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Ⅳ 平成20年度終了特別研究の事後評価
5.侵入生物・組換え生物による遺伝的多様性影響評価に関する研究

1)研究の概要

在来生物の遺伝的多様性に影響を与える可能性がある外来生物として、遺伝子組換え(GM))セイヨウアブラナ、輸入昆虫や寄生ダニ類及び移殖淡水魚について、在来生物との遺伝的相互作用の実態把握をおこなった。その結果、

(1) 一般環境でのGMセイヨウアブラナは輸送こぼれ落ち種子し、国道51号線では生育数は減少傾向にある。

(2) クワガタムシ、クロマルハナバチおよびオイカワのESUを明らかにした。

(3) 外来ナミハダニの薬剤感受性変異を見いだした。

(4) 淡水魚では有用魚放流による同種内外来遺伝子の浸透が在来遺伝子との混在を広域で生じていた。

[外部研究評価委員会事前配付資料抜粋]

2)研究期間

平成18〜20年度(3年間)

3)外部研究評価委員会による年度評価  (評価実施要領へ)

平均評点 4.0   (五段階評価;5点満点)

4)外部研究評価委員会の見解

[現状評価]

遺伝子を用いて集団内多様性の解析が進められ、国外(域外)から持ち込まれた生物(遺伝子)の影響が推定できるようになるなど実態解明が期待通りに進み、また、社会への説明責任も果たされており高く評価できる。

現時点では現状把握にとどまっていること、また、遺伝的リスクという言葉が生態系機能、多様性のどちらで使われているのか明確でないことが本課題において弱い部分である。

[今後への期待、要望]

時間スケールや進化スケールを入れるためにも長期的スパンで研究を継続することが必要不可欠であり、生態系影響評価まで発展させ、国民のGMO理解増進、インベーダーモニタリングシステムの開発、行政による対策への貢献などにつなげることに期待する。その際、多様性と固有性を考慮した生物多様性の変化の予測およびリスク低減を含めた保全の施策に反映させる結論と提言をまとめていただきたい。

5)対処方針

本研究では「法規制対象外であるが、今後問題となりそうな外来生物」に焦点を絞って、その遺伝的攪乱リスクの評価を目標に研究をスタートさせた。3年間という短い期間ではリスク評価にはほど遠く、生物地理的な現状把握が精一杯であった。しかしながら、3年間の研究で技術的な問題点の解決と研究のやり方が確立できた。従って、今後、種数やフィールドあるいは調査時間を広げることで、一層の成果が挙がるものと思われる。また、外来種や遺伝子組換え生物の生物多様性影響評価研究は国立環境研究所以外の研究機関ではあまり取り組んでいないことから、国立環境研究所の特色ある研究として、ご指摘の点に配慮しながら、より長期的な視点で研究を進めて行く所存である。

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