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大型貨物船(おおがたかもつせん)は世界各地でさまざまな荷物を運んでいます。
30万トン級の原油(げんゆ)タンカーは、長さ330m、幅60m、深さ30〜35mの大きさで(何と霞ヶ関ビルと同じ位の容積(ようせき))、一度に30万トンの原油を運ぶことが可能です。
こうした大型貨物船は 大容量(だいようりょう)のバラストタンクを装備(そうび)しています。バラストタンクは、船が荷物を積んでいないときに安定性を保(たも)つために重しとして海水を取り込むタンクのことで、取り込まれた海水のことをバラスト水と呼(よ)んでいます。
空荷状態(からにじょうたい)でバラスト水を入れないでいると、スクリューが水面に出てしまうくらい船体が浮かび上がってしまいます。世界中で多数の貨物船が行き来していますが、年間30〜40億トンのバラスト水が移動(いどう)していると見積もられています。
資源輸入国(しげんゆにゅうこく)の日本の場合、年間約3億トンを輸出(ゆしゅつ)して、約1,700万トンを輸入しているといわれています(日本海難防止協会試算)。
日本にやって来る貨物船の多くは,荷物を降(お)ろした後,日本沿岸の海水をバラストタンクに入れて,外国の港で荷物を積み込む時にその海水を排出(はいしゅつ)しているのです。
沿岸の海水にはいろいろな種類の海洋生物が生息(せいそく)していて、これらが全てバラストタンクに取り込まれることになります。長い航海の間に弱って死んだり、食べられたりする生物、逆に増(ふ)えてしまうような生物がいます。
バラスト水が外国の港で排出された後も生き残っていて、その周辺で増え始めることで,もとからいる現地の海洋生物に影響(えいきょう)したり、赤潮(あかしお)など様々な環境(かんきょう)問題の原因(げんいん)となったり、生態系(せいたいけい)が変わってしまったりすることが心配されています。
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大容量のバラストタンクを装備した大型貨物船
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