ホーム > 研究紹介 > 研究計画・研究評価 > 外部研究評価 > 平成20年外部研究評価実施報告  > 身近な交通の見直しによる環境改善に関する研究

ここからページ本文です

W 平成19年度終了特別研究の事後評価
1.身近な交通の見直しによる環境改善に関する研究

1)研究の概要

車載機器やシャシーダイナモ設備を用いて、生活に密着した自動車の使用及び走行実態、並びに、自動車技術、運転方法による環境負荷の違いなどを調べ、環境負荷の実態と削減の可能性を把握した。また、統計データおよび走行実態データを元にして、つくば市を対象としたシミュレーション分析を行い、購買行動と通勤の見直しによる削減可能性を把握した。エコドライブからまちづくりにいたる身近な交通の見直し方法とその環境改善効果を提示した。

[外部研究評価委員会事前配付資料抜粋]

2)研究期間

平成17〜19年度(3年間)

3)外部研究評価委員会による年度評価の平均評点

4.3 点

4)外部研究評価委員会の見解

[現状評価]

本研究では、自動車に依存せざるを得ない社会構造にあって、自動車の使い方に依存した環境負荷を定量的に評価し、科学的な解析を実施し、細街路走行の実態把握と排出量推計、エコドライブによる燃費改善効果の実証等、貴重かつ興味深い実証的データが得られている。これらの結果を用いて交通需要を予測した上で、低炭素社会における交通構造とそれに依存する都市構造にコミットしており、高く評価できる。特に、今回の成果の一つである運輸業や住民の間でも関心の高いエコドライブが定量的に環境負荷を低減するという結果は、今後の市民のCO2削減行動に有効であると考えられる。

一方で、対象がつくば市に限定されていたため、現時点では得られたデータを一般化してわが国の施策として提示するまでの途中段階であると思われる。

[今後への期待、要望]

今回のエコドライブという研究成果を、国民に積極的に幅広く情報発信して頂きたい。 今回の研究の対象が生活用途に多用される乗用車であった。今後、本研究を進めることが可能であるならば、以下のような期待をしたい。すなわち、都市代謝の物流を配慮すれば貨物車についても環境負荷を求められ、地域全体の環境負荷を示すことができるのではないだろうか。これにより一層良い結果となることが期待できる。また、高齢化などの社会構造の変化も含めて検討し、かつ公共交通へのシフトに関して一層の検討を進めることで、交通を通した日本の近未来都市を提言して頂きたい。交通・自動車関連省庁や企業と連携し、地域特性を考慮した進め方も期待したい。

4)対処方針

エコドライブの普及促進については、本研究で得られたエコドライブの要点を学会や国立環境研究所のホームページで情報提供するとともに、研究所の一般公開や市民を対象とした講演会などの機会を利用して、幅広く情報発信を行う予定である。
本研究の継続については未定であるが、現在実施中の地球環境研究総合推進費S-3-5において、貨物輸送の負荷把握および削減策についての研究を行っており、これらの研究をもとに、地域の物流対策についても検討を急ぎたい。

本研究で提案した低炭素地域における交通の将来像は、十分とは言えないが、背景となる社会情勢や産業構造の将来想定を反映させつつ、現況土地利用から見て実現可能性の高い地域構造を提示するように配慮している。今後は、こうした背景状況を明示しつつ、交通関連省庁、地方自治体、企業等の反応も踏まえて、環境改善に資する地域像を提言していきたい。さらに、本研究では、つくば市以外の地域においても、自動車の使用実態データを取得しており、これらのデータを活用して、より多くの地域類型への展開とわが国全体への一般化を図りたいと考えている。

Adobe Readerのダウンロードページへ PDFの閲覧にはAdobe Readerが必要です。Adobe社のサイトからダウンロードしてください。