記者発表 2009年5月29日

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「環境GIS」ホームページ「大気汚染予測システム」について
〜中部、関西及び九州地域の光化学オキシダント等の詳細予測を開始〜
(お知らせ)
(環境省記者クラブ、 筑波研究学園都市記者会同時発表 )

平成21年5月29日(金)
環境省水・大気環境局大気環境課
  直通:03-5521-8294
代表:03-3581-3351
課長:早水 輝好(6530)
補佐:手塚 英明(6538)
担当:芳川 一宏(6539)
独立行政法人国立環境研究所
  直通:029-850-2340
環境情報センター長:松本 公男
直通:029-850-2491
アジア自然共生研究グループ長:中根 英昭


国立環境研究所(以下「NIES」という。)では、光化学オキシダント及び二酸化窒素について、気象モデルと化学輸送モデルを組み合わせた「大気汚染予測システム」を構築し、東アジア地域、日本全域及び関東地域における大気汚染濃度の予測結果を、NIESが運用する「環境GIS」ホームページ内「大気汚染予測システム」サイトにおいて、提供しています。

このたび、「大気汚染予測システム」をもとに、NIESの技術協力により、環境省が中部及び九州地域の予測システムを新たに開発したことから、NIESが開発した関西地域と併せて、地域ごとの詳細な汚染濃度の予測結果を試験的に提供します。

中部、関西及び九州地域の大気汚染濃度の予測図の公開は、平成21年6月1日午前9時からの予定です。

1. 大気汚染予測システムについて

「大気汚染予測システム」では、光化学オキシダント及び二酸化窒素の大気汚染濃度を気象モデルと化学輸送モデルから予測し、その結果を1時間毎の汚染濃度分布予測図(メッシュマップ)として視覚的に提供しています。予測計算は、東アジアを100kmメッシュ、日本全域を25kmメッシュ、各地域を5kmメッシュの単位で行い、当日から翌日の24時までの2日間の予測を毎日1回、午前9時に更新しています。

大気汚染予測システムイメージ図
今回の更新では、
(1) 従来の関東地域に加え、新たに中部、関西及び九州地域を予測地域に追加します。
※21年度は試験的に提供するものです。今後、データ検証を重ねて、より一層の予測精度の向上を図り、22年度から本格的に提供を開始する予定です。
(2) 広域的な大気汚染現象の時間的・空間的な拡がりを「見える化」し、過去7日間分に遡って、動画で濃度予測図を見ることができるようになります。
○大気汚染予測システムで提供する情報
(1) 対象物質:光化学オキシダント及び二酸化窒素
(2) 対象地域:東アジア域、日本全域、各地域(関東、中部、関西、九州の各地域)
(3) 予測期間:当日〜翌日24時までの2日間(1時間毎)
(4) 表示方法:コマ送り(1時間毎)、動画表示、一括表示(3時間毎の1日分)
(5) 情報更新:毎日1回、午前9時に更新
(6) 公開期間:過去7日間分の情報を提供している。
(7) 付加情報:予測された風情報を地図上に重ね合わせて見ることができる。
○大気汚染予測システムの活用例
(1) 地域の汚染濃度予測図から、光化学オキシダントの濃度上昇を予想することができ、光化学オキシダント注意報等が発令された場合に備え、事前に対応できます。
(2) 広域の汚染濃度予測図から、光化学オキシダント濃度上昇時に、越境汚染や他の地域からの汚染の影響を推察することができます。

各地域の汚染濃度予測図の表示イメージ

各地域の汚染濃度予測図の表示イメージ
○大気汚染予測システムの予測事例
2009年5月8日に、鹿児島県で初めて光化学オキシダント注意報が発令されるなど、九州地方において広域的な光化学オキシダント濃度の上昇が見られ、5県で光化学オキシダント注意報が発令されました。また、翌日の9日にも、山口県と九州4県で注意報が発令されました。大気汚染予測システムは、この九州地域の光化学オキシダント濃度の上昇を予測することに成功しました。5月7日〜9日の大気汚染予測システムによる濃度予測結果を図1に、環境省「そらまめ君」による実測濃度分布及び光化学オキシダント注意報発令状況を図2に示します。なお、5月9日以降も12日まで4日間連続で日本各地において注意報が発令(10日は関東4県、11日は近畿2県、12日には北関東2県と愛知県、滋賀県で発令)されましたが、この一連の高濃度汚染も予測することにほぼ成功しました。
図1 大気汚染予測システムによる光化学オキシダント濃度の予測結果(単位はppm)

図1 大気汚染予測システムによる光化学オキシダント濃度の予測結果(単位はppm)

図2 全国の光化学オキシダント濃度分布(実測)と光化学オキシダント注意報発令状況

図2 全国の光化学オキシダント濃度分布(実測)と光化学オキシダント注意報発令状況

2.公開方法及び日時

公開方法:国立環境研究所「環境GIS」ホームページ内
「大気汚染予測システム」サイト
環境GISホームページ (http://www-gis.nies.go.jp/)

公開日時:平成21年6月1日 午前9時

3.本件に関する問い合せ先

○環境省水・大気環境局大気環境課 調査係 芳川 一宏(03-5521-8294)
○国立環境研究所  
(大気汚染予測システムについて)  
アジア自然共生研究グループ広域大気モデリング室長
    大原 利眞(029-850-2718)
大気圏環境研究領域大気物理研究室主任研究員
  菅田 誠治(029-850-2457)
(ホームページによる情報提供について)
環境情報センター情報整備室長 佐々木 寛壽(029-850-2342)
地理情報専門職 宮下 七重(029-850-2342)
環境GISホームページ問合せ先 e-mail:gis@nies.go.jp FAX:029-850-2566