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VI-1 地球温暖化研究プログラム中核研究プロジェクトの中間評価
2.衛星利用による二酸化炭素等の観測と全球炭素収支分布の推定(平成18年度〜22年度)

1)研究の概要

温室効果ガス観測技術衛星(GOSAT)の観測データを利用して、全球における二酸化炭素及びメタンの測定と亜大陸規模の二酸化炭素収支の解明を行うための研究を実施した。先ず、衛星観測データの定常処理アルゴリズムを開発した。次に、衛星の打ち上げ前であることから、航空機や地上で取得した衛星観測の擬似データや直接観測データによりアルゴリズムの精度を評価した。また、この衛星観測データと地上での各種の直接測定データとを利用して、全球の炭素収支推定分布の時空間分解能と推定精度を向上することを目的にインバースモデルの開発と関連データベースの整備を進めた。

2)外部研究評価委員会による中間評価の平均評点

4.1  点

3)外部研究評価委員会の見解

[現状評価]
本研究プロジェクトは、“衛星観測データの処理アルゴリズム開発・改良研究”、“地上観測・航空機等観測実験による温室効果ガス導出手法の実証的研究”、“全球炭素収支推定モデルの開発・利用研究”の3つのサブテーマから構成されている。これらにより、GOSAT利用に向けた準備を着実に実施し、誤差や測定値不確実性を考慮した方法論の研究が着々と進められている。この結果、打ち上げ前準備として期待通りの成果があがっており、衛星運用後の成果に期待がもてる。また、近年、航空機観測データと地上観測データを併用して求めた領域別炭素収支が、従来の地上観測データのみから求められた結果と大きく異なることがわかってきており、地球規模炭素収支の精度向上にとって本プロジェクトの果たす役割は非常に大きいと考えられる。

[今後への期待、要望]
引き続き、JAXAとの協力に努めて頂きたい。また、モデルと衛星観測の連携に期待する。一方、エアロゾルの影響を含め衛星観測の誤差がサブテーマ3の全球炭素収支推定に及ぼす影響についてさらに検討して頂きたい。

4)対処方針

JAXAとは、引き続きセンサ開発ならびにデータ処理システムの開発にかかる情報交換を行うほか、センサの特性に関する情報及び校正データの入手、環境研によるデータ処理結果の状況やデータ質情報のJAXAへの提供などの協力を進める。また、JAXA及び環境省と協力して、GOSATのデータ利用推進を図る。

モデルと衛星観測の連携については、炭素収支推定モデルを研究している各国の研究グループ、特にフランスのLSCE(気候環境科学研究所)、英国Leicester大学、及びEdinburgh大学との共同研究や、国内の各研究機関等のモデルグループとの連携を進める予定である。衛星観測誤差の全球炭素収支推定に及ぼす影響については、これまでにも研究を実施してきたところではあるが、エアロゾルなどの要因の影響については、上記の研究の連携に基づいてさらに研究の進展を図りたい。

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