記者発表 2009年12月25日

ここからページ本文です

国立環境研究所特別研究成果報告書の公表について
(お知らせ)
(筑波研究学園都市記者会、 環境省記者クラブ同時発表 )

平成21年12月25日(金)
独立行政法人国立環境研究所
  企画部長 齊藤  眞 029-850-2302
  環境情報センター長 岸部 和美 029-850-2340
  【課題代表研究者】    
  水土壌圏環境研究領域 珠坪 一晃 029-850-2058
  化学環境研究領域 瀬山 春彦 029-850-2462
  生物圏環境研究領域 中嶋 信美 029-850-2490
  【担当】    
  環境情報センター 木村 京子 029-850-2341


国立環境研究所は、今般、特別研究課題の成果として3つの報告書を刊行しましたので、お知らせします。

SR-86-2009 省エネルギー型水・炭素循環処理システムの開発(特別研究):珠坪一晃

SR-87-2009 化学物質の動態解明のための同位体計測技術に関する研究(特別研究) :瀬山春彦

SR-88-2009 侵入生物・組換え生物による遺伝的多様性影響評価に関する研究 (特別研究):中嶋信美

1 報告書・研究成果の概要

SR-86-2009 省エネルギー型水・炭素循環処理システムの開発(特別研究)
珠坪一晃

本報告書は、平成18〜20年度の3年間にわたって実施した特別研究の成果を取りまとめたものです。 

有機性排水処理に関わるエネルギー消費量の大幅削減が可能な処理技術の確立を目指して、生物膜メタン発酵法による低濃度産業排水の無加温処理技術の開発を行い、これまで好気性微生物処理の範疇であった低有機物濃度(300-1,000 mgCODCR/L)、低水温(10-20℃)の排水に対する嫌気性処理法(省・創エネルギー処理)の基礎を確立することが出来ました。また、嫌気性処理(UASB)と省エネルギー型の好気性処理(DHS)との組み合わせによる都市下水の実証処理試験の結果、無加温運転で年間を通じて良好な処理水質を維持した上で、活性汚泥法と比較して消費エネルギーの7割削減を達成しました。本研究の成果を、有機性排水処理の省エネルギー化とそれに伴う温室効果ガスの削減、開発途上国における排水処理技術の普及などの施策に結びつけ、水環境および地球環境の保全に役立てていきたいと考えています。

SR-87-2009 化学物質の動態解明のための同位体計測技術に関する研究(特別研究) 瀬山春彦

本報告書は、平成18〜20年度の3年間にわたって実施した特別研究の成果を取りまとめたものです。

この特別研究では、有機物の放射性炭素から、無機元素の安定同位体まで、いろいろな環境試料に応用できる、試料前処理法を含めた高精度な同位体計測システムの確立を目指して研究を進めました。残念ながら、環境中にある無機,有機有害化学物質は多種多様であり、その全てに対応できる普遍的な同位体分析手法を作り上げることは困難ですが、本研究で確立されたアルデヒドの放射性炭素や鉛の同位体分析技術は、今後、有害金属の同位体分析や有害有機物の放射性炭素測定に応用でき、有害化学物質の起源推定と環境中におけるその濃度低減対策に役立つことが期待されます。また、多くの環境試料についてこの同位体分析手法を応用する中で、さらに高度な同位体計測技術が蓄積され、将来問題となってくる有害物質の環境問題解決、リスク低減へも貢献できるものと考えています。

SR-88-2009 侵入生物・組換え生物による遺伝的多様性影響評価に関する研究(特別研究)中嶋信美

本報告書は、平成18〜20年度の3年間にわたって実施した特別研究の成果を取りまとめたものです。

この報告書で取り上げた侵入生物とは、人間の活動に付随して侵入する生物のことを指します。このような侵入生物の種数は1990年代以降の世界的な自由貿易のひろがりにより、日本においても加速度的に増加することが予想されています。このような背景を踏まえて、本研究では、遺伝子の多様性(遺伝的多様性)を脅かす人為的要因として「遺伝子組み換え生物の拡散」と「人為的な生物の移送」に焦点をあて、こうした行為が、在来種の地域個体群にどのような影響を与えているかを解明しました。本報告書の中で示された知見が今後さらに充実し、侵入生物防除対策へ生かされることを期待しています。

2 報告書の閲覧・入手について

本報告書は、以下で閲覧できます。

○国立環境研究所ホームページ(URL:http://www.nies.go.jp/
○国立環境研究所図書室   
○国立国会図書館

なお報告書の入手を希望される場合には、残部があれば頒布いたします(送料本人負担)。 下記へお問い合わせ下さい。

連絡先:環境情報センター情報企画室出版普及係
(TEL: 029-850-2343、E-mail:pub@nies.go.jp)