記者発表 2009年8月7日

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国立環境研究所の研究情報誌「環境儀」第33号
「越境大気汚染の日本への影響−光化学オキシダント増加の謎」の
刊行について
(お知らせ)

(筑波研究学園都市記者会、 環境省記者クラブ同時配付 )

平成 21年 8月 7日(金)
独立行政法人国立環境研究所
企 画 部 長  : 齊藤  眞 (029-850-2302)
環境情報センター長  : 岸部 和美 (029-850-2340)
環境儀WGリーダー  : 内山 政弘 (029-850-2411)


国立環境研究所の研究成果を分かりやすく伝える研究情報誌「環境儀」第33号「越境大気汚染の日本への影響−光化学オキシダント増加の謎」が刊行されました。本邦のオキシダント濃度はこの20 年間に約1%/年の割合で増加しています。しかし、その原因物質である窒素酸化物と非メタン炭化水素の濃度は、環境対策により経年的に減少しています。原因物質が減っているのに、なぜ光化学オキシダントは増加しているのか?その要因の一つとして、大気汚染物質の排出量が急増している東アジア域からの越境汚染が考えられます。

国立環境研究所では観測データやシミュレーションモデルを用いて高濃度オキシダントが発生する特徴や原因を把握するとともに、全国の地方環境研究機関と共同研究体制をつくり光化学オキシダントの汚染に関する研究を進めています。

1  第33号の内容

光化学オキシダントは典型的な都市型の大気汚染物質です。我が国では環境対策により原因物質である窒素酸化物と非メタン炭化水素は経年的に減少していますが、オキシダント濃度はこの20年間に 0.25 ppb/年の割合で増加しています。

その要因の一つとして、大気汚染物質の排出量が急増している東アジア域からの越境汚染が考えられます。大気汚染シミュレーションモデルを用いて、2007年5月に九州地方で観測された高濃度オキシダントは越境汚染であることを示し、越境汚染が起こりやすい気象パターンについての解説を行っています。更に、東アジア域での原因物質排出量の将来シナリオにより、1980年から2020年の東アジア域の地表面近くのオゾン濃度のシミュレーション結果を示しています。また、環境研究を進めるにあたっての地方環境研究機関との協力体制についても紹介しています。
環境儀第33号表紙写真

内容は、

(1) 研究担当者へのインタビュー

  • 大原 利眞
    アジア自然共生研究グループ
    広域大気モデリング研究室長

(2) 研究成果のサマリーや国内外の研究の動向の紹介

(3) 『シミュレーションによる2007年5月に発生した光化学オキシダントの高濃度現象の再現』

(4) 『越境大気汚染の日本への影響』 等



2  閲覧・入手についての問い合わせ先

「環境儀」は、研究所のホームページで閲覧することができます。
http://www.nies.go.jp/kanko/kankyogi/
   
冊子の入手については、下記へお問い合わせ下さい。
連絡先:国立環境研究所環境情報センター情報企画室出版普及係
(TEL: 029-850-2343、E-mail:pub@nies.go.jp)


(参考)これまで「環境儀」で取り上げたテーマ

32号 : 「熱中症の原因を探る−救急搬送データから見るその実態と将来予測」
31号 : 「有害廃棄物の処理−アスベスト、PCB処理の一翼を担う分析研究」
30号 : 「河川生態系への人為的影響に関する評価 よりよい流域環境を未来に残す」
29号 : 「ライダーネットワークの展開−東アジア地域のエアロゾルの挙動解明を目指して」
28号 : 「森の息づかいを測る−森林生態系のCO2フラックス観測研究」
27号 : 「アレルギー性疾患への環境化学物質の影響」
26号 : 「成層圏オゾン層の行方 - 3次元化学モデルで見るオゾン層回復予測」
25号 : 「環境知覚研究の勧め−好ましい環境をめざして」
24号 : 「21世紀の廃棄物最終処分場−高規格最終処分システムの研究」
23号 : 「地球規模の海洋汚染−観測と実態」
22号 : 「微小粒子の健康影響―アレルギーと循環機能」
21号 : 「中国の都市大気汚染と健康影響」
20号 : 「地球環境保全に向けた国際合意をめざして  ― 温暖化対策における社会科学的アプローチ」
19号 : 「最先端の気候モデルで予測する『地球温暖化』」
18号 : 「外来生物による生物多様性への影響を探る」
17号 : 「有機スズと生殖異常−海産巻貝に及ぼす内分泌かく乱化学物質の影響」
16号 : 「長江流域で検証する『流域圏環境管理』のあり方」
15号 : 「干潟の生態系−その機能評価と類型化」
14号 : 「マテリアルフロー分析−モノの流れから循環型社会・経済を考える」
13号 : 「難分解性溶存有機物−湖沼環境研究の新展開」
12号 : 「東アジアの広域大気汚染−国境を越える酸性雨」
11号 : 「持続可能な交通への道−環境負荷の少ない乗り物の普及をめざして」
10号 : 「オゾン層変動の機構解明−宇宙から探る  地球の大気を探る」
9号 : 「湖沼のエコシステム−持続可能な利用と保全をめざして」
8号 : 「黄砂研究最前線−科学的観測手法で黄砂の流れを遡る」
7号 : 「バイオエコ・エンジニアリング−開発途上国の水環境改善をめざして」
6号 : 「海の呼吸−北太平洋海洋表層のCO2吸収に関する研究」
5号 : 「VOC−揮発性有機化合物による都市大気汚染」
4号 : 「熱帯林−持続可能な森林管理をめざして」
3号 : 「干潟・浅海域−生物による水質浄化に関する研究」
2号 : 「地球温暖化の影響と対策−AIM:アジア太平洋地域における温暖化対策統合評価モデル」
創刊号 : 「環境中の『ホルモン様化学物質』の生殖・発生影響に関する研究」

バックナンバーはホームページから閲覧できます。
http://www.nies.go.jp/kanko/kankyogi/