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Ⅳ 平成20年度終了特別研究の事後評価
6.残留性有機汚染物質の多次元分離分析法の開発に関する研究

1)研究の概要

多次元ガスクロマトグラフと高分解能飛行時間型質量分析計を組み合わせを中心とする多次元分離分析法を開発し、各種媒体中のダイオキシン類をはじめとするPOPs類の高精度・高感度・迅速・多成分同時分析を実現した。

また、大気粒子中n-アルカンやPAHとその類縁体等各種炭化水素定量の高感度化、フルオロテロマーアルコール類の多成分同時測定、水酸化PCB異性体の高分離分析法の開発など、これまで困難であった分析を可能にした。

[外部研究評価委員会事前配付資料抜粋]

2)研究期間

平成18〜20年度(3年間)

3)外部研究評価委員会による年度評価  (評価実施要領へ)

平均評点 4.1   (五段階評価;5点満点)

4)外部研究評価委員会の見解

[現状評価]

本研究は基本的な分析技術開発として目標達成に向けて着実な成果を上げており高く評価される。GCxGC/HRTOFMS複合システムを試作し、これを試料全量導入可能な加熱脱着装置と結合して、迅速・高感度な多成分同時分析装置を開発した成果は高く評価できる。しかし、現状では、解析には専用のソフトが必要であるため、この手法の普及は直ぐには難しいと考えられる。また、新しい発見や政策立案に向けた提言には必ずしもつながっていない。

[今後への期待、要望]

開発したソフトの普及についての検討が必要である。大量のデータ処理を要するため、測定目的に応じた検索・解析ソフトの開発が、その開発体制の整備も含め、今後の普及にとっての課題であると思われる。分析コストの削減についても定量的に検討してもらいたい。

今後は、対象物質の拡大や生体材料への応用など、分野に応じた具体的な応用法の提案、実用化などを見据え、研究を発展させることが望まれる。 

5)対処方針

本研究では、GCxGC/HRTOFMSを中心とした分析法の開発により、残留性有機汚染物質について、前処理を全く省いた分析の可能性を示すことができた。今後は、対象とする試料媒体の種類を増やし、定量の実用化を進めることで、公定法の置き換えを提案することなどを目指したい。

そのためには、実用的なデータ解析ソフトウェアの開発は不可欠であると考えるが、同時に、ダイナミックレンジの拡張などを含めた、ハードウェアによる解決法も検討していく予定である。

また、将来的には、迅速・高分離・高精度・多成分同時分析という本研究のコンセプトを発展させ、本法で分析困難な極性物質をも対象とした新しい分析法の開発も行い、各分野に貢献したいと考える。

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