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Ⅱ 基盤的な調査・研究活動:終了時の評価
3.化学環境研究

1)研究の概要

(1)高感度かつ迅速な有機化学物質一斉分析手法、(2)吸着剤利用技術等に基づく高頻度、広域モニタリング手法、(3)放射性炭素14Cを含む元素の同位体比精密測定手法、(4)化学物質生体影響の非破壊計測技術、等の分析/モニタリング手法の開発や高度化を中心的な柱に据えながら、他のユニット、或いは所外研究者とも連携しつつ、(A)POPsやVOCを含む様々な有機汚染物質のモニタリングと発生源、環境動態の解明、(B)同位体比や元素組成を指標とする大気微粒子、大気・室内汚染物質、重金属などの主な発生源とその寄与率の推定、(C)地球規模の炭素循環の精密化や過去の環境変動の解明、(D)化学物質生体影響評価のための基礎情報取得、などの研究を推進するとともに、ストックホルム条約等への国際貢献、国内化学物質関連施策への貢献等の活動を行った。

2)外部研究評価委員会による年度評価の平均評点

平均評点  4.5点 (五段階評価;5点満点)

3)外部研究評価委員会の見解

[現状評価]

化学分析は様々な環境研究の基盤となる重要な分野であるが、本研究は世界的なレベルの技術開発および質の高いデータによりしっかりとそのような要請に応えている。それゆえ、学術・行政への貢献は大きく、また国環研の他のプロジェクトを支える基盤研究という点でも十分機能している。

一方、基盤的な調査・研究活動の成果と環境リスク制御施策との橋渡しということを考えた場合、分析対象の選定や研究の進め方にどういう課題があるかについて、しっかりとした認識が必要である。

[今後への期待、要望]

ヒトの健康と結びつけていくことが次の課題であるので、化学物質の測定データとヒトの健康影響評価指標との関連づけ、すなわち得られたデータと健康との相関を十分に明確化すること、また、蓄積されたデータから未知の環境リスクを抽出していくことが期待される。

なお、常に所内での位置づけに留意しながら、独創的な手法を開発することのみを目的とせず、標榜するケモメトリクスの高度化というゴールに向けて研究を進められたい。

4)対処方針

今後推進される化学物質と小児の健康影響に関するエコチル事業への貢献を念頭に、いくつかの分析関連研究を競争的資金を得てすでに開始しているが、毒性研究、疫学研究とも密接な連携を保ちつつ、化学分析でも新たな局面を切り開くべく一層の努力を重ねていきたい。

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