国立環境研究所の研究情報誌「環境儀」第29号
「ライダーネットワークの展開−東アジア地域のエアロゾルの
挙動解明を目指して」の刊行について
(お知らせ:環境省記者クラブ、筑波研 究学園都市記者会同時配付 )
平成20年8月4日(月) | |
独立行政法人国立環境研究所 | |
企 画 部 長 | : 松井 佳巳 (029-850-2302) |
環境情報センター長 | : 松本 公男 (029-850-2340) |
環境儀WGリーダー | : 西川 雅高 (029-850-2495) |
広報 ・ 国際室 | : 広兼 克憲 (029-850-2308) |
要 旨
国立環境研究所の研究成果を分かりやすく伝える研究情報誌「環境儀」第29号「ライダーネットワークの展開−東アジア地域のエアロゾルの挙動解明を目指して」が刊行されました。環境省黄砂飛来情報でも活用されているライダー(レーザーレーダー)を紹介しています。
国立環境研究所では、対流圏に存在する大気粉じん(エアロゾル)やガスの高度分布状態を計測するレーザーレーダーの開発とその応用研究を1970年代から行ってきました。大気粉じんの長期連続観測への実用化を目指し、ライダーの自動化や小型化を図ってきた研究開発の過程は、国立環境研究所がこの分野をリードしてきた歴史でもあります。2001年から国内外に整備を始めたNIES(国立環境研究所)型ライダーによる観測ネットワークは、モンゴル、中国、韓国、タイに展開し、現在19カ所の規模になっています。それらのネットワークデータは、欧州や米国が展開するライダーネットワークとの連携により、地球温暖化にも関係する全球的なエアロゾルの分布データの共有化という形に発展しつつあります。また、固定局での観測のみならず、船、飛行機、衛星などいろいろなプラットホームに装置を搭載し、地球規模のエアロゾル観測への応用や、煤や硫酸塩エアロゾルなど多種類のエアロゾルを判別できる次世代型ライダーの開発など、ライダー観測研究の現在・将来動向などについても紹介しています。
1 第29号の内容
第29号では、ライダー(レーザーレーダー)の開発やそれを使った観測研究、関連する世界的動向などを紹介します。
国立環境研究所が取り組んでいるライダーの開発・応用に関する研究目標は、地上から高度約15kmまでの大気中に存在するエアロゾルやガスの変化をリアルタイムで、しかも無人運転による長期連続観測を可能にすることです。環境省の黄砂飛来情報ホームページに恒常的にデータ提供できるまでにライダー観測システムを実用化できたことは、研究成果の社会貢献の好例となっています。 この実用化までの過程、現在取り組んでいるモデル同化研究(例えば、黄砂や大気汚染粒子の飛来予測精度の向上)や次世代型ライダーの目指す目標(エアロゾルの種類の識別及びそれぞれの濃度分布測定精度の向上)などについて、担当研究者グループのインタビューを交えて分かり易くまとめているほか、地球温暖化に関係する全球レベルのエアロゾル観測に貢献するライダーネットワークの国際的な連携動向についても解説しています。アジア最大規模の国立環境研究所のライダーネットワークから提供される観測データは、現在、世界から注目されています。

内容は、
(1) 研究担当者へのインタビュー
- 杉本 伸夫(すぎもと のぶお)
大気圏環境研究領域遠隔計測研究室長 - 松井 一郎(まつい いちろう)
大気圏環境研究領域遠隔計測研究室主任研究員 - 清水 厚(しみず あつし)
アジア自然共生研究グループ主任研究員
「ライダー観測技術の進歩とエアロゾルの動態解明」
(2) 『ライダーネットワークでの同時連続観測とデータの解析・活用』ほか、『ライダーによるエアロゾル観測』『広く活用される観測データ』『ライダー装置の変遷』などについてのコラム等
2 閲覧・入手についての問い合わせ先
● | 「環境儀」は、研究所のホームページで閲覧することができます。 http://www.nies.go.jp/kanko/kankyogi/ |
● | 冊子の入手については、下記へお問い合わせ下さい。 連絡先:国立環境研究所環境情報センター情報企画室出版普及係 (TEL: 029-850-2343、E-mail:pub@nies.go.jp) |
(参考)これまで「環境儀」で取り上げたテーマ
第 | 28号 : | 「森の息づかいを測る−森林生態系のCO2フラックス観測研究」 |
第 | 27号 : | 「アレルギー性疾患への環境化学物質の影響」 |
第 | 26号 : | 「成層圏オゾン層の行方 - 3次元化学モデルで見るオゾン層回復予測」 |
第 | 25号 : | 「環境知覚研究の勧め−好ましい環境をめざして」 |
第 | 24号 : | 「21世紀の廃棄物最終処分場−高規格最終処分システムの研究」 |
第 | 23号 : | 「地球規模の海洋汚染−観測と実態」 |
第 | 22号 : | 「微小粒子の健康影響―アレルギーと循環機能」 |
第 | 21号 : | 「中国の都市大気汚染と健康影響」 |
第 | 20号 : | 「地球環境保全に向けた国際合意をめざして ― 温暖化対策における社会科学的アプローチ」 |
第 | 19号 : | 「最先端の気候モデルで予測する『地球温暖化』」 |
第 | 18号 : | 「外来生物による生物多様性への影響を探る」 |
第 | 17号 : | 「有機スズと生殖異常−海産巻貝に及ぼす内分泌かく乱化学物質の影響」 |
第 | 16号 : | 「長江流域で検証する『流域圏環境管理』のあり方」 |
第 | 15号 : | 「干潟の生態系−その機能評価と類型化」 |
第 | 14号 : | 「マテリアルフロー分析−モノの流れから循環型社会・経済を考える」 |
第 | 13号 : | 「難分解性溶存有機物−湖沼環境研究の新展開」 |
第 | 12号 : | 「東アジアの広域大気汚染−国境を越える酸性雨」 |
第 | 11号 : | 「持続可能な交通への道−環境負荷の少ない乗り物の普及をめざして」 |
第 | 10号 : | 「オゾン層変動の機構解明−宇宙から探る 地球の大気を探る」 |
第 | 9号 : | 「湖沼のエコシステム−持続可能な利用と保全をめざして」 |
第 | 8号 : | 「黄砂研究最前線−科学的観測手法で黄砂の流れを遡る」 |
第 | 7号 : | 「バイオエコ・エンジニアリング−開発途上国の水環境改善をめざして」 |
第 | 6号 : | 「海の呼吸−北太平洋海洋表層のCO2吸収に関する研究」 |
第 | 5号 : | 「VOC−揮発性有機化合物による都市大気汚染」 |
第 | 4号 : | 「熱帯林−持続可能な森林管理をめざして」 |
第 | 3号 : | 「干潟・浅海域−生物による水質浄化に関する研究」 |
第 | 2号 : | 「地球温暖化の影響と対策−AIM:アジア太平洋地域における温暖化対策統合評価モデル」 |
創刊号 : | 「環境中の『ホルモン様化学物質』の生殖・発生影響に関する研究」 |
バックナンバーはホームページから閲覧できます。
http://www.nies.go.jp/kanko/kankyogi/