国立研究開発法人国立環境研究所
環境リスク・健康領域

第15回生態影響試験実習セミナー受講者募集のご案内

 国立環境研究所環境リスク・健康領域環境リスク科学研究推進室では、生態影響試験に関する標準機関として、幅広い機関への試験の普及を図るため、平成23年度より「生態影響試験実習セミナー」を開催しております。
 環境リスク科学研究推進室は、この2年間、新型コロナウイルス感染拡大の影響でやむなく生態影響試験実習セミナーの開催を自粛しておりました。未だ感染者数は警戒すべき域を脱していない状況ではありますが、国の新型コロナ規制緩和措置とセミナー開催への強い要望があることを鑑み、本年度は、対面実習の規模を縮小する等の十分な感染防止対策を講じた上で、座学や講演等をWeb配信するハイブリッド形式での開催を決定いたしました。節目となる15回目の今回は、魚類急性毒性試験の改訂に伴うメダカの症状診断と魚類胚期急性毒性(FET)試験の導入及びそれらの技術向上を目指したい方を対象に、令和4年7月6日(水)~8日(金) の3日間の日程で開催します。皆様のご参加をお待ちしております。

日程 令和4年7月6日(水)~8日(金)
6日:10:30~17:45、7日:09:00~17:15、8日:09:30~12:30
場所 国立環境研究所 環境リスク研究棟
〒305-8506 茨城県つくば市小野川16-2
対象 魚類急性毒性試験におけるメダカの症状診断と
魚類胚期急性毒性(FET)試験の導入及び
技術向上を目指したい方
定員現地参加10〜12名(各機関1名まで)、
オンライン参加(座学・講演等のWeb配信の受講)
は制限なし
定員超過の場合、生態影響試験の
経験等を考慮し参加者決定
参加費 なし
(昼食費必要に応じて実費となります。
 懇親会は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、実施しません。)

※初心者から中級者向けの基本的な概要・操作説明及び実習を予定しております。

開催の趣旨

 近年、欧州を中心に動物福祉(Animal welfare)の観点から、哺乳類などの実験動物に苦痛を与える試験法の削除を求める意見が多くなっています。この動物福祉の動きは、魚類を用いた試験や実験にも広まりつつあり、特に魚類急性毒性試験(OECD TG203)においては、使用魚体数の削減やより人道的な試験手順、症状診断等を活用した新たなエンドポイントの活用についての議論がなされてきました。
 2019年6月に公表されたOECD TG203の改訂版(以下、OECD TG203 (2019)という)では、かねてより欧州が中心となり提案していた瀕死(Moribund)を致死の代替とする案は一旦見送られたものの、今後の導入を見据え、毒性症状を任意に記録する改訂が承認されました。また、OECD TG203 (2019)では、使用魚体数削減の観点から、Range finding試験における定量的構造活性相関(Quantitative Structure-Activity Relationship: QSAR)やゼブラフィッシュ胚を用いた魚類胚期急性毒性(Fish Embryo acute Toxicity: FET)試験の積極的な利用が推奨されています。
 魚類急性毒性試験(OECD TG203)は、国の化学物質審査規制法(化審法)や農薬取締法(農取法)でも採用される重要な試験法の1つでもあります。化審法ではすでに、症状診断の改訂を盛り込んだ局長通知が発表されており、試験施設では症状診断に関する新たな対応が求められています。また、FET試験に関しても、国が化審法への導入可能性の検討を開始していることなどを考えると、FET試験の需要はこれまで以上に増すものと予想されます。信頼性の高い試験結果を得るためには、症状診断に関しては診断基準の統一化、FET試験に関しては、ガイドラインに示された試験法の実際を経験し、操作技術のノウハウを修得することが重要であると考えています。また、必要な設備・器具等の整備、安定的な試験生物の入手・飼育等を行うことも重要です。
 環境リスク・健康領域リスク科学研究推進室(前:環境リスク健康・研究センター リスク評価科学事業連携オフィス 生態毒性標準拠点)は、生態影響試験に関する標準機関として生態影響試験の普及・標準化を重要なミッションの1つと位置づけており、新たに導入を検討している試験機関や民間試験施設、地方環境研究所等を対象に、基礎的な知識・技術等の普及を目的とした短期実習セミナーを平成23年度より開催しております。
 15回目となる本セミナーでは、環境省で検討が進められている「魚類急性毒性試験におけるメダカ(Oryzias latipes)の症状診断」について、主に症状診断の統一化を目的とした座学及び実習を行います。また、FET試験については、OECD TG236に準拠した魚類胚期急性毒性試験を対象とした座学及び実習を行います。今回のセミナーでは、基本的な試験操作に加え、技術や精度のさらなる向上を目指したい方を対象とした、初心者から中級者向けの内容を予定しております。皆様のご参加をお待ちしております。
 また、今後、まん延防止等重点措置や緊急事態宣言の発出等、新型コロナウイルス感染拡大の状況によりましては、セミナー開催の中止を検討せざるを得ない場合がありますこと、予めご了承ください。
 

セミナーの内容

 国内で国立環境研究所を中心に検討が進められている魚類急性毒性試験におけるメダカ(Oryzias latipes)の症状診断とOECD TG236に準拠したゼブラフィッシュ胚を用いた魚類胚期急性毒性(FET)試験を対象として、主に以下の内容を実施します。


  • 魚類急性毒性試験におけるメダカ(Oryzias latipes)の症状診断についての解説および技術指導
  • ゼブラフィッシュ胚を用いた魚類胚期急性毒性(FET)試験(OECD TG236)についての解説および技術指導
  • 生態影響試験に用いる設備・器具等の紹介
  • 生態影響試験に関わる質問・相談の受付
  • 試験法を用いた研究事例等の紹介

プログラム(予定)

 (※プログラムの内容は、予告なく変更する場合があります。予めご了承下さい。)

日時内容
【1日目】 7月6日(水)
10:30~11:00 受付
11:00~11:15 開会の挨拶、セミナー開催の趣旨など
11:15~12:00 [座学]魚類生態毒性試験の概要
12:00~13:00 昼食(自己紹介)
13:00~13:30 [座学]動物福祉を考慮した魚類急性毒性試験の改訂の取り組みとメダカ症状診断法について
13:30~15:30 [座学]本日の実習内容説明:メダカ症状診断の概要
[実習]メダカの症状診断(ばく露と症状観察)
15:30~16:30  所内見学:実験施設及び実験機器などの紹介
16:30~16:45 休憩
16:45~17:30 [講演]未定
17:30~17:45 [実習]メダカの症状診断
 翌日の説明等
【2日目】 7月7日(木)
09:00~09:15 [実習]メダカの症状観察
09:15~09:45 [座学]魚類胚期急性毒性(FET)試験について
09:45~12:00 [座学]本日の実習内容説明:試験卵の選別とばく露
[実習]試験用卵の採卵見学、試験卵の選別・ばく露
12:00~13:00 昼食
13:00~14:30 [実習]胚の観察とデータ集計
14:30~15:30 [座学]生態毒性データ解析に関する統計学の基礎
15:30~15:45 休憩
15:45~16:45 [座学]FET試験データを用いた統計解析の実施
16:45~17:15  質疑応答
【3日目】 7月8日(金)
09:30~11:00 [実習]前日にばく露した卵の観察及びメダカの症状観察
11:00~12:00[講演]未定
12:00~12:30 閉会の挨拶、アンケートの実施

参加申込み方法

  • 参加希望の方は、下記URLの参加申込フォームより必要事項を記載の上、6月14日(火)までにお申込みください。現地での参加者は各機関につき1名まで、オンライン参加者の定員は制限なしととさせていただきます。現地参加希望者が定員12名を超過した場合は、生態影響試験の経験等を考慮した上で参加者を決定させていただきます。
     

     https://forms.office.com/r/1RtDVfqvjU ※こちらのリンクは外部サイトに移動します.


  • 上記よりお申込み出来ない場合は、電子メールからもお申込みいただけます。下記を記載の上、件名を 『セミナー参加申込み』 として、メールアドレスメールまでお送りください。
       参加者氏名(フリガナ)、所属(職名)、メールアドレス、電話番号、参加希望形式、
       生態影響試験の実施状況(経験)、
       本セミナーで対象とする生態影響試験に関わる質問

参加受付期間

  参加受付期間 : 令和4年5月23日(月)~6月14日(火)
  参加証送付 : 6月17日(金)までに電子メールにて送付いたします。


問い合せ先

 国立研究開発法人国立環境研究所 環境リスク・健康領域
 第15回生態影響試験実習セミナー事務局
 担当:山岸、渡部、日置、大野、山本
 Tel:029-850-2851
 E-mail:メール


感染防止対策

 現在(R4年4月現在)、茨城県では参加者5,000人以上のイベント、又は参加者の収容定員が50%以下のイベントについては、感染防止安全計画を策定する必要はありませんが、本セミナーでは、県が公表する以下の感染防止対策リストに従い、十分な対策を講じた上で皆様をお迎えするつもりでおります。

  • 飛沫の抑制(マスク着用や大声をださないこと)の徹底
    • 飛沫が発生するおそれのある行為を抑制するため、適切なマスク(品質の確かな、できれば不織布)の正しい着用や大声を出さないことを周知・徹底し、そうした行為をする者がいた場合には注意、退場処分等の措置を講じる。
  • 手洗、手指・施設消毒の徹底
    • こまめな手洗やアルコール消毒による手指消毒の徹底を促す。(会場出入口等のアルコール等の手指消毒液設置や場内アナウンス等の実施)
    • 主催者側による施設内(出入口、トイレ、共用部等)の定期的かつこまめな消毒の実施。
  • 換気の徹底
    • 法令を遵守した空調設備の設置による常時換気又は、こまめな換気(1時間に2回以上・1回に5分間以上)の徹底。
  • 来場者間の密集回避
    • 入退場時の密集を回避するための措置の実施
  • 飲食の制限
    • 飲食可能エリアにおける感染防止策の徹底
    • 長時間マスクを外す飲食は、隣席への飛沫感染のリスクを高めるため、可能な限り、飲食専用エリア以外は自粛。
    • 飲食中はマスク無しでの会話禁止を徹底。
  • 出演者等の感染対策
    • 有症状者(発熱又は風邪等の症状を呈する者)は出演を控えるなど日常からの演者の健康管理を徹底する。
    • 演習時等、声を発出する演者間での感染リスクに対処する。
  • 参加者の把握・管理等
    • 「5つの場面」の注意喚起等イベント前後の感染防止の注意喚起。
    • 入所時の連絡先の確認。
    • 入所時の検温、有症状(発熱又は風邪等の症状)の入所を確実に防止する。