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Ⅳ 平成21年度終了特別研究:事後評価
1.貧酸素水塊形成機構と生物への影響評価に関する研究

1)研究の概要

東京湾を対象として①植物プランクトン由来と陸起源の有機物による貧酸素水塊形成への寄与の把握,②底泥における酸素消費速度の時空間分布特性の把握,③貧酸素による底生生物生息環境への影響評価,④流動・生態系モデルに基づく貧酸素水塊形成過程の解析を行う。これらを総合して,海域環境の健全性を現すための,溶存酸素(DO)を基本とした新たな指標体系を確立し,水質環境基準(生活環境項目)の改訂に指針を与える。

[外部研究評価委員会事前配付資料抜粋]

2)研究期間

平成19〜21年度(3年間)

3)外部研究評価委員会による年度評価

平均評点 3.7点(五段階評価;5点満点)

4)外部研究評価委員会の見解

[現状評価]

東京湾での貧酸素水塊の実体を示し、その形成メカニズムの解析をしている。全体に東京湾という自然を相手によく頑張ったと評価する。特に次につながる成果を上げたことは申し分ない。

ただ、データを集めて生物(貝)に影響することは分かったが、それでどうするのかの提示がなかった。また、論文発表などの成果がやや少ない。

[今後への期待、要望]

地形データが重要と考えられる。今後、何故硫化物が底泥に蓄積するのか、その理由を解明してほしい。

5)対処方針

得られた成果の論文発表は今後行っていく予定である。

二枚貝への影響評価については、今回、様々な内湾に生息する複数種の貧酸素水塊耐性現場実験を行っており、得られた知見は二枚貝生息場の環境保全のための目標指針−どのような二枚貝を生存可能たらしめるか?アサリなど相対的に脆弱な二枚貝を保全するには相当の貧酸素状態解消が求められる等−に一定の情報を与えるものと考えている。底層の海水の流動を左右する海底地形は貧酸素水塊発生や硫化水素の蓄積に大きな影響をおよぼすが、今回の研究調査対象海域である東京湾奥部で貧酸素水塊と硫化物の蓄積が著しい地点は特に浚渫窪地等ではなく、底層における海水の流動を特に妨げる地形にはなっていないため、特に考慮すべき因子とは必ずしもならないと考えている。よく千葉沖等、青潮が発生するのは浚渫窪地のためだと指摘されるが、東京湾奥部全体から見れば貧酸素水塊に見舞われるのは広範囲であり、浚渫窪地はその極く一部でしかない。

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