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Ⅴ 平成21年度新規特別研究の事前説明
2.資源作物由来液状廃棄物のコベネフィット型処理システムの開発

1)研究の概要

本研究では、アジア地域で生産が活発な資源作物(サトウキビ、アブラヤシ等)由来液状廃棄物(廃液)の適正処理法の開発を行い、温室効果ガス発生抑制、エネルギー回収、水環境保全を実現化するコベネフィット型処理技術の確立を目指す。

具体的には、資源作物由来液状廃棄物に対してメタン発酵技術の適用を行い、有機物除去・エネルギー回収の効率化・最適化を図る。また、メタン発酵処理液の省エネルギー型後段処理法や液肥としての利用に関する検討を行う。さらに、各種廃液の排出状況や生分解特性の調査により、廃液の不適切処理に伴う温室効果ガスの発生状況等を把握する。

[外部研究評価委員会事前配付資料抜粋]

研究目的  /  研究予算  /  研究内容

2)研究期間

平成21〜23年(3年間)

3)外部評価委員会の見解

(1)研究内容

[内容評価]

循環型社会に向けて、温室効果ガス排出削減、エネルギー有効利用の面から非常に魅力的な研究である。しかし、他にも類似の研究が数多く行われている。本研究が、既往の研究と比較して、どこまでの高効率化を目指すのか、またそのコストや維持管理をどの程度にするのか、さらに、そのためにどのように新規なプロセスの開発を行おうとしているのか、具体的な開発目標や内容、さらには根拠が曖昧な感がある。

[提案、要望]

途上国、もしくは国内の適用場所によって目標が異なるはずであるから、きちんと目標を定めて研究を続けてほしい。

[対処方針]

本研究課題では、高有機物濃度で微生物への阻害物質(硫酸塩など)を多く含み、有効な処理技術が確立していない糖蜜系廃液(糖蜜、バイオエタノール廃液)の適切メタン発酵処理技術の開発を目標としている。

具体的には、メタン発酵処理液からの脱硫技術や高負荷対応発酵槽の開発により、安定的なメタン発酵処理が可能な有機物負荷(硫酸塩負荷)を増加させ、また水質確保のための後段処理の省エネ化を図ることで、エネルギー回収効率の大幅な向上を目指している。これにより、糖蜜からのエタノール製造の2倍以上のエネルギー収率を確保し、廃液処理に伴う便益を十分に担保することで、開発途上国での将来的な技術普及につなげたいと考えている。

なお、国内の水質基準を満たすために必要な高度処理技術の検討に関しては、別課題での対応を想定している。

(2)研究の進め方・組み立て

[内容評価]

各サブテーマの開発目標がわかりにくい。有用性や利用の可能性という点では技術的評価だけでなく社会経済的評価もあわせて実施することが求められる。東南アジア等で広く適用される技術を開発するつもりなら、より適切な技術の検討が必要である。

[提案、要望]

単に実験と調査を行って終わることがないことを期待する。サブテーマの1と2で実用化を含めて革新的な成果を挙げることに労力・資金を集中投入し、ある程度目処が立った上でサブテーマ3を考えてもよい。サブテーマ3の前半は既に終わっているべき内容である。また、実際に東南アジアに常駐して技術開発の目標を定めるくらいの覚悟が必要である。

[対処方針]

ご指摘の通り、本研究での開発技術は、将来的に開発途上国においても実施可能であることが重視されると考えている。そのため、現地の研究機関や企業との連携を行い、要求される技術用件を盛り込む形で技術開発を進めて行きたいと考えている。

糖蜜系の廃液については、適切な処理技術が確立していないので、本研究を通じて高濃度硫酸塩や有機物を含む廃液の処理や有効利用技術を開発することに注力し、同時に処理の省エネ化や回収したメタンエネルギーの有効利用に関する調査・検討も行っていきたいと考えている。また、本研究における開発技術をベースとして、外部資金等の獲得等による実証試験に発展出来るよう、実用化研究への展開を念頭においた研究推進を図っていきたいと考えている。

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