国立研究開発法人国立環境研究所
環境リスク・健康領域

第21回生態影響試験実習セミナー受講者募集のご案内

 国立環境研究所環境リスク・健康領域環境リスク科学研究推進室及び生態毒性研究室では、生態影響試験に関する標準機関として、幅広い機関への試験の普及を目的に、平成23年度より「生態影響試験実習セミナー」を年2回開催しております。
 21回目となる今回は、オンライン参加へのニーズの高まりを受け、前回に引き続き対面による実習に加え、座学や講演等をWeb配信するバイブリッド形式での開催を予定しております。今回のセミナーでは、動物福祉の観点から魚類急性毒性試験の代替法として注目されている魚類胚期急性毒性(FET)試験やニジマスのエラ細胞試験、およびそれら代替法の活用方法について、解説・実習をおこないます。また、症状診断法や、それを活用した適切なタイミングでの安楽死の実施方法についても取り上げる予定です。これらの試験や手法の導入および技術向上を目指したい方を対象に、令和7年7月23日(水)~25日(金) の3日間の日程で開催します。皆様のご参加をお待ちしております。

日程 令和7年7月23日 (水) ~25日 (金)
23日:11:00~17:45、24日:9:00~17:00、25日:9:00~12:30
場所 国立環境研究所 環境リスク研究棟
〒305-8506 茨城県つくば市小野川16-2
対象 メダカ症状診断手法、FET試験、ニジマスエラ細胞試験、
安楽死手法の導入及び技術向上を目指したい方
定員現地参加20名程度
(各機関なるべく1名)
オンライン参加
(座学・講演等のWeb配信の受講)は制限なし
定員超過の場合、生態影響試験の経験等を考慮し
参加者決定
参加費 なし
(昼食費および懇親会費は必要に応じて実費となります)

 ※初心者から中級者向けの基本的な概要・操作説明及び実習を予定しております。

開催の趣旨

 環境リスク・健康領域リスク科学研究推進室(生態毒性標準チーム)および生態毒性研究室では、生態影響試験に関する標準機関として、生態影響試験の普及および標準化を重要なミッションの1つと位置づけています。この一環として、新たに導入を検討している機関や民間試験施設、地方環境研究所等を対象に、基礎的な知識・技術等の普及を目的とした短期実習セミナーを、平成23年度より開催しています。
 魚類急性毒性試験(OECD TG 203)は、国の化学物質審査規制法(化審法)や農薬取締法(農取法)で採用されている、重要な試験法の1つです。一方で、致死をエンドポイントとするこの試験は、試験魚に著しい苦痛を与えることから、欧州を中心に代替の活用に関する議論が進められています。特に魚類胚期急性(FET)試験や2021年にOECDで承認されたニジマスのエラ培養細胞を用いた試験(Fish Cell Line Acute Toxicity – The RTgill W1 cell line assay: OECD TG 249)は、いずれも従来の魚類急性毒性試験で得られるLC50値と高い相関を示すことが報告されており、リスク評価への活用が検討されています。
 しかしながら、代替法の適用外となる化学物質も存在することから、これらの物質に対しては従来通り生体を用いた毒性試験の実施が必要となります。環境研究総合推進費「魚類急性毒性試験の動物福祉に配慮した試験への転換に向けた研究」では、ミナミメダカ(Oryzias latipes)を対象に、瀕死(Moribund)症状に対する安楽死の適用基準を設定し、さらに毒性症状から死亡時期を予測することで、安楽死を適切に適用する手法の確立を目指しています。また、化審法ではすでに、症状診断の改訂を盛り込んだ局長通知が発表されており、今後は症状診断の試験施設間での統一化を測ることも重要となります。
 このような背景を踏まえ、第21回目となる本セミナーでは、FET試験とニジマスエラ細胞試験についての解説・実習をおこないます。また、魚類急性毒性試験で重要となる「症状診断」の統一化を目的とした解説及び実習を行います。さらに、環境研究総合研究費で検討が進められている、代替試験を可能な限り活用しつつ、適用外の化学物質に対しては試験魚への苦痛を軽減する試験を併用する形の、動物福祉に配慮した新たな魚類急性毒性試験のフレームワークについても、最新の情報を共有させていただきます。今回のセミナーは、これらの試験や手法の導入、および技術のさらなる精度向上を目指す方を対象に、初級者から中級者向けの内容で構成する予定です。


セミナーの内容

 国内で国立環境研究所を中心に検討が進められている魚類急性毒性試験(OECD TG 203)におけるメダカ(Oryzias latipes)の症状診断とOECD TG 236に準拠したゼブラフィッシュ胚を用いた魚類胚期急性毒性(FET)試験及びOECD TG 249に準拠したニジマスエラ細胞試験を対象として、主に以下の内容を実施します。


  • 魚類急性毒性試験におけるメダカ(Oryzias latipes)の症状診断についての解説および技術指導
  • ゼブラフィッシュ胚を用いた魚類胚期急性毒性(FET)試験(OECD TG 236)についての解説および実習
  • ニジマスエラ細胞試験(OECD TG 249)についての解説及び技術指導
  • 生態影響試験に用いる設備・器具等の紹介
  • 生態影響試験に関わる質問・相談の受付
  • 試験法を用いた研究事例等の紹介

プログラム(予定)

 (※プログラムの内容は、予告なく変更する場合があります。予めご了承下さい。)

日時内容
【1日目】 7月23日(水)
10:30~11:00 受付
11:00~11:15 領域長からのご挨拶、セミナー開催の趣旨など
11:15~12:00[座学]動物福祉を考慮した魚類急性毒性試験について
12:00~13:00 昼食
13:00~13:30[座学]ニジマスエラ細胞試験について
13:30~15:30[実習]ニジマスエラ細胞試験の実習(1)(播種・ばく露)
15:30~16:00 休憩
16:00~17:00 所内見学
18:00~ 懇親会(場所未定)
【2日目】 7月24日(木)
09:00~09:45[座学]FET試験の概要
09:45~12:00[実習]FET試験の実習(1)(試験用卵の採卵見学、試験卵の選別・ばく露)
12:00~13:00 昼食
13:00~13:30[座学]メダカの症状診断について
13:30~15:30[実習]ニジマスエラ細胞試験の実習(2)(染色・計測)
15:30~16:00 休憩
16:00~17:00[座学]動物愛護管理法からみた魚類急性毒性試験
【3日目】 7月25日(金)
09:00~11:00[実習]FET試験の実習(2)(観察)
11:00~12:00[座学+実習]統計解析
12:00~12:30 閉会の挨拶、アンケートの実施

参加申込み方法

  • 参加希望の方は、下記URLの参加申込フォームより必要事項を記載の上、7月4日(金)までにお申込みください(オンライン参加は随時受け付けます)。現地での参加者は各機関につきなるべく1名まで、オンライン参加者の定員は制限なしとさせていただきます。現地参加希望者が定員の20名を超過した場合は、生態影響試験の経験等を考慮した上で参加者を決定させていただきます。
     

     https://forms.office.com/r/XiVubuCwSK ※こちらのリンクは外部サイトに移動します.


  • 上記よりお申込み出来ない場合は、電子メールからもお申込みいただけます。下記を記載の上、件名を 『セミナー参加申込み』 として、メールアドレスメールまでお送りください。
       参加者氏名(フリガナ)、所属(職名)、メールアドレス、電話番号、参加希望形式、
       生態影響試験の実施状況(経験)、本セミナーで対象とする生態影響試験に関わる質問

参加受付期間

 参加受付期間:令和7年6月11日(水)~7月4日(金)
 参加証送付:7月7日(月)までに電子メールにて送付いたします。

問い合せ先

 国立研究開発法人国立環境研究所 環境リスク・健康領域
 第21回生態影響試験実習セミナー事務局
 担当:山岸、渡部、大野、山本
 Tel:029-850-2851
 E-mail:e-mail: referencelab.risk(末尾に「@nies.go.jp」がつきます)