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Ⅱ 基盤的な調査・研究活動:終了時の評価
6.水土壌圏環境研究

1)研究の概要

水環境保全及び流域の水土壌環境を適正に管理するため、閉鎖性の高い水域の富栄養化に起因する湖沼の有機汚濁機構を明らかにする研究や東京湾で夏期に観測される底層の貧酸素化の機構解明を目的とした研究を実施した。流域における環境修復・改善技術開発のため、省エネルギー型水・炭素循環処理技術を改良し実証実験を実施した。地下に漏出した有機溶剤を浄化する技術の有効性と安全性を評価する研究を実施した。また、長期的な影響が懸念される事象について、例えば、森林生態系における窒素飽和現象や、陸域から海洋へ運ばれる硅素の減少による海洋生態系への影響が指摘されている課題について、モニタリングを中心とした調査研究を継続している。

2)外部研究評価委員会による年度評価の平均評点

平均評点  4.1点 (五段階評価;5点満点)

3)外部研究評価委員会の見解

[現状評価]

汚染物質の放出源を同定する手法として同位体測定を導入するなど、個々の基盤的研究は伝統的な流れに乗ったものであり、解り易い。基本的には有意義な研究が実施され、成果も上がっている。

ただ、今後どのように管理するのか、また修復するのかについての踏み込みがやや弱いのではないか。

[今後への期待、要望]

研究の成果は、今後の自治体レベルでのモニタリングの規範を提供するものとしても期待される。更なる考察や科学的解釈(難分解性DOMについての化学組成解明など)によって行政(環境基準のあり方、汚染原因の管理・修復など)に対する貢献を深めると同時に、あるべき姿とその実現に向けた成果を発信していってほしい。

新規素材を核にした技術開発など、問題解決だけにとどまらない新たな展開を図れるよう、ビジョンや戦略を明確にした今後の研究企画立案に期待する。

4)対処方針

湖沼、海域の水質管理だけでなく、それにつながる流域における有機物や栄養塩の循環を対象とした研究を引き続き実施し、期待に添えるよう努力したい。今後の水環境の在り方については、環境省で、関連課題に対応する委員会が複数開催されており、当研究所の研究員もこれらに参画していることから、これらの場を活用して情報収集や研究成果を基にした情報発信に努めていく。

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