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Ⅴ 平成22年度新規特別研究:事前説明
4.気候変動緩和・適応型社会に向けた地域内人口分布シナリオの構築に関する研究

1)研究の概要

過去6時点間の国勢調査地域メッシュデータを対象として、3次メッシュ別五歳階級別の移動率を求め、経済状況や地域性、施策等が移動率に及ぼした影響を分析し、将来移動率の設定可能な幅とそのための施策を明らかにする。

また、中長期的な温暖化への対応を適用例として、地域内人口分布を反映したCO2排出量と温暖化影響を推計するモデルを開発・適用する。

これらを踏まえて、実現可能性が高く気候変動の緩和・適応の観点から望ましい人口分布シナリオを構築する。

[外部研究評価委員会事前配付資料抜粋]

研究目的  /  研究予算  /  研究内容

2)研究期間

平成22〜24年度(3年間)

3)外部研究評価委員会の見解と対処方針

(1)研究内容

[内容評価]

気候変動だけの要因で人口分布の移動を誘引するのは無理と思われるが、人口分布の最適解を検討するという視点は重要であり、気候変動によって引き起こされる生態系の変化や食糧・水供給の変化などによる人口分布の変化があると考えられるため、このような仮想的な研究をやっておく価値はある。人口の空間分布が環境にあたえる効果を明らかにする点で興味深い。日本の行政の政策決定に重要な研究であり、研究のねらいは大変良い。

一方、何を狙っての研究なのかが説明不足で、焦点を絞ったほうが良いのではないかとも考えられる。

[提案、要望]

可能なら、ヨーロッパの都市作りについて比較調査を行ったら良いのではないか。交通量に関する将来の動向は過去の延長上にあるものであろうか?思い切った社会変革等をどう想像力を生かして構想するのか、期待している。

[対処方針]

「地球温暖化対策の推進に関する法律」がH20.6に改正され、「地方公共団体実行計画」の策定および都市計画、農業振興整備計画等との連携を図ることが求められていることが背景にあり、地域内の人口分布と地球温暖化対策の関係を踏まえた望ましいシナリオを構築する方法を明らかにすることを狙っている。なお、地球温暖化を軸としつつも、他の環境問題あるいは生活の質に与える影響とのバランスについても考慮したい。

欧州まちづくり施策に関する知見をシナリオに組み入れることを検討したい。交通量推計については、過去の動向に沿う要因、沿わない要因を組み合わせる点を工夫したい。大きな変化と実現可能性が両立するシナリオを構築したい。

(2)研究の進め方・組み立て

[内容評価]

具体的な生活利便性が最優先される老人を中心とした生活パターンがどの程度考慮されているのか、分からない。

[提案、要望]

憲法の生存権条項など国民の権利をシナリオ作成に際して考慮する必要はないのか。或いは国民の行動結果として生じる人口分布での影響を見ようとするのか。両者との関係を留意しておいていただきたい。

将来の都市形態(構造)のあり方について検討しておくとよい。また、2050年に都市建物の健全な維持をどうするか、高層ビルのスラム化をいかに防ぐかの対策についても提案して欲しい。

[対処方針]

年齢階層は社会増減数の推計のみに用いる研究計画としている。年齢や世帯の構成の変化とその影響についても考慮できるように拡張を検討したい。

国民の行動結果として生じる人口分布の影響を見ようとしている。しかし、国民に無理な選択を強いるシナリオとならないように特に注意したい。

将来的に不要となる都市ストックの発生状況の予測にも資すると考えている。スラム化を防ぐ具体策の提案となると本研究の範囲を超える部分もあるが、注意喚起と同時に対策についても提起できるように検討したい。

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