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VI-1 地球温暖化研究プログラム中核研究プロジェクトの中間評価
4.脱温暖化社会の実現に向けたビジョンの構築と対策の統合評価(平成18年度〜22年度)

1)研究の概要

脱温暖化社会(概念を拡げて、以下では、低炭素社会と称す)実現を目的として、まず、我が国の低炭素社会の前提となる社会経済ビジョン・シナリオを描き、その実現の可能性を検討する。シナリオ構築手法を新興国・途上国に移転して、アジア各国での低炭素社会シナリオ分析を推進する。これらの成果をもとに世界の研究機関と協力して低炭素社会実現のための障壁や推進力を分析し、政策提言を行う。また、国際合意構築についての分析を行い、実行性のある将来枠組みに関する提案を行う。さらに、温暖化対策を定量的に評価するためのモデル開発を行い、我が国の温暖化際策を分析するとともに、新興国・途上国にモデル移転して、各国の温暖化政策の定量的分析を支援する。

2)外部研究評価委員会による中間評価の平均評点

4.0  点

3)外部研究評価委員会の見解

[現状評価]
本研究プロジェクトは、“ビジョン・シナリオ作成”、“国際政策分析”、“定量的評価”の3つのサブプロジェクトで構成される。低炭素化社会プロジェクトなどを通した社会・行政への貢献を主眼として活発に研究を進めており、高く評価できる。特に、2050年までの低炭素社会に向けてのビジョンは、大きなインパクトがあったと評価できる。また、途上国の研究者を招聘して共同研究を進めるなど、国際的な活動にも積極的に取り組んでいる。このような活動によって、今後のポスト京都議定書に向けた枠組み交渉に際し、先進国と途上国との対立を緩和させる効果が期待できる。

[今後への期待、要望]
今後、低炭素化社会のシナリオに関して、日本、東南アジア諸国、中国などの個別検討から一歩進めて、アジア圏での統合的な低炭素社会のモデルの検討をして頂きたい。また、低炭素社会構築のための具体的なプランを、積極的に提示していって頂きたい。さらに、もう少し判り易い形で国民へのコミュニケーションを図って頂きたい。

4)対処方針

低炭素社会のシナリオについては、まず日本を対象として、2050年の社会像を描き、そこで想定されるサービス需要を満足しながら、1990年に比べて二酸化炭素排出量を70%削減する技術的なポテンシャルがあることを明らかにしてきた。さらに、技術的ポテンシャルを具現化するには、「どの対策を、どの時期に、どのような手順で導入すればよいのか」といった具体的なプロセスや、実現への障壁とそれを克服する手段を明らかにする必要がある。平成20年度は低炭素社会に向けたこれらの方策について検討し、低炭素社会構築のための具体的なプランを示していく。

アジア圏での総合的な低炭素社会のモデルの検討に関しては、現在、日本の低炭素社会のモデルをもとに、東南アジア諸国、中国の将来像について検討しているところであり、まずは、各国の研究者と共同して各国の低炭素社会シナリオの開発を行い、次いで平成21年度以降に、総合的な低炭素社会のモデルの検討に着手することを計画している。なお、今後一層判り易い形でのコミュニケーションを、市民、NGO、産業界の方々と進めていきたい。

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