国立研究開発法人国立環境研究所
環境リスク・健康領域

第18回生態影響試験実習セミナー受講者募集のご案内

 国立環境研究所環境リスク・健康領域環境リスク科学研究推進室及び生態毒性研究室では、生態影響試験に関する標準機関として、幅広い機関への試験の普及を図るため、平成23年度より「生態影響試験実習セミナー」を年2回開催しております。
 生態影響試験実習セミナーは、ここ数年、新型コロナウイルス感染拡大の影響から、やむなくその規模を縮小して実施してまいりましたが、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類感染症へと変更されたことを受け、今後はこれまで縮小して実施してきた対面実習の規模を徐々にではありますが拡大していく方針でおります。18回目となる今回は、オンライン参加のニーズも増していることから、前回に引き続き対面実習に加え、座学や講演等をWeb配信するバイブリッド形式での開催を計画しております。今回のセミナーでは、急速な動物福祉の拡大を背景にニーズが増しているメダカの症状診断手法、魚類急性毒性試験の代替法として活用が検討されている魚類胚期急性毒性(FET)試験とニジマスのエラ細胞試験、さらに麻酔薬を用いた安楽死手法など3Rsの導入及びそれらの技術向上を目指したい方を対象に、令和5年12月13日(水)~15日(金) の3日間の日程で開催します。皆様のご参加をお待ちしております。

日程 令和5年12月13日(水)~15日(金)
13日:10:30~17:45、14日:09:00~17:00、15日:09:00~12:30
場所 国立環境研究所 環境リスク研究棟
〒305-8506 茨城県つくば市小野川16-2
対象 メダカ症状診断手法、FET試験、ニジマスエラ細胞試験、
麻酔薬を用いた安楽死手法の導入及び技術向上を目指したい方
定員現地参加15名(各機関なるべく1名)
オンライン参加(座学・講演等のWeb配信の受講)は
制限なし.
定員超過の場合、生態影響試験の経験等を
考慮し参加者決定
参加費 なし
(昼食費及び懇親会費は必要に応じて実費となります)

 ※初心者から中級者向けの基本的な概要・操作説明及び実習を予定しております。

開催の趣旨

 環境リスク・健康領域リスク科学研究推進室(前:環境リスク健康・研究センター リスク評価科学事業連携オフィス 生態毒性標準拠点)及び生態毒性研究室は、生態影響試験に関する標準機関として生態影響試験の普及・標準化を重要なミッションの1つと位置づけており、新たに導入を検討している試験機関や民間試験施設、地方環境研究所等を対象に、基礎的な知識・技術等の普及を目的とした短期実習セミナーを平成23年度より開催しております。
 18回目となる本セミナーでは、現在、環境省と国環研で検討を進めている「魚類急性毒性試験におけるメダカ(Oryzias latipes)の症状診断」について、主に症状診断の統一化を目的とした解説及び実習を行います。また、FET試験とニジマスエラ細胞試験については、OECD テストガイドラインに準拠した試験法の解説及び実習を行います。さらに、試験魚への安楽死処置が求められているものの、具体的な安楽死手法が提示されていないことを踏まえ、メダカを対象とした麻酔薬を用いた安楽死手法に関する解説及び実習を行います。今回のセミナーでは、基本的な試験操作に加え、技術や精度のさらなる向上を目指したい方を対象に、初級者から中級者向けの内容を予定しております。
 近年、動物福祉の観点から、動物実験や試験に用いる使用個体数の削減や人道的なエンドポイントの採用などいわゆる3Rs(Replacement, Reduction, Refinement)の動きが広まっています。さらに、動物福祉の対象は、これまで対象外であった魚類を用いる試験や実験にも広まりつつあります。特にOECD TG 203に代表される致死をエンドポイントとする魚類急性毒性試験は、試験魚に与える苦痛が大きいことから、使用魚体数の削減やより人道的な試験手順、症状診断等を活用した新たなエンドポイントの活用についての議論がなされてきました。
 2019年6月に公表されたOECD TG 203の改訂版(以下、OECD TG 203 (2019)という)では、かねてより欧州が中心となり提案していた瀕死(Moribund)を致死の代替とする案は一旦見送られました。しかしながら、新たに毒性症状を任意に記録する改訂が承認されていることなどから、今後Moribundのエンドポイント化に向けた動きはさらに加速するものと考えられます。また、OECD TG 203 (2019)では、使用魚体数削減の観点から、Range finding試験における定量的構造活性相関(Quantitative Structure-Activity Relationship: QSAR)やゼブラフィッシュ胚を用いた魚類胚期急性毒性(Fish Embryo acute Toxicity: FET)試験の積極的な利用が推奨されています。
 魚類急性毒性試験(OECD TG 203)は、国の化学物質審査規制法(化審法)や農薬取締法(農取法)でも採用される重要な試験法の1つでもあります。化審法ではすでに、症状診断の改訂を盛り込んだ局長通知が発表されており、試験施設では症状診断に関する新たな対応が求められています。また、FET試験に関しても、欧州ではすでに魚類急性毒性試験の代替としての活用が開始していることなどを考えると、FET試験の需要はこれまで以上に増すものと予想されます。2021年にはニジマスのエラ培養細胞を用いた試験法がOECDで承認されており(Fish Cell Line Acute Toxicity – The RTgill W1 cell line assay: OECD TG 249)、今後、魚類急性毒性試験の代替試験法としての活用が進むものと考えられます。
 

セミナーの内容

 国内で国立環境研究所を中心に検討が進められている魚類急性毒性試験におけるメダカ(Oryzias latipes)の症状診断とOECD TG 236に準拠したゼブラフィッシュ胚を用いた魚類胚期急性毒性(FET)試験及びOECD TG 249に準拠したニジマスエラ細胞試験、麻酔薬を用いた安楽死手法を対象として、主に以下の内容を実施します。


  • 魚類急性毒性試験におけるメダカ(Oryzias latipes)の症状診断についての解説および技術指導
  • ゼブラフィッシュ胚を用いた魚類胚期急性毒性(FET)試験(OECD TG 236)についての解説および技術指導
  • ニジマスエラ細胞試験(OECD TG 249)についての解説及び技術指導
  • メダカを対象とした麻酔薬を用いた安楽死手法の解説及び技術指導
  • 生態影響試験に用いる設備・器具等の紹介
  • 生態影響試験に関わる質問・相談の受付
  • 試験法を用いた研究事例等の紹介

プログラム(予定)

 (※プログラムの内容は、予告なく変更する場合があります。予めご了承下さい。)

日時内容
【1日目】 12月13日(水)
10:30~11:00 受付
11:00~11:15 開会の挨拶、セミナー開催の趣旨など
11:15~12:00[座学]魚類生態毒性試験の動向
12:00~13:00 昼食
13:00~13:30[座学]動物福祉を考慮した魚類急性毒性試験の改訂の取り組みとメダカの症状診断法について
13:30~15:30 メダカの症状診断(ばく露と症状診断)
15:30~16:00 休憩
16:00~17:00 所内見学
17:00~17:45[実習]メダカの症状診断
【2日目】 12月14日(木)
09:00~09:45[座学]FET試験の概要
09:45~12:00[実習]試験用卵の採卵見学、試験卵の選別・ばく露
12:00~13:00 昼食
13:00~13:30[座学]ニジマスエラ試験の概要
13:30~15:30[実習]ばく露・染色・計測
15:30~16:00 休憩
16:00~17:00[講演]未定
18:00~20:00 懇親会(場所未定)
【3日目】 12月15日(金)
09:00~11:00[座学+実習]麻酔薬を用いた安楽死手法について
11:00~12:00[座学+実習]統計解析
12:00~12:30 閉会の挨拶、アンケートの実施

参加申込み方法

  • 参加希望の方は、下記URLの参加申込フォームより必要事項を記載の上、11/24日(金)までにお申込みください(オンライン参加は随時受け付けます)。現地での参加者は各機関につきなるべく1名まで、オンライン参加者の定員は制限なしとさせていただきます。現地参加希望者が定員の15名を超過した場合は、生態影響試験の経験等を考慮した上で参加者を決定させていただきます。
     

     https://forms.office.com/r/AKQwWrNyJN ※こちらのリンクは外部サイトに移動します.


  • 上記よりお申込み出来ない場合は、電子メールからもお申込みいただけます。下記を記載の上、件名を 『セミナー参加申込み』 として、メールアドレスメールまでお送りください。
       参加者氏名(フリガナ)、所属(職名)、メールアドレス、電話番号、参加希望形式、
       生態影響試験の実施状況(経験)、本セミナーで対象とする生態影響試験に関わる質問

参加受付期間

  参加受付期間 : 令和5年10月30日(月)~11月24日(金)
  参加証送付 : 11月27日(月)までに電子メールにて送付いたします。


問い合せ先

 国立研究開発法人国立環境研究所 環境リスク・健康領域
 第18回生態影響試験実習セミナー事務局
 担当:山岸、渡部、日置、大野、山本
 Tel:029-850-2851
 E-mail:e-mail: referencelab.risk(末尾に「@nies.go.jp」がつきます)


感染防止対策

 茨城県つくば市では、令和5年5月8日をもって、新型コロナ感染症拡大防止を目的としたイベント等の取り扱い方針は廃止されておりますが、本セミナーでは、以下の通り十分な対策を講じた上で皆様をお迎えするつもりでおります。


  • 飛沫の抑制(マスク着用(任意)や大声をださないこと)の徹底
    • マスク着用(任意)や大声を出さないことを周知・徹底する。
  • 手洗、手指・施設消毒の徹底
    • こまめな手洗やアルコール消毒による手指消毒の徹底を促す。(会場出入口等のアルコール等の手指消毒液設置や場内アナウンス等の実施)
    • 主催者側による施設内(出入口、トイレ、共用部等)の定期的かつこまめな消毒の実施。
  • 換気の徹底
    • 法令を遵守した空調設備の設置による常時換気又は、こまめな換気(1時間に2回以上・1回に5分間以上)の徹底。
  • 来場者間の密集回避
    • 入退場時の密集を回避するための措置の実施
  • 飲食の制限
    • 飲食可能エリアにおける感染防止対策の徹底
  • 出演者等の感染対策
    • 有症状者(発熱又は風邪等の症状を呈する者)は出演を控えるなど日常からの演者の健康管理を徹底する。
    • 演習時等、声を発出する演者間での感染リスクに対処する。
  • 参加者の把握・管理等
    • 入所時の連絡先の確認。
    • 入所時の検温、有症状(発熱又は風邪等の症状)の入所を確実に防止する。