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VI-1 地球温暖化研究プログラム中核研究プロジェクトの中間評価
3.気候・影響・土地利用モデルの統合による地球温暖化リスクの評価(平成18年度〜22年度)

1)研究の概要

気候・影響・陸域生態・土地利用モデルの統合によるシミュレーションモデルの開発及び将来の気候変化予測と影響評価に関する研究を行った。特に、近未来(〜2030年ごろ)および長期(〜2100年あるいはそれ以降)の二つの時間スケールに注目しつつ、気候モデルについては予測の不確実性の定量化に関する研究、影響モデルについては水資源モデルの高度化および不確実性を含めた農業影響評価、陸域生態・土地利用モデルについては土地利用モデルの開発と土地利用変化シナリオの作成を主に行った。

2)外部研究評価委員会による中間評価の平均評点

4.3  点

3)外部研究評価委員会の見解

[現状評価]
本研究プロジェクトは、“気候モデル”、“影響・適応モデル”、“陸域生態・土地利用モデル”の3つのサブプロジェクトから構成され、それぞれのモデルの改良および高度化について広範な研究が計画通りに進められており、リスク評価として世界をリードする研究であると評価できる。また、それぞれのモデルを結合させて短中期予測を行い、複数のシナリオに基づく長期見通しを明らかにするなど、極めて明確な方針の下に良い成果が出されつつある。加えて、社会的な認知の増大のための活動も活発に行っていることも評価できる。

[今後への期待、要望]
今後、社会経済活動を取り扱う中核プロジェクト4との連携を深めることにより、一層の研究の社会的および政策的な貢献を期待したい。また、アジア向けのリスクコミュニケーションも期待したい。また、個別の土地利用や陸上生態系のモデルなどの精密化と同時に、3つのモデルの相互関係を明確にして、地球規模での気候変動モデルを立案して頂きたい。

4)対処方針

中核プロジェクト4との連携については、IPCC新シナリオ開発プロセスへの参加を契機に、土地利用シナリオの開発など具体的な取り組みを始めており、今後も積極的に推進したい。アジア向けのリスクコミュニケーションについては、重要と認識しているが、我々の予測結果を提示するだけでうまくいくとは期待できず、現地の温暖化影響評価研究者を巻き込んだ取り組みが必要である。IPCC AR5に向けて国内外の影響研究の組織化を進める必要性が認識されていることもあり、まずはアジア諸国の影響研究者とのコミュニケーションを順次試みたい。地球規模での気候変動モデルの立案については、東大気候システム研究センター、海洋研究開発機構などの国内他機関との協力によって実現することとしているが、その中で、農業、林業、水管理などの人間活動のモデルへの組み込みならびに陸域生態系モデルの高度化等を中心に国環研が重要な役割を担うことにより、国際的にも先端的なモデルを提示していきたい。

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