記者発表 2008年2月8日

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国立環境研究所の研究情報誌「環境儀」第27号
「アレルギー性疾患への環境化学物質の影響」
の刊行について
(お知らせ:環境省記者クラブ、筑波研究学園都市記者会同時発表)

平成20年2月8日(金)
独立行政法人国立環境研究所
企画部長  : 松井  佳巳 (029-850-2302)
環境情報センター長  : 山本  秀正 (029-850-2340)
環境儀WGリーダー  : 植弘  崇嗣 (029-850-2428)
広報・国際室  : 広兼  克憲 (029-850-2308)


要  旨

国立環境研究所の研究成果を分かりやすく伝える研究情報誌「環境儀」第27号「アレルギー性疾患への環境化学物質の影響」が刊行されました。

近年、子供たちをはじめとして成人にも増えているアレルギー性疾患については、様々な原因が取り上げられていますが、要因が複雑に絡み合っている可能性も高く、その特定は困難を極めています。

今回の環境儀では、「環境化学物質への曝露」という観点から、アレルギー性喘息とアトピー性皮膚炎について、実験用のマウス(ハツカネズミ)や細胞を使って研究した成果を、若手研究者3人がわかりやすく紹介します。環境化学物質のアレルギー性疾患対する影響の全体像解明には至っていないものの、極低濃度曝露でも影響の出る可能性を示す結果も得られています。

1  第27号の内容

第27号では、環境中に存在する化学物質によるアレルギー性疾患に対する影響を評価する研究を紹介します。

アトピー性皮膚炎、アレルギー性喘息、花粉症や化学物質過敏症などのアレルギー性疾患が、近年増加傾向を示しています。アレルギー反応は、生命維持に不可欠な免疫反応と密接な関連を持つことから、様々な要因が複雑に絡み合っている可能性も高く、増加原因の特定は難しいものとなっています。

今回は、「環境化学物質への曝露」という観点から、「アレルギー性喘息とディーゼル排気微粒子」及び「アトピー性皮膚炎とプラスチック可塑剤の一種」の2件の関連を実験用のマウスを使って行った研究、またマウスの培養細胞を使った迅速な評価手法の開発について、研究を行った若手研究者3人が紹介します。


環境儀第27号「アレルギー性疾患への環境化学物質の影響」

内容は、

(1) 研究担当者へのインタビュー
・井上健一郎(いのうえ  けんいちろう)
環境健康研究領域生体影響評価研究室長
・小池  英子(こいけ  えいこ)
環境健康研究領域生体影響評価研究室主任研究員
・柳澤  利枝(やなぎさわ  りえ)
環境健康研究領域生体影響評価研究室研究員
「アレルギー反応を指標とした化学物質のリスク評価と毒性メカニズムの解明に関する研究」

(2) アレルギー性疾患の症状を悪化させる環境化学物質の存在ほか、『身近になった化学物質の曝露』、『マウスを使った動物実験』、『新たなin vivo 試験法の開発』などについてのコラム等



2  閲覧・入手についての問い合わせ先

「環境儀」は、研究所のホームページで閲覧することができます。
http://www.nies.go.jp/kanko/kankyogi/
冊子の入手については、下記へお問い合わせ下さい。
連絡先:国立環境研究所環境情報センター情報企画室出版普及係
(TEL: 029-850-2343、E-mail:pub@nies.go.jp)


(参考)これまで「環境儀」で取り上げたテーマ

26号 : 「成層圏オゾン層の行方 - 3次元化学モデルで見るオゾン層回復予測」
25号 : 「環境知覚研究の勧め−好ましい環境をめざして」
24号 : 「21世紀の廃棄物最終処分場−高規格最終処分システムの研究」
23号 : 「地球規模の海洋汚染−観測と実態」
22号 : 「微小粒子の健康影響―アレルギーと循環機能」
21号 : 「中国の都市大気汚染と健康影響」
20号 : 「地球環境保全に向けた国際合意をめざして  ― 温暖化対策における社会科学的アプローチ」
19号 : 「最先端の気候モデルで予測する『地球温暖化』」
18号 : 「外来生物による生物多様性への影響を探る」
17号 : 「有機スズと生殖異常−海産巻貝に及ぼす内分泌かく乱化学物質の影響」
16号 : 「長江流域で検証する『流域圏環境管理』のあり方」
15号 : 「干潟の生態系−その機能評価と類型化」
14号 : 「マテリアルフロー分析−モノの流れから循環型社会・経済を考える」
13号 : 「難分解性溶存有機物−湖沼環境研究の新展開」
12号 : 「東アジアの広域大気汚染−国境を越える酸性雨」
11号 : 「持続可能な交通への道−環境負荷の少ない乗り物の普及をめざして」
10号 : 「オゾン層変動の機構解明−宇宙から探る  地球の大気を探る」
9号 : 「湖沼のエコシステム−持続可能な利用と保全をめざして」
8号 : 「黄砂研究最前線−科学的観測手法で黄砂の流れを遡る」
7号 : 「バイオエコ・エンジニアリング−開発途上国の水環境改善をめざして」
6号 : 「海の呼吸−北太平洋海洋表層のCO2吸収に関する研究」
5号 : 「VOC−揮発性有機化合物による都市大気汚染」
4号 : 「熱帯林−持続可能な森林管理をめざして」
3号 : 「干潟・浅海域−生物による水質浄化に関する研究」
2号 : 「地球温暖化の影響と対策−AIM:アジア太平洋地域における温暖化対策統合評価モデル」
創刊号 : 「環境中の『ホルモン様化学物質』の生殖・発生影響に関する研究」

バックナンバーはホームページから閲覧できます。
http://www.nies.go.jp/kanko/kankyogi/