記者発表 2008年1月31日

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(お知らせ)
生態毒性予測システム「KATE(ケイト)」の公開について

平成20年1月31日(木)
環境省総合環境政策局環境保健部
    企画課化学物質審査室
  直通:03−5521−8253
  代表:03−3581−3351
      室長  戸田  英作(内線6309)
    補佐  木野  修宏(内線6324)
    担当  平塚  二朗(内線6329)
独立行政法人国立環境研究所
  環境リスク研究センター
  直通:029−850−2750
    センター長  白石  寛明


環境省と独立行政法人国立環境研究所は、本日、同研究所により開発された生態毒性予測システム(通称:KATE(ケイト))のWeb試用版を公開します。これにより、同システムが、化学物質管理に携わる関係者に広く利用していただくことが可能となります。

KATEは生態毒性QSAR(定量的構造活性相関)モデルの1つです。化学物質の構造式等を入力することにより、魚類急性毒性試験の半数致死濃度及びミジンコ遊泳阻害試験の半数影響濃度を予測することができます。

1.生態毒性予測システム「KATE(ケイト)」について

今般開発された生態毒性予測システム(通称:KATE※1)は、環境省の請負業務として独立行政法人国立環境研究所で開発された生態毒性QSAR※2モデルです。QSARとは、化学物質の構造と性状(有害性)の関係を基に性状を予測するものです。広義には、定性的な対応(例:特定の官能基の有無から物質の有害性の多寡を推測する)も含み、より狭義には、構造を手がかりに有害性(毒性値)等を定量的に算出する仕組み(いわゆる「QSARモデル」)のことを指します。

KATEは、化学物質の部分構造等から魚類急性毒性試験の半数致死濃度(LC50)及びミジンコ遊泳阻害試験の半数影響濃度(EC50)を予測することができます。

本日よりKATEのWeb試用版を公開します。これにより、化学物質管理に携わる関係者に広く利用していただくことができるようになります。例えば、事業者の方には、生態への毒性影響が明らかではない化学物質について予測を行うことで、その情報を基に当該物質の適切な取扱いや管理方策を検討する際の参考にしていただくことが可能です。

※1  KAshinhou Tool for Ecotoxicity

※2  Quantitative Structure-Activity Relationship(定量的構造活性相関)

2.KATE(Web試用版)の使用方法

化学物質を特定し、毒性値の予測を行います。化学物質を特定するためには、CAS登録番号※3検索や、構造式エディタを用いた作図により、SMILES※4と呼ばれる文字列等を入力します。

なお、本システムを利用するためには、ユーザ自身による「ユーザ名」及び「パスワード」の登録が必要です。

※3  化学物質を特定するための最大10桁の数値からなる識別子

※4  化合物の分子構造等を印刷可能な文字で線形表記した識別子

3.参照データについて

KATEの構築に当たっては、環境省が実施した生態毒性試験結果※5及び米国環境保護庁のデータベース※6の魚類急性毒性試験結果を参照データとして用いています。今後、試験結果が追加された場合には、QSAR式の見直しを行う予定です。

※5   http://www.env.go.jp/chemi/sesaku/02.pdf

※6   http://www.epa.gov/med/Prods_Pubs/fathead_minnow.htm (米国環境保護庁)

4.KATE(Web試用版)の稼働

○  提供開始時期 平成20年1月31日(木)

○  ウェブサイトアドレス http://kate.nies.go.jp/top.html

5.KATEの利用に当たっての注意事項

○  KATEによる予測結果については、十分な予測精度を保証するものではありません。化学物質の生態毒性影響の程度について、参考値を得るためのツールの一つとして御利用ください。

○  本システムで得られた予測結果は、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」に基づく届出に必要な生態毒性試験結果として利用することはできません。