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環境政策における活用を視野に入れた基盤的な調査研究の推進(平成 19年度)
Study on Environmental Risk Assessment for Regulatory Use

予算区分
ZZ
研究課題コード
0610ZZ511
開始/終了年度
2006~2010年

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:技術開発・評価

今年度の研究概要

「環境リスク研究プログラム」では、人健康や生態系に及ぼす有害な影響を実態に即した調査あるいは実験に基づいて解明することにより、環境リスクを体系的に評価できる手法を見いだし、人健康と生態系に及ぼす環境からの悪影響の未然防止に貢献していくことを目的としている。この目的の達成ため、?リスク要因の解明、?リスク評価手法の開発、?評価の実施、?知的基盤の整備について並列的に調査・研究を実施している。リスク要因の解明のうち、重点的に究明を要するものについては、中核プロジェクトで実施されており、「環境政策における活用を視野に入れた基盤的な調査研究」では、リスク評価の効率化あるいは不確実性の減少のための新たな評価手法の開発に取り組んでいる。環境リスク評価には,さまざまな環境要因とそれらによる悪影響を考慮する必要があるが、本調査研究では、化学物質を中心的な要因とし、以下の7つの課題を設定しており、あわせて、また、化学物質のリスク評価については、政策ニーズに基づいて物質が選定され、化学物質評価オフィスで実施している。

多種類の化学物質が様々な用途に利用されている現状において、これらの化学物質の人あるいは生態系への曝露評価を実施するためには、様々な曝露経路を考慮する必要と、多様な化学物質に対応できる必要がある。曝露評価には、排出経路、排出後の環境中での動態、環境からの曝露を想定し、曝露モデルにより評価する手法をとして「化学物質リスク総合解析手法と基盤の開発」を実施し、それぞれ排出量の推定、環境動態、曝露経路と曝露量推計のための基本情報の整備することにより、曝露評価にかかわる統合情報基盤を作成する。また、実際に化学物質を計測することにより曝露評価する手法の高度化として、「化学物質環境調査による曝露評価の高度化に関する研究」において、曝露評価に資するための環境計測手法と計測結果の評価手法の調査を実施する。

現在、化学物質の生態系への影響評価は実験室での試験生物による毒性試験をもとに評価されている。この評価手法による結果が実際の生態系でもつ意味についての知見は十分でない。また、毒性試験に用いる生物種や試験方法、エンドポイントについての体系化が必要である。このため、「化学物質管理のための生態影響試験法および生態リスク評価法の検討 」として、生態系を模した試験法の開発、標準試験法の検討を実施し、生態毒性試験の試験方法の体系化を検討する。多種多様な化学物質が利用されているものの、リスク評価に利用できる毒性試験が実施された物質には限るがある。これは、毒性試験に多くの時間と労力を必要とすることが原因である。この状況を改善するために、既存知見を活用し化学物質の構造や毒性メカニズムにより類型化し、簡便な試験からより高次の毒性が評価できる手法の開発を実施し、影響評価の効率化を図るため、「定量的構造活性相関による生態毒性予測手法の開発」として化学物質の構造から魚類、藻類、甲殻類の急性毒性の予測、「発がん性評価と予測のための手法の開発」として変異原性試験などから発がん性への予測、「インフォマティックス手法を活用した化学物質の影響評価と類型化手法の開発」として遺伝子発現情報を活用した人健康にかかわる影響による類型化手法の検討などを行う。


環境政策において環境リスク評価が実施され化学物質の環境基準値や指針値の設定をはじめとする政策に活用されている。これらのリスク評価及びリスク管理に関する国内外の動向の把握し、リスク評価手法の比較や総合の検討を行うとともに、リスク評価手法やその結果を国民にわかりやすく解説するための情報をまとめ、発信するため、「環境政策における活用を視野に入れたリスク評価手法の検討、リスクコミュニケーション手法の検討等の推進」を実施する。


課題代表者

白石 寛明