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G-CIEMS(Grid-Catchment Integrated Environmental Modeling System)の概要

図1 G-CIEMSモデルの動態計算過程の概要

G-CIEMSは国立環境研究所において新たに開発した詳細な空間分解能を持つGIS多媒体モデルです。環境中に放出された化学物質は、大気、水、土壌、底質などの媒体の間を移動あるいは分配され、大気に放出したものが粒子に吸着して地表面に沈着したり、あるいは河川に排出された物質が揮発して大気に移動したりします。同時に、大気中の化学物質は風に乗って移動することもあり、河川水中の化学物質は川の流れに乗って下流へ移動し、また他の流域からの流れと合流して希釈されたりします。本モデルは、GIS(地理情報システム)で用いる地理データに基づき、このような多媒体の媒体間の輸送と、大気、河川等での輸送との両方を同時に計算して、媒体間の輸送や分配と地点間の輸送と同時に推定するモデルです(図1)。

本モデルは、標準的には別途既に公表されている河道構造データベースに基づき、日本全国を大気は2.5kmのグリッド、地表面は平均9.3km2ほどの小流域、河川は平均河道長5.7kmの河道として扱います。モデル内で計算する主な動態過程として

(1) 大気については、大気グリッド間の移動と沈着、分解、地表面との交換などの過程
(2) 河川については、河道の水の流れにしたがっての流下と、河川内における分解、粒子状物質との分配、底質への沈降、大気との交換などの過程
(3) 土壌については、小流域から対応する河道への流出、土壌内での分解、地下水への移行、大気との交換などの過程
(4) 底質については、河川や湖沼の水との交換
(5) この他、海域については、海域に流入する河口からの流出量の受け入れ、海域表面での大気との交換などの過程

を記述しています。モデルに対する入力値としては

(a) 環境への化学物質の排出量として、大気グリッド、小流域単位での土壌、河道単位での河川それぞれへの排出量の入力
(b) 化学物質の物性値
(c) 小流域、河道などの地理データ
(d) 気象、水文等のデータ

が必要となります。モデルは、これらの入力値をもとに、大気グリッドごとの大気中の濃度、河道ごとの河川水中の濃度、小流域における土壌中の濃度、また、底質の濃度を出力します(図2)。

図2 G-CIEMSモデルの出力例(河川水中の濃度)

これらの入力値のうち、(c)(d)については標準的なデータを用意していますが、排出量については基本的にユーザーにおいて用意する必要があります。また、モデル自体はMicrosoft AccessのMDBデータベースから直接データを取得し、またMDBデータとして直接データを出力する数値計算のプログラムであり、特別なユーザーインターフェースを有しておりません。このため、別途のユーザーインターフェースとあわせて利用することが一般には必要になります。

本モデルのユーザーインターフェースとして、別途開発されたプログラムが以下のリンクに用意されています。このユーザーインターフェースとモデルプログラムをあわせて利用することにより、ユーザーから比較的容易に操作可能なモデルシステムとして活用することができます。

参考文献

  1. Suzuki, N., Murasawa, K., Sakurai, T., Nansai, K., Matsuhashi, K., Moriguchi, Y., Tanabe, K., Nakasugi, O. and Morita, M. Geo-Referenced Multimedia Environmental Fate Model (G-CIEMS). Model formulation and comparison to the generic model and monitoring approaches, Environ. Sci. Technol. 38, 5682-5693 (2004)
  2. 鈴木規之、村澤香織、松橋啓介、南齋規介、桜井健郎、森口祐一、田邊潔、中杉修身、森田昌敏:全国河川の河道構造データに基づく化学物質のGIS河川動態モデル(G-CIEMS)の開発と空間分布評価の試み、環境化学、15, 385-395 (2005)
  3. 鈴木規之、村澤香織、南齋規介、桜井健郎、森口祐一、田邊潔、中杉修身、森田昌敏:環境動態モデル用河道構造データベース、国立環境研究所研究報告第179号 R-179(CD)-2003、国立環境研究所 (2003)