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干潟機能の高度化システムによる水環境改善及びCO2固定化技術の開発研究(平成 22年度)
Development of an advanced system using tideland functions for water environment improvement and CO2 fixation

予算区分
BD 環境-環境技術
研究課題コード
0810BD001
開始/終了年度
2008~2010年
キーワード(日本語)
二枚貝,藻類,自然浄化,閉鎖性海域
キーワード(英語)
bivalve, alga, self-purification, enclosed sea area

研究概要

富栄養化した閉鎖性内湾での水環境改善対策は喫緊の課題であるが、一方、温暖化対策の推進が求められていることから、エネルギー使用量を増加させることは出来ない。本研究では、干潟の持つ自然水質浄化機能の内、二枚貝による水質浄化能を高度化し、システム化することで、この課題を解決することを目的とする。産業で発生する温排水などの余剰エネルギーや排ガス中のCO2を用いて二枚貝の増殖や微細藻類へのCO2固定化能を最大化し、また、食料としての二枚貝の供給が可能となるコ・ベネフィット技術開発を目指す。

研究の性格

  • 主たるもの:技術開発・評価
  • 従たるもの:基礎科学研究

全体計画

東京湾などの閉鎖性内湾では、総量規制制度による窒素、リンの削減が実施されているものの、依然として夏期には底層が貧酸素化し大きな問題となっている。このことは、生物資源にとって悪影響を与えるだけでなく、本来、水質浄化機能を持つ生物の生息場を奪う悪循環を生んでいる。特に、アサリでは、国内の消費の7割を海外からの輸入に頼る状況にまで生産が減少している。しかし、これら環境問題の発生源はその規模が巨大なため単独の対策技術によって解決をはかることは困難であり、温暖化対策からエネルギー消費の少ない水質改善技術やCO2削減技術を組み合わせ、そこに余剰エネルギーである温排水や排ガス(CO2)を利用したシステム技術(コ・ベネフィット)の開発の必要性がある。本課題では、生態工学プロセス技術を用いて低エネルギー消費型・高効率の水質浄化及びCO2固定化システムを開発し、また、二枚貝の自給率を向上させ、さらにエネルギー削減に貢献することを目的とする。干潟では、環境劣化のため二枚貝の生産量が激減しており、特に稚貝の生残率が低いことが問題視されている。稚貝は、単位重量当たりの水質浄化効率が極めて高いため、本課題では稚貝を利用した効率的な水質浄化システムを構築すると共に、さらにこれを全国に配布することで閉鎖性水域の効果的な浄化と生物生産を可能とするベストミックスによるシステム化を行う。

今年度の研究概要

各サブテーマで次の内容の研究を実施する。
(1)CO2固定リアクターと二枚貝生産リアクターを組み合わせた統合モデルを開発、運用する。また、二枚貝の栄養塩吸収とCO2固定化効率の最大化をもたらすため、微細藻類の安定かつ持続的な供給方法を検証するとともに、これらデータを統合モデルの検証データとする。
(2)CO2固定化効率の最大化をもたらすため、高濃度CO2を効率よく利用できる微細藻類を選出するとともにアサリ稚貝にとっての栄養価の高い種類をも探索する。また、CO2固定リアクターにおいて効率的なCO2通気方法を検討する。
(3)CO2を通気した微細藻類培養リアクターとの結合から、前年までに得られた稚貝の成長速度やろ過速度を確認する。また、生産リアクター前後で水質分析を行い、水質浄化能を定量評価する。

関連する研究課題
  • 0 : 領域プロジェクト

課題代表者

木幡 邦男

担当者

  • 樋渡 武彦