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Q&A
有害物質と侵入生物へもどる
ジャンルキャラクター Q3)外来種はどのように生態系をみだしているの?
 もともと生きていた地域(ちいき)から異(こと)なる地域へ人の手によって運ばれてきた生き物を外来種(がいらいしゅ)といいます。多くの外来種は移動(いどう)先の新しい地域の環境(かんきょう)になじむことができず、増(ふ)えることもなく滅(ほろ)んでしまいますが、一部の外来種は、新天地に適応(てきおう)し、分布(ぶんぷ)を拡大(かくだい)することがあります。そしてその分布拡大の過程(かてい)で、もともとその地域に生息している在来種に対して影響(えいきょう)をおよぼし、在来種の数を減(へ)らしてしまう外来種を侵略的(しんりゃくてき)外来種(侵入種(しんにゅうしゅ))と呼びます。
 日本にもたくさんの侵入種がいます。明治時代に沖縄県にハブ退治(たいじ)の目的で導入(どうにゅう)されたマングースは、肝心(かんじん)のヘビの数を減らすことはほとんどなく、食べやすいヤンバルクイナやアマミノクロウサギなどの貴重(きちょう)な固有種(こゆうしゅ)を食べてその数を減らしていると考えられています。 食料目的で北米から導入(どうにゅう)されたオオクチバスは、戦後(せんご)になってスポーツフィッシングの対象となり、日本各地の河川(かせん)や湖沼(こしょう)に放されたことから、その数を増(ふ)やし、日本在来の魚を大量に食べているとされます。河原(かわら)にはびこり在来(ざいらい)の草花の生育(せいいく)をそがいしているシナダレスズメガヤやネズミムギなどの外来雑草は、道路など開発地の緑化(りょくか)に植えられたものから広まったものです。このように侵入種は日本の環境のさまざまな場面で、さまざまな影響(えいきょう)を在来種に対しておよぼしていますが、それらを日本に持ちこんだのは人間自身です。
 近年(きんねん)特に問題と考えられている外来種のひとつに外来ペット生物があげられます。たとえば現在日本では外国産のクワガタムシを飼(か)うことが大きなブームになっています。毎年、いろいろな国から大量の生きたクワガタムシが輸入(ゆにゅう)されて売られていますが、これらが日本の野外に逃(に)げ出せば、日本のクワガタムシとえさ場やすみかをめぐって競争(きょうそう)したり、日本のクワガタムシと交尾(こうび)をして雑種(ざっしゅ)を作ったり、外国産の病原体(びょうげんたい)(寄生(きせい)生物)を持ちこむなど、日本のクワガタムシやその他の生物の生態系(せいたいけい)に深刻(しんこく)な影響をもたらすことが心配されています。
 こうした侵入種の影響から日本の自然や生き物を守るために、日本政府は新しい法律(ほうりつ)「特定外来生物被害防止法(とくていがいらいせいぶつひがいぼうしほう)」を作りました(2005年6月施(せこう)行)。この法律では日本の環境に有害と考えられる侵入種を「特定外来生物」に指定して、輸入することや飼育(しいく)すること、野外ににがすことを禁止(きんし)します。日本本来の自然環境を次の世代に残すためにも、侵入種を増やさぬよう、飼っている生き物は死ぬまで面倒(めんどう)をみるという、飼育のマナーを守ることが大事です。同時にそれらの生き物にも本来の故郷(ふるさと)があったことを忘れてはなりません。
外来種・移入種・侵入種の違い

もっと詳しく:環境省ホームページから
外来生物法           外国からやってきた生き物たち
 
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