南アメリカ大陸にあるペルーという国を知っていますか? 赤道より少し南にある太平洋に面
した国で、むかし、インカ帝国(ていこく)という国があったところです。このペルーの沖合(おきあ)いの海では、いつもは深いところから海水がわきあがってきて、赤道に近いにもかかわらず、まわりの海よりも海面 の温度が低くなっています。
ところが、何年かに一度、海面の温度が高くなってしまうことがあります。これを「エル・ニーニョ現象(げんしょう)」と呼(よ)んでいるのです。温度の高い海域(かいいき)は、ペルーの沖からさらに西へ、数千キロメートルも伸びることがあります。このように、太平洋の赤道近くの広いはんいで海水の温度が変化すると、そのふきんの雨の降(ふ)り方や気温、風のふき方などが変わってしまいます。
この変化は地球全体におよび、各地で異常気象(いじょうきしょう)を引き起こす原因(げんいん)になるといわれています。
「エル・ニーニョ」とは、スペイン語で、「神の子=イエス・キリスト」という意味です。クリスマスのころに暖(あたた)かい海水がペルー沿岸を南下することをさして、漁師たちがそのように呼(よ)んでいましたが、今ではもっとスケールの大きな気象現象(げんしょう)としてあつかわれています。反対に、同じ海域(かいいき)の温度が異常に低くなる現象を「ラ・ニーニャ」と呼んでいます。「エル・ニーニョ」が「男の子」なのに対し、「ラ・ニーニャ」は「女の子」という意味です。
地球温暖化(ちきゅうおんだんか)にともない、エル・ニーニョ現象(げんしょう)をふくみ、洪水(こうずい)・干(かん)ばつ・熱波(ねっぱ)など、異常気象の発生は増(ふ)えると予想(よそう)されています。 |
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エル・ニーニョ現象は、異常気象の発生と関係があるのではないかといわれている。 |
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