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VI 中核研究プロジェクト
研究課題名 国際資源循環を支える適正管理ネットワークと技術システムの構築

実施体制

代表者:
循環型社会・廃棄物研究センター 国際資源循環研究室 室長  寺園 淳
分担者:
【循環型社会・廃棄物研究センター】
副センター長 井上 雄三
国際資源循環研究室 吉田 綾(研究員)、中島謙一(NIES特別研究員)、村上(鈴木)理映(NIESポスドクフェロー)、村上進亮(研究員)*)
循環技術システム研究室 崔 基仁(NIESポスドクフェロー) *)、李淑煕(NIESリサーチアシスタント)*)
資源化・処理処分技術研究室 山田正人(主任研究員)、遠藤和人(研究員)、Komsilp Wang-Yao(NIESポスドクフェロー)
廃棄物試験評価研究室 貴田 晶子(室長)
物質管理研究室 滝上英孝(主任研究員)、渡部真文(研究員)、梶原夏子(NIESポスドクフェロー)
バイオエコ技術研究室 徐 開欽(主任研究員)、蛯江美孝(研究員)、劉 超翔(NIESフェロー)、稲森悠平(室長)*)、桂 萍(NIESポスドクフェロー) *)

※所属・役職は年度終了時点のもの。また、*)印は過去に所属していた研究者を示す。

研究の目的と実施概要

[研究の目的]

本プロジェクトは、アジア地域における資源循環及び廃棄物管理システムの現状を把握・解析し、その適正管理ネットワークを構築すること、技術的側面からの対応として、途上国における適正処理及び温暖化対策の両立に資する技術システムを提供することを目的としている。また、その特徴として、循環型社会研究プログラムの中でも国際的な展開と貢献を目指したものとなっている。他の中核PJから得られる政策手法、資源性・有害性などの評価手法、技術システムの開発及び評価手法などを、国際資源循環やアジア諸国の現状に適用・活用させる予定である。なお、グローバル化する経済活動と、実態として既に日本等の廃棄物が中国等へ大量に輸出され資源として活用されている現状を鑑みれば、アジア地域、ひいてはより大きな規模での適正な資源循環の構築は、プログラムが総合的に目指す日本の循環型社会の将来ビジョンを描く上で不可欠な要素である。

H18-19年度の実施概要

アジア地域での資源循環の適正な促進に貢献すべく、途上国を中心とする各国での資源循環、廃棄物処理に関する現状把握を通して、アジア地域における資源循環システムの解析を行う。また、技術的側面からの対応として、適正処理及び温暖化対策を両立する途上国に適合した技術システムの設計開発と適用による評価を実施した。このため、下記の物質フロー分析、環境影響把握のための各種調査などを実施する。

(1) アジア地域における資源循環システムの解析と評価手法開発による適正管理ネットワークの設計・評価(サブ1)
アジア地域における国際資源循環及び関連する国内資源循環の現状について、製品、物質という二つの側面から物質フローを把握するとともに、フローと政策との関係を整理しながら各国における関連政策及びその評価手法開発のために必要な調査を実施する。また、評価手法の開発を行う。

(2) アジア諸国における資源循環過程での環境影響把握(サブ2)
アジア地域におけるE-wasteをはじめとする資源循環過程に伴うPOPsや水銀などによる環境汚染の発生状況について、既存の測定分析方法と結果をレビューした。また、土壌などの試料の採取・測定分析・毒性評価・モニタリング方法について予備調査を踏まえた検討を行い、プラスチックの太陽光照射や廃基板の燃焼などの途上国での資源循環・廃棄過程における有害化学物質の発生メカニズム解明と発生量把握に資する国内模擬実験を実施する。

(3) 途上国における適正処理・温暖化対策両立型技術システムの開発・評価(固形物)(サブ3−1)
途上国に適した技術システムの設計開発のため、アジア諸国における廃棄物管理システムについて、現況調査と比較研究によって準好気性埋立、多機能性覆土を含む既存技術に影響する因子を抽出する。抽出された影響因子を考慮して技術導入の最適化を図るための検討をラボスケールで実施する。埋立地全体からの温室効果ガス排出量観測法については、地表面法と気象学的手法などを検討する。

(4) 途上国における適正処理・温暖化対策両立型技術システムの開発・評価(液状物)(サブ3−2)
バイオ・エコシステムを適用した技術導入に関して、汚水性状、バイオマス性状、汚濁負荷の質・量特性の調査に基づく地域特性評価を実施するとともに、処理機能解析による処理の高度化を行う。また、バイオマス廃棄物の嫌気発酵エネルギー回収技術、好気発酵コンポスト化技術について、廃棄物性状・発生特性に応じた機能解析によるこれらの技術の効率化を行う。

研究予算

(実績額、単位:百万円)
  平成18年度 平成19年度 平成20年度 平成21年度 平成22年度 累計
運営交付金(PJ4) 54.6 57.5       112.1
奨励研究費 0.7 0.1       0.8
受託費            
科学研究費(廃棄物) 30.2 26.7       56.9
寄付金            
助成金            
総 額 85.5 84.3       169.8

今後の研究展望

概ね研究計画どおりに進捗している。サブ1は家電・パソコン、廃プラを主対象としてきたが、有害物質や家電などの混入や輸送中の火災発生のために実態把握の必要性が増している金属スクラップについても、物質フロー解析と制度研究をH20年度から取り組む予定である。サブ1とサブ2において、E-wasteの中で共通の検討対象として電子基板に着目し、生産から国内外の廃棄に至る物質フロー分析、不適正処理も考慮した国内模擬実験、資源性・有害性の評価などについて、十分連携の上、共同で対応する方針である。サブ3−1と3−2は固形物と液状物の違いはあるが、処分場の浸出水処理などにおいて、技術システムの組合せの可能性を検討する。