記者会同時発表)
添付ファイル
- 環境儀第18号(html版)
- このリンクはPDFデータにリンクします/環境儀第18号(pdf版) [5.71MB]
独立行政法人国立環境研究所
主任研究企画官 | 村川 昌道 | 電話番号 (029-850-2310) | |
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環境情報センター長 | 岩田 元一 | 電話番号 (029-850-2340) | |
担当: | 企画・広報室 | 白井 一成 | 電話番号 (029-850-2453) |
情報企画室 | 坂下 和恵 | 電話番号 (029-850-2341) |
要旨
国立環境研究所の研究成果を国民各層に分かりやすく伝える研究情報誌「環境儀」第18号「外来生物による生物多様性への影響を探る」が刊行されました。
ものの流通の国際化が増えるなかで生じた、生きた生物の流通が引き起こす環境問題「外来生物問題」についての研究を、クワガタムシとマルハナバチという昆虫を例として紹介しています。
ハウストマトの授粉のために導入されているセイヨウオオマルハナバチ、ペットとして輸入されている外国産クワガタムシ。
持ち込まれた経緯は異なりますが、どちらも日本在来の近縁種の昆虫にとって脅威となる懸念があります。
日本の貴重な生物や生態系を守るためには、国民・市民の皆さまの協力こそがキーとなります。どのような懸念があるのか、どのように扱えば良いのか、本号をご覧下さい。
1.第18号の内容
第18号では、マルハナバチとクワガタムシを例として輸入昆虫が日本在来の昆虫に及ぼす脅威についての研究を紹介します。
最近輸入量が急増している外国産クワガタムシ。輸入は世界中から520種にものぼり、日本で5億匹が生存しているという予測すらあります。この中には、日本にいるヒラタクワガタに近い仲間も含まれています。例えばインドネシア原産のスマトラオオヒラタクワガタは日本産のヒラタクワガタと比べると巨大ですが、両方が交尾して雑種が生まれ、その雑種1代目も子孫を残すことができることを明らかにしました。外国産クワガタムシは多くが比較的暖かい地域から輸入されていて、越冬が難しく日本には定着し難いとも考えられていましたが、雑種が生まれるとすると日本在来のクワガタムシの地域個体群の絶滅・生物多様性の低下など問題は複雑になります。ペットとして輸入されたクワガタムシは、外に逃がさないように飼うことが必要です。
季節に関係なく食卓にのぼるトマト。これらはハウス栽培のトマトです。野外栽培のトマトは風で花粉が飛んで授粉し実を付けることができるのですが、ハウスのなかでは自然には風は吹きません。この代わりをしてくれるのがマルハナバチです。ヨーロッパでは以前からセイヨウオオマルハナバチが使われてきて、これが日本にも導入されるようになりました。このセイヨウオオマルハナバチがハウスから逃げ出すと、日本に元々いるマルハナバチの生殖を妨げる可能性を明らかにしました。また、ハチに付着して運び込まれた可能性の高いダニが見出され、これによる日本産マルハナバチに対する悪影響も危惧されます。セイヨウオオマルハナバチを利用されている農家の方々も問題を理解して下さり、ハウスに逃散防止用のネットを張るなどの対策をとって下さるようになってきました。
構成
- 研究担当者へのインタビュー
総合研究官 五箇 公一 生物多様性の減少機構の解明と保全プロジェクト 侵入生物研究チーム - 「輸入昆虫の生態影響評価研究の成果から−セイヨウオオマルハナバチとヒラタクワガタを例として」
- 「外来生物問題、世界の視点と動向」
- 「生物多様性の減少機構の解明と保全プロジェクトの全体構成」
のほか、「生物多様性・生物多様性条約・生物多様性国家戦略」、「外来種・移入種・侵入種」などについてのコラム等
2.閲覧・入手についての問い合わせ先
「環境儀」は、研究所のホームページで閲覧することができます。
冊子の入手については、下記へお問い合わせ下さい。
- このリンクはメールソフトが起動します。/連絡先:国立環境研究所環境情報センター情報企画室出版普及係(TEL:029-850-2343)
「国立環境研究所友の会」の会員の方には、友の会事務局を通じて継続的に送付いたします。
- このリンクは別ウィンドウで開きます/友の会ホームページ
(参考)これまで「環境儀」で取り上げたテーマ
第17号 | 「有機スズと生殖異常−海産巻貝に及ぼす内分泌かく乱化学物質の影響」 |
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第16号 | 「長江流域で検証する 『流域圏環境管理』のあり方」 |
第15号 | 「干潟の生態系−その機能評価と類型化」 |
第14号 | 「マテリアルフロー分析−モノの流れから循環型社会・経済を考える」 |
第13号 | 「難分解性溶存有機物−湖沼環境研究の新展開」 |
第12号 | 「東アジアの広域大気汚染−国境を越える酸性雨」 |
第11号 | 「持続可能な交通への道−環境負荷の少ない乗り物の普及をめざして」 |
第10号 | 「オゾン層変動の機構解明−宇宙から探る 地球の大気を探る」 |
第9号 | 「湖沼のエコシステム−持続可能な利用と保全をめざして」 |
第8号 | 「黄砂研究最前線−科学的観測手法で黄砂の流れを遡る」 |
第7号 | 「バイオ・エコエンジニアリング−開発途上国の水環境改善をめざして」 |
第6号 | 「海の呼吸−北太平洋海洋表層のCO2吸収に関する研究」 |
第5号 | 「VOC−揮発性有機化合物による都市大気汚染」 |
第4号 | 「熱帯林−持続可能な森林管理をめざして」 |
第3号 | 「干潟・浅海域−生物による水質浄化に関する研究」 |
第2号 | 「地球温暖化の影響と対策−AIM:アジア太平洋地域における 温暖化対策統合評価モデル」 |
創刊号 | 「環境中の『ホルモン様化学物質』の生殖・発生影響に関する研究」 |