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VI-2 循環型社会研究プログラム中核研究プロジェクトの中間評価
1.近未来の資源循環システムと政策・マネジメント手法の設計・評価(平成18年度〜22年度)

1)研究の概要

近未来の循環型社会ビジョンについて、専門家を集めたシナリオワークショップを開催し、2030年頃までに予想される社会変化の物質フロー及び循環・廃棄物管理システムへの影響を予測し、複数のシナリオを描いた。物質フローを予測するモデルの作成に着手し、物質フローと対策による環境負荷削減効果を予測するための投入・産出型の定量的なモデルを主要な循環資源を対象に試作した。社会システム変革については、特に消費形態変化の影響に着目した産業連関分析モデルの作成作業に着手した。対策の実効性や具体的なシステムを検討するために、いくつかの主要な循環資源について関連技術のインベントリーデータの基盤整備を図るとともに、動脈・静脈連携による資源循環システム形成の効果を評価した。個別リサイクルにおける費用情報収集や「見えないフロー」を含めた物質フローの把握、建設リサイクルにおける問題視的検証型の実態評価による政策課題明確化等の検討を行うとともに、EUの拡大生産者責任の下での責任・役割分担の形態や諸外国のデポジット制度の状況を明らかにした。

2)外部研究評価委員会による中間評価の平均評点

4.0  点

3)外部研究評価委員会の見解

[現状評価]
“叙述的な社会シナリオ・ビジョン作成”、“技術システム・社会システム設計による循環型社会に向けた対策の検討と対策効果の予測”、“物質フロー・コストの分析モデル”の3つのサブテーマで構成される本プロジェクトは、さまざまなシナリオを想定しての政策評価が試みられており、高く評価される。これは、最終的に循環型社会のビジョンと対策を提案する試みであり、今後の政策提言に資する研究として高く評価したい。ワークショップ、論文数なども評価できる。一方で、10年〜20年後の近未来社会の構造はもっと精度良く見直すことができるはずであり、より新規性や現実さを加味した社会シナリオを提案して頂きたかった。

[今後への期待、要望]
今後、シナリオの精緻化とベンチマーク手法について一層の努力をすることで目標を達成して頂きたい。また、想定した4ビジョンの検討などにより、ビジョン間の相互比較を通した政策評価を行って頂きたい。一方、循環資源システムを考える上で漏れている要素がないかを吟味し、社会・行政への貢献度の高い提言が行われることを期待する。また、ビジョンあるいはシナリオを考える上での評価指標の明確化と、新しい試みである自治体ベンチマーキング手法の意義の明確化と普及方法の具体化を要望する。

4)対処方針

ビジョンづくりのための社会シナリオや対策群(対策パッケージ)の検討においては、論点等を構造的に整理した上で、網羅性との兼ね合いを考慮しつつ個別に議論を深化させたい。現実さと具体性を持ちつつも、現在の政策の方向性からだけで発想することなく、あるべき姿の実現に向けた新規性のある対策提示を追求していきたい。その為に、他の中核PJとの連携を深め、外部の様々な専門家の見識を取り込むような作業も積極的に行っていく予定である。

最終的にいくつのビジョンを想定するかについては、ビジョン相互の比較検討に値するビジョンに集約する方向で考えている。新たにビジョンを増やすというよりは、集約したビジョンを細分化し、個々の不確実性要素については感度解析的なアプローチで検討することを考えている。

ビジョンに応じた対策群を検討していく上では、資源消費抑制に効果の大きい生産プロセス改善と、物質とエネルギーの地域・空間特性を加味したシステム最適化、3Rを実践する国・地域(自治体)等の構成主体の特性を踏まえたベンチマーキング手法などの誘導策、などについて特に重点的に検討していきたい。

ビジョンを評価する上で、評価指標や目標水準の明確化は特に重要な課題であると認識しており、現時点は天然資源消費抑制、地球温暖化対策や最終処分量等に着眼しているが、化学物質によるリスク低減を含めた廃棄物対策・適正処理や対策コスト等の経済的な観点など、他のインパクト要素も勘案して検討していきたい。また、今般の第二次循環基本計画における指標なども踏まえたい。

社会・行政への貢献度の高い提言に向けて研究成果をしっかり形づくっていき、その上で社会との接点における成果発信も意識したい。

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