2-5.情報技術を活用した業務の効率化
所内ネットワークシステムの適切な管理・運用等を行うとともに、各種業務の効率化に資するシステムの開発等を進める。
また、研究に必要な文献等の効率的な入手のため、電子ジャーナルシステムの利用を促進する。
さらに、情報化統括責任者(CIO)補佐を活用しつつ、主要な業務・システムの最適化を実現するための基礎的な調査検討を行う。
18年度計画の位置づけ
業務を効率化するために情報技術を活用することとし、18年度については以下の3点を重点的に推進する。
第1に、すでに敷設された上で日常的に利用されている所内ネットワークについて、さらに高度な活用を目指した管理・運用等を行いつつ、ネットワークを利用したシステムの開発等を進める。
第2に、インターネット上で利用可能な電子ジャーナルの増加も踏まえ、所内ネットワークを通じて効率的にこれらの参考文献の入手を行う。
第3に、主要な業務・システムの最適化を実現するための基礎的な調査・検討を進めるに当たり、CIO補佐が有する情報技術に関する専門的な技能を最大限に活用する。
業務の実績
所内ネットワークシステムは、前回の更改時から5年を経過する19年3月を目途に更改のための作業を行った。所内ネットワークの中核となるセンタースイッチや共用サーバ等を中心とした新たなシステムの政府調達手順に沿った手続きを踏まえて入札を行い、予定どおり19年3月1日から新システムの稼動を開始した。
新たな所内ネットワークシステムは、システム全体の最適化を念頭に置き、コストパフォーマンスが向上した各種サーバ機器や最新のセキュリティ対策等を導入した、さらに高度な管理・運用等が可能なシステムである。
17年度に導入に着手したシンクライアントシステム(各利用者のパソコンにはハードディスクを持たず、パソコンで処理した情報は利用者ごとにアクセス制限がなされた共用サーバに一元的に記録されるため、極めて有効なセキュリティ対策が施される)についても増強を行い、企画部、総務部を始めとする管理部門のパソコンのほとんどを、シンクライアントシステムに移行した。
また、管理部門に対し、会計システム、給与システム等の機器の老朽化・陳腐化への当面の対応としての技術支援を行った。
学術雑誌等を発行する世界の出版社では、従来の冊子体によるジャーナル等の形態からインターネット上で閲覧できる有料・無料(Open access)の電子ジャーナルを提供する例が増加している。図書の管理者にとって電子ジャーナルは、保管スペースの確保に悩まされることもなくなり、また、利用者にとっては過去から蓄積された膨大な論文も文献検索データベースとフルテキストをリンクすることにより検索した結果を簡単にフルテキストで参照できるなど、冊子体のジャーナルでは不可能な多くの効率的・効果的な活用法が可能な媒体である。本研究所においてもこれらの導入を推進し、18年度末現在で、引用文献データベース「Web of Science」(トムソンサイエンティフィック社)にフルテキストデータベース「Science Direct」(エルゼビア社)をリンクし、効率的な運用を行っている。その他、冊子体を購入している機関購読者が利用できる「Blackwell Synergy」(ブラックウェルパブリッシング社)の利用も可能としている。
業務・システムの最適化の推進については、政府の「高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT戦略本部)」の決定に基づき18年3月に設置した情報化統括責任者(CIO)補佐を中心に検討を進めた。
業務・システムの最適化の対象となるシステムは年間の経常的な運営経費が1億円以上のものとされており、本研究所においてはスーパーコンピュータシステムが該当するが、CIO補佐の設置時には既に19年3月に稼動を開始した現行のスーパーコンピュータシステムの最適な仕様書の骨格が固まっていたため、本システムの最適化は次回の更改に向けた作業の中で進めることとしている。
18年度は、上記のような最適化対象ではないが、管理部門の業務・システムの一部として位置づけられている「給与システム」及び「会計システム」について、現状を把握するなど、最適化を進めるための基礎的な検討を行った。
なお、17年に策定された「政府機関の情報セキュリティ対策のための統一基準」を踏まえ、本研究所においては18年12月に「独立行政法人国立環境研究所情報セキュリティポリシー」を策定し、同時に併せて最高情報セキュリティ責任者等を定めるほか、「情報セキュリティ委員会運営要領」を定めて同委員会を設置するなど、情報セキュリティポリシー実施のための所内体制を整備した。(資料49)
18年度においては、これらの体制整備のほか、最高情報セキュリティアドバーザーとしてのCIO補佐の助言も得ながら、所内に存在する情報及び情報システムの把握や各情報の格付けを行うこと等を目的とした調査に着手した。
関連資料
- このリンクはPDFデータにリンクします(資料49)情報セキュリティポリシーの概要 [PDF:149KB]
自己評価と今後の対応
所内ネットワークシステムは、昨今の業務の推進に欠かすことのできないコンピュータ・ネットワークについて、安全面(セキュリティ対策の一層の強化、迷惑メール等の排除など)を基礎に据えつつ、さらなる利便性(シンクライアント及び無線LANの拡充、迷惑メール対策やウェブメール機能の強化、所外から安全に所内LANを利用するためのシステムや運用ルールの整備等)を求めていくこととしている。
電子ジャーナルシステムの利用については、限られた予算を最大限に活用する意味からも、より活用度の高い電子ジャーナルの利用を進めるほか、無料で利用できる電子ジャーナルはイントラネットからリンクを張るなど、これらの積極的な活用方策を探っていくこととしている。
業務・システムの最適化の推進については、「国立環境研究所コンピュータシステム」を対象として、その最適化計画の策定を行うとともに、18年度の基礎的な検討を踏まえた「給与システム」及び「会計システム」の効率的な利活用方法を探っていくこととしている。さらに、18年度にCIO補佐の活用のもとで推進した情報セキュリティ対策についても、研究所が保有する各種情報の把握とそれらのセキュリティ的な格付けを始めとする「国立環境研究所情報セキュリティポリシー」に基づいた諸事項の推進を図ることとしている。