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揮発性有機化合物の低濃度発生源におけるモニタリング方法と除去特性および評価(平成 22年度)
Monitoring and removal assessment of VOCs from a low concentration emission source

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
1014CD002
開始/終了年度
2010~2014年
キーワード(日本語)
揮発性有機化合物,廃プラスチック類,圧縮,光触媒分解法,モニタリング
キーワード(英語)
Volatile Organic Compound, Waste Plastic Treatment Facility, Compression, Gas Cleaning Technology, Monitoring

研究概要

廃プラスチック類が中間処理施設において圧縮・摩擦などの物理化学的作用を受ける結果排出される可能性のある多種類の揮発性有機化合物(VOC)を対象とし、新規に建設される施設での実測と室内試験等によって以下の内容について明らかにすることを目的とする。すなわち、1) 種々のVOCの排出特性を明確にし、2) 新規に適用される光触媒分解法を用いた低減技術の処理特性を評価すること、3) 比較的低濃度で多種の化合物が共存する系について適切なモニタリング技術を開発すること、さらに4) 排出後の物質の環境濃度を測定および予測しこれらによる環境リスクを踏まえた施設での対策水準を設定する科学的根拠を提示すること、である。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:技術開発・評価

全体計画

実際の廃プラスチック中間処理施設に設置される光触媒分解プロセスおよび活性炭プロセス新規除去設備において、揮発性有機化合物群の発生源濃度および除去率などに関するデータを得ることにより、除去特性を明らかにするとともに新規モニタリング方法の開発を目的とする。
第1年度では、主に施設からの排出有機汚染物質を測定し、発生源特性評価を行う。
第2年度では、新規の総括的測定方法を開発し、実際の排気測定への適用性を検討する。
第3年度では、VOCの拡散と環境濃度計算からのリスク推算などに基づき濃度基準案を提示する。

今年度の研究概要

1. 揮発性有機化合物(VOC)の排出特性および排出低減特性の評価
 新規に建設された廃プラスチック類中間処理施設において、圧縮梱包機からの排気に含まれる種々のVOCについて、稼働時間内の平均的な濃度測定を行って排出特性を評価する。同時に施設外部での一般環境の測定を行う。排気に関しては、設置されたVOC除去設備(光触媒分解装置および続く活性炭吸着装置)による個々の物質および従来の総括的な測定値に関する実測データを各装置の前後において取得し、物質ごとの除去特性を解析するとともに、わが国で初めて上記中間処理施設に設置された光触媒分解装置が示すVOC除去能を比較的低濃度の範囲において明らかにする。結果の評価は、光触媒分解装置による物質の酸化分解および活性炭吸着装置による吸着除去特性が、個々のVOCによってどのように異なり、物質と除去効果との間に特定の関係が見出されるのかどうか、総括的な測定値は装置の性能評価にどのように利用できるのか、などの事項を明らかにすることである。
測定結果を基に、施設からのVOC物質の拡散予測を行い、上記測定により得た環境大気中濃度のデータ等と比較・評価することによって、発生源の濃度水準と環境濃度との関係性を考察し、将来的な基準設定のための基礎的知見を得ることとする。
2. VOCの新規総括モニタリング手法の開発
 従来のVOC総括測定方法は、ppmレベル以上の高濃度ガスを対象とした方法であることから、廃プラスチック類中間処理施設圧縮工程からの排気のようにppbレベル以下の低濃度試料に関する総括測定を可能とするため、吸着剤を充てんした捕集管を用いてあらかじめ濃縮した後に捕集管の加熱によって成分を脱離させ、総括的な検出器に導入することによって総括定量データを得る方法を開発する。本年度においてはその第一段階として、低濃度VOC成分を吸着した捕集管から脱離成分をガスクロマトグラフ-質量分析計および総括的な検出器双方に導入することにより、個別分析データと総括定量データの対応などに関し、解析することを目標とする。

課題代表者

川本 克也