今、湖や沼、海で対策
(たいさく)
を急がなくてはならないのは、
水質の汚染
(おせん)
、特に
富栄養化
(ふえいようか)
の問題です。 湖や沼では分解
(ぶんかい)
しにくい有機物
(ゆうきぶつ)
がたまり、飲料水にする過程
(かてい)
で発がん性物質
(ぶっしつ)
が発生したり、そこに生息する魚介類
(ぎょかいるい)
が減少
(げんしょう)
もしくは、種類が変化したりします。 沿岸
(えんがん)
の海域
(かいいき)
では、水質の富栄養化により
赤潮
(あかしお)
が発生し、沿岸漁業、特に魚の養殖
(ようしょく)
などに大きな被害
(ひがい)
をもたらしています。
海の汚れの原因は、なんですか?
バラスト水の問題について、教えてください。
「赤潮」って、なんですか?
どうすればきれいな湖や海に戻せるの?
「アオコ」って、なんですか?
湖沼
(こしょう)
や海洋の水質汚染
(おせん)
の状況
(じょうきょう)
を調べる研究所の取り組み
湖沼
(こしょう)
では、どんな
有機物
が分解されにくいのか、どうしてそのような有機物ができるのかを研究しています。また、発がん物質である
トリハロメタン
ができる量や、
プランクトン
の量や種類がどう変化するのかを研究しています。
ため池周辺に生息するトンボの数、種類などを調べ、生物の多様性
(たようせい)
を守るために、ため池周辺の土地利用や水辺の植物がどのような役割
(やくわり)
を持っているかを解明
(かいめい)
するための研究を行っています。
海の状態
(じょうたい)
をモニタリングするために瀬戸内海
(せとないかい)
を運航
(うんこう)
するフェリーに観測装置
(かんそくそうち)
を取りつけ、植物プランクトンの量や水温、塩分などの計測を行っています。また、計測
(けいそく)
されたデータを衛星電話回線で受信
(じゅしん)
して、つねに監視
(かんし)
できるような技術を開発しています。
民間の船(フェリー)を利用して海の観測をしています。
有害化学物質による地球規模
(きぼ)
の海洋汚染の状況を調べるため、海運会社などに協力してもらい、日本−ペルシャ湾間
(わんかん)
、日本−オーストラリア東岸間の太平洋における観測を実施
(じっし)
し、効率的
(こうりつてき)
で信頼性
(しんらいせい)
の高い海洋観測手法
(かいようかんそくしゅほう)
の開発と収集
(しゅうしゅう)
したデータを解析
(かいせき)
する研究を行っています。
観測の結果、日本−ペルシャ湾間および太平洋の広範な海域において、β-HCH(農薬成分:日本では1971年に販売禁止)などが検出
(けんしゅつ)
されました。
β-HCHの日本−オーストラリア間の分布
は、日本(大陸)から遠ざかるにつれ、濃度
(のうど)
がしだいに低くなる特徴的
(とくちょうてき)
な傾向
(けいこう)
が見られました。
太平洋の南側では、地球温暖化
(ちきゅうおんだんか)
が原因
(げんいん)
と考えられている水温上昇
(じょうしょう)
によってサンゴが死んでしまう白化現象
(はっかげんしょう)
が起こっています。 人工衛星や航空機のデータを使い、サンゴの白化現象がある場所を探
(さが)
したり、サンゴ礁
(しょう)
の健康状態を監視
(かんし)
したりしています。
サンゴ礁(正常)
サンゴ礁(白化)
撮影:安元三教
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