記者発表 2010年4月27日

ここからページ本文です

「環境GIS」ホームページ「大気汚染予測システム」について
〜全国の光化学オキシダント等の詳細予測を開始〜
(お知らせ)
(筑波研究学園都市記者会、 環境省記者クラブ同時発表)

平成22 年4 月27 日(火)
環境省水・大気環境局大気環境課
直通:03-5521-8294
代表:03-3581-3351
課長:山本  光昭(内線6530)
補佐:手塚  英明(内線6538)
担当:芳川  一宏(内線6539)
独立行政法人国立環境研究所
直通:029-850-2340
環境情報センター長:岸部  和美
直通:029-850-2491
アジア自然共生研究グループ長:中根  英昭


国立環境研究所(以下「NIES」という。)では、光化学オキシダント及び二酸化窒素に ついて、気象モデルと化学輸送モデル*1 を組み合わせた「大気汚染予測システム」を構築 し、東アジア地域、日本全域、及び各地域(九州、関西、中部、関東)における大気汚染濃度の予測結果を、NIES が運用する「環境GIS」ホームページ内「大気汚染予測システム」 サイトにおいて、提供しています。

平成20 年度以降、「大気汚染予測システム」をもとに、NIES の技術協力により、地域ごとの予測システムを順次開発してきたところですが、今般、中四国及び東北地域の予測システムを新たに開発したことから、全国*2 における地域ごとの詳細な汚染濃度の予測結果を試験提供することが可能となりました。

中四国、東北地域を加えた全国の大気汚染濃度予測図の公開は、平成22 年4 月28 日午 前9 時からの予定です。

*1:気象データ、大気汚染発生量データを基に、反応、輸送、拡散、地表面等への沈着など の効果を含めて大気汚染物質の濃度を計算する数値モデル

*2:ただし、北海道及び沖縄県は除く。

1. 大気汚染予測システムについて

「大気汚染予測システム」では、光化学オキシダント及び二酸化窒素の大気汚染濃度を気象モデルと化学輸送モデルから予測し、その結果を1時間毎の汚染濃度分布予測図(メッシュマップ)として視覚的に提供しています。予測計算は、東アジアを 100km メッシュ、日本全域を25km メッシュ、各地域を5km メッシュの単位で行い、当日から翌日の24 時までの2 日間の予測を毎日1 回、午前9 時に更新しています。

大気汚染予測システムイメージ図
今回の更新では、従来の九州、関西、中部及び関東地域に加え、新たに中四国及び東北 地域を予測地域に追加します。
○大気汚染予測システムで提供する情報
(1) 対象物質:光化学オキシダント及び二酸化窒素
(2) 対象地域:東アジア地域、日本全域、各地域(九州、中四国、関西、中部、関東、東北 の各地域)
(3) 予測期間:当日〜翌日24 時までの2 日間(1 時間毎)
(4) 表示方法:コマ送り(1 時間毎)、動画表示、一括表示(3 時間毎の1 日分)
(5) 情報更新:毎日1 回、午前9 時に更新しています。
(6) 公開期間:過去7 日間分の情報を公開しています。
(7) 付加情報:予測された風情報を地図上に重ね合わせて見ることができます。
○大気汚染予測システムの活用例
(1) 地域の汚染濃度予測図から、光化学オキシダントの濃度上昇を予想することができ、 光化学オキシダント注意報等が発令された場合に備え、事前に対応できます。
(2) 近年は光化学オキシダントの汚染地域が拡大する状況にあり、これまでの情報だけで は予測することが困難な場合も多くなっています。広域の汚染濃度予測図から、光化学オキシダント濃度上昇時に、越境汚染や他の地域からの汚染の影響を推察する ことができます。
○大気汚染予測システムの愛称
大気汚染予測システムの愛称はVENUS(Visual atmospheric ENvironment Utility System)とします。

各地域の汚染濃度予測図の表示イメージ

各地域の汚染濃度予測図の表示イメージ
○大気汚染予測システム(以下「VENUS」という。)による高濃度オキシダントの予測事例
日本の広い地域で光化学スモッグが発生し、社会的に大きな問題となった2007 年5 月8、9 日の高濃度事例を対象に、VENUS の検証を行いました。この事例では、長崎、 大分、新潟の各県で史上初めての光化学オキシダント注意報が発令されるなど、九州から東日本の広い範囲で注意報が発令されました。VENUS で予測された光化学オキシダン ト濃度分布を図1に、実測された濃度分布を図2に示します。8 日には、九州北部と中国地方を中心とした広い範囲で高濃度の光化学オキシダントが観測されていますが、予測結果も、これらの地域で高濃度を示しています。また、翌9 日には高濃度地域は東日本にまで広がり、東北地方南部でも環境基準である0.06ppm を超える濃度が観測されていますが、予測結果でもこのような高濃度がほぼ再現されています。このように、VENUS は2007 年5 月8、9 日の高濃度事例を予測することにほぼ成功しています。
図1 VENUS による光化学オキシダント濃度の予測結果(単位はppm)。 
濃度は0.02ppm から0.12ppm までの20 色で表す。

図1 VENUS による光化学オキシダント濃度の予測結果(単位はppm)。
濃度は0.02ppm から0.12ppm までの20 色で表す。

図2 全国の光化学オキシダント濃度分布(実測)と光化学オキシダント注意報発令状況

図2 全国の光化学オキシダント濃度分布(実測)と光化学オキシダント注意報発令状況

2.公開方法及び日時

公開方法:国立環境研究所「環境GIS」ホームページ内
「大気汚染予測システム」サイト
環境GISホームページ (http://www-gis.nies.go.jp/)

公開日時:平成22 年4 月28 日 午前9時

3.本件に関する問い合せ先

○環境省水・大気環境局大気環境課 調査係 芳川  一宏(03-5521-8294)
○国立環境研究所  
(大気汚染予測システムについて)  
アジア自然共生研究グループ広域大気モデリング室長
    大原  利眞(029-850-2718)
大気圏環境研究領域大気物理研究室主任研究員
  菅田  誠治(029-850-2457)
(ホームページによる情報提供について)
環境情報センター情報整備室長 久保  恒男(029-850-2342)
地理情報専門職 古田  早苗(029-850-2342)
環境GISホームページ問合せ先 e-mail:gis@nies.go.jp FAX:029-850-2566